4月29日に開幕した「世界卓球2018スウェーデン(団体戦)」<5月6日まで/ハルムスタッド>で日本代表チームは予選グループリーグに臨み、グループBの女子が2戦2勝、グループCの男子も1戦1勝を挙げ、ともに幸先の良いスタートを切った。
世界卓球のような大舞台で特に団体戦は初日の入りが重要。それを熟知する同大会出場6回目の女子のエース石川佳純(全農)も「チームはすごくいい雰囲気で流れに乗っていけている」と強調している。一方、男子のエース水谷隼(木下グループ)は背中の張りを訴え、この日はベンチから仲間の試合を見守った。
「水谷が帰って来るまで全勝を守ろう」。そうメンバーに発破をかけたと話すのは日本男子代表チームの倉嶋洋介監督だ。事前合宿の疲れからか、背中に張りがあるという水谷は開幕前日も大事を取り練習を休んでいたが、本番もまさかのベンチスタート。だが、2月のチームワールドカップでも水谷抜きで団体銀メダルを持ち帰った丹羽孝希(スヴェンソン)、張本智和(JOCエリートアカデミー)を中心に、日本は初戦のベルギー戦をストレートで勝ち切った。
丹羽、張本、松平健太(木下グループ)という先発メンバーにあって、特に1番手の丹羽は頼もしかった。前日練習からボールが走っていたが、この日もキレのあるプレーが光った。「後ろに下がると厳しくなるので、リスクを負ってでも前で攻めていこうと思った。水谷さんが戻って来るまではチームの総合力で全勝したい」と丹羽。世界ランク日本人トップの9位の実力でチームを引っ張る意気込みだ。
2番手の張本も盤石だった。世界が認める14歳ではあるが、若さゆえ精神面でのもろさが出ることもあり、倉嶋監督は「張本が1番でも良かったが、やはり1点取ってもらった環境で落ち着いてプレーさせたほうがいい」という判断。張本自身も「丹羽さんが3-0で勝ってくれて楽に試合ができた」と話す。また、調子のバロメーターだと自負する得意のバックハンドに加え、強化を続けるフォアハンドの調子も良かったと振り返り、「あとは台上プレーのミスが少し多いので、明日はそこを修正したい」と課題を挙げた。
丹羽と張本がストレート勝ちする中、3番手の松平は唯一、1ゲームを奪われた。本人も「チームの流れはすごく良かったが、僕自身は内容的に良くなかった」と反省するが、倉嶋監督が「健太も出足からサーブ・レシーブが正確だった」と話すように、大事な場面でサーブを効かせて競り合いを制し、チームの初戦勝利に貢献した。
なお、気になる水谷の様子について、詳細は発表されていないが練習には参加している。日本男子代表チームは大会2日目(4月30日)の予選グループリーグ3戦目に前回の世界卓球団体戦銅メダルのイングランドとの対戦を控えており、出場の可能性は高いと見られる。
(文=高樹ミナ)