現役のテニス選手のなかで、36歳にして歴史に残る活躍を続ける2人のレジェンドがいる。それがロジャー・フェデラー(スイス)とセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)だ。テニス選手としては引退していても不思議ではない年齢でありながら、現在でも下の世代の…

現役のテニス選手のなかで、36歳にして歴史に残る活躍を続ける2人のレジェンドがいる。それがロジャー・フェデラー(スイス)とセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)だ。テニス選手としては引退していても不思議ではない年齢でありながら、現在でも下の世代の壁として君臨する2人の凄さを紹介する。

■36歳にして世界ランキング1位に返り咲いたフェデラー

グランドスラム男子最多優勝20回、世界ランキング1位在位記録308週という記録をもつ、史上最強との呼び声も高いオールラウンドプレーヤー。今年も1月の「全豪オープン」で2連覇し6度目の栄冠に輝き、2月の「ABN AMRO ワールド・テニス」でも優勝。約5年4ヶ月ぶりに世界ランキング1位に輝いた。

長く活躍したといわれるアンドレ・アガシ(アメリカ)は2003年32歳での「全豪オープン」が、ジミー・コナーズ(アメリカ)は31歳の「全米オープン」が最後のグランドスラム優勝だったことと比べると、36歳でのグランドスラム優勝の凄さが際立つ。加えてフェデラーは、2017年に「全豪オープン」と「ウィンブルドン」でも優勝しているからなおさらだ。

フェデラーが進化して復活を遂げたのは、まさにその2017年の「全豪オープン」から。それまでは背中や膝の怪我、さらにノバク・ジョコビッチ(セルビア)やアンディ・マレー(イギリス)の台頭もあり、2012年の「ウィンブルドン」を最後にグランドスラム優勝から遠ざかっていた。

しかし2016年に膝の怪我の影響で約半年欠場していた間に、これまで弱点といわれていたバックショットが改善され、逆にそれを武器としたことで2017年に目覚ましい復活を遂げた。元々オールラウンダーだったフェデラーは身体の各部分への疲労による負担を分散することができたり、近年は4月から「全仏オープン」が行われる6月中旬までのクレーコートシーズンを欠場してリフレッシュに当てたりすることから、今もなお活躍ができるのだろう。

今年8月にフェデラーは37歳になるが、まだしばらくはトップランカーとして活躍する姿を期待できそうだ。

■唯一の単複キャリア・ゴールデンスラム達成のセレナ

シングルスでは「全豪オープン」で7回、「全仏オープン」で3回、「ウィンブルドン」で7回、「全米オープン」で6回と、グランドスラム23回の優勝を誇るセレナ。姉のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)とのダブルスではグランドスラム14回の優勝を飾っている。さらにオリンピックでもシングルス・ダブルスともに優勝を果たしており、男女を通じてシングルス・ダブルスともにキャリア・ゴールデンスラム(選手生活の間にグランドスラム4大会制覇とオリンピック優勝)を達成している唯一の選手だ。

これまでの経歴だけでも凄まじいが、セレナもまた年齢に負けず活躍している選手のひとり。2017年の「全豪オープン」では、妊娠中でありながら優勝を果たしている。セレナはその後産休に入りツアーを離れたものの、今年3月の「BNPパリバ・オープン」で復帰。その「BNPパリバ・オープン」では姉のビーナスに敗れはしたが3回戦まで進出しており、持ち前のパワーも披露していた。

クリス・エバート(アメリカ)も「セレナがグランドスラムのシングルス優勝の最多記録の24勝を近いうちに塗り替えるだろう。もしかすると今シーズンにも、更新するかもしれない」と今後のさらなる活躍を予想している。

そしてその大会は「ウィンブルドン」だとエバートはみている。「『ウィンブルドン』では、パワーが物を言いラリーが長くならないため、セレナには最も有利な大会になるだろう。セレナには強力なサーブがある」と話す。

現在女子テニス界は圧倒的な女王が不在ということもあり、セレナの体調が万全になればグランドスラムで優勝する可能性は少なからずあるだろう。

■終わりに

輝かしい戦績を積み上げてきた2人だが、長い選手生活の間ずっと順風満帆だったわけではなく怪我に悩まされた時期もあった。それを乗り越え今なお輝き続ける姿は、若い選手らの希望の光となり得るだろう。これからも年齢にとらわれない素晴らしいプレーを期待したい。(テニスデイリー編集部)※写真はフェデラー(Photo by Chaz Niell/Icon Sportswire via Getty Images)とセレナ(Photo by Recep Sakar/Anadolu Agency/Getty Images)