インディカーシリーズ第3戦、トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチでポールポジション(PP)を獲得したのはホンダエンジンを使うアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。 予選2、3位にはシボレーエンジンを使うチー…

 インディカーシリーズ第3戦、トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチでポールポジション(PP)を獲得したのはホンダエンジンを使うアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。

 予選2、3位にはシボレーエンジンを使うチーム・ペンスキーのウィル・パワーとシモン・パジェノーが並び、4位スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、5位グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、そして6位ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)となった。



シリーズ第3戦ロングビーチを圧倒的強さで制したアレクサンダー・ロッシ

 ファイナルに進んだ6人はホンダ勢3人vsシボレー勢3人で互角。しかし、トップ10で比較するとホンダ7人に対してシボレー3人と、ホンダが優位に立った。時間をかけてユーザーチームのレベルアップを目指してきたホンダの努力が、ようやく実ってきた感がある。

 2012年、シボレーがインディカーに復帰した。その前の6シーズンは全チームにエンジン供給をしていたホンダだが、このとき、有力チームを抱え込んでシボレーに弱小チームを押しつけるようなことはしなかった。その結果、シボレーはペンスキーとアンドレッティ・オートスポートを確保。2014年からはチップ・ガナッシ・レーシングがシボレーに移り、アンドレッティ・オートスポートがホンダに加わった。

 ペンスキー、チップ・ガナッシの”2強”を擁したシボレーが勝ちまくった時期もあった。だが、その間もホンダは比較的小規模なシュミット・ピーターソン・モータースポーツ、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング、デイル・コイン・レーシングをサポート。そんな彼らがここへきて上位で戦う力を発揮しているのだ。

 そのうえ、シボレーはペンスキーを重要視するあまりに、2017年、チップ・ガナッシ・レーシングのホンダ行きを止めることができなかった。

 それでもペンスキーは強く、2016年から2年連続でチャンピオンを獲得。マニュファクチャラーズ・タイトルはシボレーが2012年から6年連続で獲得している。ただ、世界一のイベント、インディ500だけは、この6年でホンダが4勝2敗と勝ち越している。

 今年からエアロキットが全車共通となり、エンジンの重要性が増した。そして開幕からの3戦は、ホンダ勢がPPを連取した。レースでは作戦やピット作業など様々な要素が絡むが、スピード勝負の予選ではエンジンの実力差が結果に表れやすいため、「ホンダエンジンが優位か?」との声が聞かれるのは確かだ。

 しかし、まだ新エアロの解析が全チームとも不十分な状況で、ドライバーの差や、サスペンションを含むセッティングの良し悪しが、スピード、さらには勝敗に影響を及ぼしているようにも見えた。その結果、レースでの優勝は開幕戦がホンダ(セバスチャン・ブルデー/デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)で、第2戦はシボレー(ジョセフ・ニューガーデン/チーム・ペンスキー)と、星を分け合った。

 ただし、ホンダとシボレーのチームの層の厚さの差は明らかで、開幕戦の表彰台は3人全員がホンダ。2戦目も2位、3位はホンダだった。

 そして迎えたロングビーチ。PPを獲得したロッシ=ホンダは、85周のうちの71周をリード。レース中に2位以下に7秒以上の差をつける圧倒的な速さを披露した。終盤のフルコースコーションで差がゼロになっても、落ち着き払ったリスタートで2位のパワーを突き放し、1.2秒差で今季初、キャリア3回目の優勝を飾った。

「ヘアピン状のターン11の通過スピード、立ち上がりのよさに、今週の僕らは全面的にフォーカスしていた。そのコーナーがコースで一番長いストレートに繋がっているからだ。ホンダエンジンはパワーバンドが広く、ドライビングが非常にしやすい。その点をアドバンテージとして戦いを有利に進めることができていた。リスタートでも後続に近づくチャンスを与えずにストレートを加速し、ターン1に到達することができた」

 ロッシはこのように、勝因としてホンダエンジンと、その特性を活かしたチームのマシン・セッティングを挙げた。

一方、2位となったパワー=シボレーは、「僕は全力でロッシを追っていた。相手も同じように全力で逃げていたと思う。ホンダエンジンがあのヘアピンコーナー立ち上がりでわずかに強く、そこで彼らに近づくことができなかった。プッシュ・トゥ・パスを駆使して相手の1秒以内に迫ろうとしたが、それができずに、1秒のインターバルが変わらないままゴールとなった」と、完敗を認めた。

 3位はエド・ジョーンズ(チップ・ガナッシ・レーシング)、4位はルーキーのザック・ビーチ(アンドレッティ・オートスポート)、5位はレイホール、そして6位はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)。佐藤琢磨は他車に接触される不運で下位に沈んだが、トップ6のうちの5人がホンダドライバーだった。

 新エアロでのエンジン勝負となっている2018年シーズン。このように序盤戦ではホンダの優位が明らかとなっている。

 続く第4戦、第5戦は常設サーキットのバーバーモータースポーツパークとインディアナポリスのGPコース。そして第6戦はインディ500で、専用エアロパッケージでの戦いにおいては、エンジンパワーの重要性が他より格段に高くなる。過去6年で4勝しているホンダは、またインディ500で強さを誇ることとなる可能性が高いだろう。