欧州サッカー2017~18シーズンも終盤に入った。各国とも熾烈な優勝争いで盛り上がっていると言いたいところだが、ドイツ・ブンデスリーガでは早々にバイエルンの優勝が決まり、例年と同じく、むしろ白熱しているのは残留争いのほうだ。 他の5大…

 欧州サッカー2017~18シーズンも終盤に入った。各国とも熾烈な優勝争いで盛り上がっていると言いたいところだが、ドイツ・ブンデスリーガでは早々にバイエルンの優勝が決まり、例年と同じく、むしろ白熱しているのは残留争いのほうだ。

 他の5大リーグを見ても、先週末はフランス・リーグ1ではパリ・サンジェルマンが、イングランド・プレミアリーグではマンチェスター・シティが2位に大差をつけて優勝を決めた。スペイン・リーガエスパニョーラもバルセロナの優勝が秒読み段階。こと優勝争いに限ればドラマは生まれず、予断を許さないのはイタリア・セリエAのユベントス(2位ナポリと勝ち点4差)ぐらいだろう。



前節は、すでに優勝を決めているバイエルンがボルシアMGに5-1と大勝した

 ドイツのメディアでは、年が明けたころから、そんな変わりばえしない状況を新鮮なものにできないかと、リーグ戦終了後に最終的な優勝を決めるためのプレーオフを行なう構想が論議されている。有識者や選手OBはおおむねプレーオフに否定的で、ただちに実現する見込みは低いが、それだけリーグ戦の終盤がつまらないと思っているファンが多いことがよくわかる。

 今季のブンデスリーガを振り返ると、序盤はドルトムントが先行した。第3節でバイエルンがホッフェンハイムに敗れたためだが、第9節まではドルトムントが首位に立っていた。だがその後、ドルトムントは序盤の好調が嘘のように調子を崩し、一時は8位にまで順位を落としてしまう(現在は4位)。

 それに対して、監督がカルロ・アンチェロッティからユップ・ハインケスに交代したバイエルンはシーズンを通して安定した戦いを見せた。リーグ後半戦はわずか1敗。チャンピオンズリーグでもベスト4に残っている。

 ドイツではバイエルンとドルトムントの対戦を「デア・クラシカ」と呼んで特別視しようという動きもあるが、メディアやクラブの公式サイトでそのような表記を目にすることはなく、一向に浸透する気配がない。

 第28節で対戦した両チームだが、試合はバイエルンが6-0で大勝。カップ戦を含めて、これで今季はバイエルンがドルトムントに3連勝したことになる。現在6連覇中のバイエルンに対して、この10年で2回優勝しただけのドルトムント。バイエルンを追う一番手かもしれないが、実力やクラブのバックボーンが異なり、地理的にも離れているこの両チームをむりやり「宿命のライバル」にするのはやはり違和感がある。

 バイエルン一強体制が続いていることに加えて、スター選手の不在や欧州での戦いに勝てないことなどを理由に、「ブンデスリーガはピンチを迎えている」と主張したのがシュポルト・ビルト紙だ。そしてそんなピンチを打破するべく、「リーグ戦の上位4チームによるプレーオフ導入を」という提案を紙面で行なった。

 これに対して猛烈な反対論を展開しているのがバイエルンのウリ・ヘーネス会長だ。4月上旬、南ドイツ新聞のインタビューに対して「プレーオフは完全に不公平だ」と答えている。

「ポカール(ドイツ杯)で決勝に進出し、チャンピオンズリーグでも決勝にいった場合、いつプレーオフをやるんだ?」とスケジュール的な難しさを指摘したうえで、「単に他のチームが頑張ればいいだけだ」と突き放す。「競争力がないからルールを変えるのか?」と、他チームをあざ笑うかのような勢いだ。

 追う立場であるドルトムントのヨアヒム・ヴァツケCEOも「ばかばかしい話だ」と、ドイツ語で”猿のサーカス”という表現を使ってプレーオフを一蹴している。「バイエルンを勝たせないための状況を人為的に作ろうというのは、あまりにもスポーツ的ではない」というわけだ。

 結局、シュポルト・ビルト紙の提案は話題を呼んだものの、さほどの支持は得られなかった。

 確かにひとり勝ちの6連覇というのはバイエルンファン以外にとっては面白い状況ではなく、リーグ自体の盛り上がりにはマイナスかもしれない。ただ、それは公平なシステムのもとで出た結果にすぎない。現状打破のためにシステムを変えるよりは、各クラブがバイエルンに負けることを前提としないチーム作りから始めなくてはいけないという、当たり前の結論に落ち着きそうだ。

 なかには「プレーオフをしても、どうせバイエルンが勝つだけだから」という理由のプレーオフ反対論もあったが……。