——NBAファイナルを現地で初めて見て、改めてどんな感想を抱かれましたか? Bose:この2チームがファイナルでぶつかったらどうなるか、シーズン中の対戦からだけでは事前にはわからなかったんですよ。ゴールデンステイト・ウォリアーズは(オクラホ…

——NBAファイナルを現地で初めて見て、改めてどんな感想を抱かれましたか?

 

Bose:この2チームがファイナルでぶつかったらどうなるか、シーズン中の対戦からだけでは事前にはわからなかったんですよ。ゴールデンステイト・ウォリアーズは(オクラホマシティ・サンダーと対戦した)西プレーオフ決勝では厳しい試合も経験して、その過程でいろいろな部分が見れた。ステフィン・カリー、クレイ・トンプソンが爆発するとか、ベンチも活躍するとか、凄い引き出しがあるなぁと見えていたんですよね。一方、クリーブランド・キャバリアーズに関しては、東プレーオフのトーナメントで力が抜けていたので、強さ以外の部分が見えなかった。だから実際にがっぷり組むまで、想像がつかなかったんです。で、実際に組んでみて、なるほど、と。第1戦に関していえば、ベンチがあれだけ活躍できるチームと、レブロン・ジェームスが凄い活躍しても、これまで決まっていた3ポイントシュートが入らないと通用しない部分が出てきてしまうチーム。その違いが出て、ウォリアーズが勝ったという感じでした。

 

——テレビ観戦と現場の違いはどんなところに感じました?

 

Bose:普段はテレビでしか見てないんですけど、現地だと観える部分が違うんですよね。トリスタン・トンプソン(キャバリアーズ)の手はゴール下でなんであんなに伸びてくるんだろうとか、アンドレ・イグダーラ(ウォリアーズ/昨季ファイナルMVP)はなんであんな風に相手選手が持っているボールを簡単に叩けるんだろうとか。特にディフェンス面の良さが現地での方がよくわかるかなあ。それに感動しました。

 

——ちなみに今回のファイナル、どちらが有利と予想されていたんですか?

 

Bose:ファンの目線から見ると、どっちが勝っても良いドラマになるシリーズですよね。無責任に言うと、どっちが勝っても楽しいから、できれば良い試合を少しでも多く観たいなと。最大7戦まで(笑)。対戦するまではキャバリアーズが勝っちゃうんじゃないかとも思っていたんですけど、1戦目を見る限り、ウォリアーズが強いかなと。やはりウォリアーズに分があるかなという感じですよね。

 

——2年連続MVPのカリーを軸にシーズン最多勝(73勝9敗)を達成した昨季王者ウォリアーズと、古巣に戻ったレブロンを中心に史上初の優勝を目指すキャバリアーズ。確かに今シリーズの場合、どちらが勝っても歴史的ですよね。

 

Bose:ニュースにもなり易いし、みんなにも伝え易いですよ。ウォリアーズが2連覇し、カリーがさらに大きなスターになるのも良い。地元に戻ったレブロンがキャバリアーズを優勝に導くというストーリーも良いし。

 

——Boseさんは西プレーオフ決勝の第7戦から現地入りされたんですよね。あちらも素晴らしいシリーズでした。

 

Bose:あんな試合が会場で観れたのは本当にラッキーでした。日本でテレビで見ている段階では、サンダーが本当に良かったから、ウォリアーズが負けてしまう可能性もあるかなと。ウォリアーズが1勝3敗から逆転して勝つというイメージもその段階では沸かなかったのに、それがまさかの逆転劇!このままファイナルも勝ってしまったら、ウォリアーズはもう伝説だよね。

 

——前のシリーズと比較しても、現地で体感するファイナルはやはり特別な雰囲気がありますか?

 

Bose:もっとお祭りっぽい感じがあるのかなと思ったんですけど、わりと真面目というか。練習も、記者会見も、見ているメディアに関しても、しっかりとバスケットボールのことを話している。オールスターはスターの存在感で盛り上がっているのが、ファイナルはスポーツとしての盛り上がり。これは現場に来て、初めて分かったことですね。

 

——今回はBoseさんもメディアの一人として、実際にJRスミス、チェニング・フライ、リチャード・ジェファーソン、トリスタン・トンプソン(以上、キャバリアーズ)といった選手たちに質問をぶつけてらっしゃいました。取材の中で印象に残ったことは?

 

Bose:近づいて見たときの選手たちの身体の凄さですね。NBAプレーヤーの身体ってこんなに凄いんだと(笑)。近づくとよりわかる。これはちょっと普通の人間ではないな、特別なんだなという感じがあります。この例えが適切かはわからないけど、サラブレッドを実際に見たときの印象に近い。G1レースを優勝する馬のようなオーラ(笑)。違う生き物なんだと。身体の締まり方が、スパイダーマンとか、コミックの中の世界の登場人物みたいな印象を受けました。

 

——他のスポーツの選手と比べても、確かにNBAプレーヤーの体格は本当に素晴らしく、選ばれた男たちという感じがします。日本人選手が壁を乗り越えるのは簡単ではないなと思ってしまいますよね。 

 

Bose:その一方で、取材して近くで見ると、オーストラリア出身のマシュー・デラベドーバ(キャバリアーズ)のようなガードタイプを目指して日本人選手たちは頑張るのも良いんじゃないかとも思いました。デラベドーバは身体的に大柄でもないし、手の長さもそうでもないし、これはあるかもしれない。レブロンみたいな選手は怪物だなと思ってしまいますけど。日本の選手たちがNBAに滑り込めるとしたら、デラベドーバみたいな路線なんじゃないかなと。そんな目線で見ていました。

 

——アメリカンスポーツの特色というと、街と地元チームの一体感が挙げられると思います。カリフォルニア州オークランドのウォリアーズファンも精力的に取材されていたと思いますが、どういったことを感じましたか?

 

Bose:街のおっちゃん、おばちゃん、作業しているおっさんとか、みんな何の抵抗もなく、汚くなったチームのTシャツとかを着ている。その普段着感が面白いなと思いましたね。日本で日頃からスポーツチームのシャツなんて着ていると、少し変な感じがありますけどね。こっちでは誰もが普通に着ているのが、羨ましい感じがしました。あと、取材に行った熱狂的なファンの家は、ガレージが改造してあって、シアターみたいになっている。試合のたびに20人くらい仲間を集めて、パーティ感覚でウォリアーズのゲームを見る。住宅街で大きな音を出していたら日本なら怒られそうですけど、そういうのが平気というのも羨ましいなあと。同じような騒ぎが日本であるとすれば、W杯サッカーに日本代表が出たときくらいですかねえ。

 

——いろいろなお話をお聴かせいただきましたが、現地で改めて感じたNBAの魅力というとやはりファンの熱気は大きいでしょうか。

 

Bose:そうですね。ウォリアーズのシャツを着て街を歩いていると、「試合観たの?」とか声をかけてくれたり。日本人というのもあるのかもしれないけど、「(サンダーとの)第7戦はやばかったでしょ?!」とか言われたり。ウォリアーズは特にこの数年でどんどん盛り上がってきているから、チームの活躍が街の活気につながっているような感じがしましたね。街中にポスターとか旗とか掲げてあって、どこにでも「Go Warriors!」とか書いてある。この密着感が良いですよね♪

 

——先ほど少し言及されてましたが、今後のシリーズの予想は?

 

Bose:予想というか、希望を言うと、なるべく良い試合で、とにかく7戦まで見たい!第1戦のように差がついてしまうのではなく、最後まで接って、ハラハラするような流れのゲームがファンとしては見たいですね。第2戦でキャバリアーズが勝って巻き返してくれると、シリーズは凄い盛り上がる。明日はキャバリアーズを応援するかもしれません。予想というよりも、オーバータイムの大接戦とか、レブロン、カリーのようなスター選手の良さが両方出るような、そんな熱いゲームが観たいです。そういった試合になれば、日本のファンにも楽しんでもらえますもんね。

 

 

ライター:杉浦大介

 

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■6/6(月)午前8:45〜現地会場より生中継/WOWOWライブ

「NBAファイナル第2戦 キャバリアーズvsウォリアーズ」

[現地]ゲスト:Bose(スチャダラパー)、解説:佐々木クリス

[東京]ゲスト:持田香織(Every Little Thing) ほか