テニスにおいて試合に勝利するためには相手のサービスゲームを破ることが重要だが、裏を返せば自分のサービスゲームを徹底的にキープすることも重要である。そこで今回はATP(男子プロテニス協会)のデータを元に、昨シーズンサービスゲームの取得率が高か…

テニスにおいて試合に勝利するためには相手のサービスゲームを破ることが重要だが、裏を返せば自分のサービスゲームを徹底的にキープすることも重要である。そこで今回はATP(男子プロテニス協会)のデータを元に、昨シーズンサービスゲームの取得率が高かった5人を挙げて紹介する。

■イボ・カルロビッチ(クロアチア)

サービスゲームの取得率は驚異の93.3%。現役の選手の中では最も速い、最速251kmのサーブを武器にしている。身長も211cmと高く、速いだけでなく角度があるサーブは驚異だ。そのサーブを武器に2008年には世界ランキング14位を記録した。年齢が39歳となりさすがにその威力は落ちてはきたが、依然としてサーブを崩すのは難しい。セカンドサーブでも230kmを超えることがあり、現役の選手ではビッグサーバーの最右翼だろう。

■ジョン・イズナー(アメリカ)

サービスゲームの取得率は92.9%。取得率だけでなく、ファーストサーブでのポイント獲得率などを踏まえた総合的なスコアでは1番だった。彼も身長が206cmと高く、ファーストサーブの入る確率はシーズン平均70%を超える。速いだけでなく成功率も極めて高いため、相手はなかなかブレークできない。最近はストロークやボレーも良くなり、世界ランキング10番台をコンスタントにキープするようになっている。

■ロジャー・フェデラー(スイス)

言わずと知れた36歳にして世界ランキング1位に返り咲いた、史上最強のオールラウンダーと言っても過言ではないレジェンド。サービスゲームの取得率は91.3%だ。フェデラーのサーブは、前の2人に比べると速さはないためエースの本数は少なくなるが、状況によって的確にコースを使い分けるため取りにくい。1試合におけるダブルフォルトの平均が1.8本と少ないのもその正確性を示している。そしてサーブで崩した後は優位にラリーを進めるため、ブレークは難しい。実際、セカンドサーブでのポイント獲得率は59.4%で、ラファエル・ナダル(スペイン)に次ぐ2位だ。

■ケビン・アンダーソン(南アフリカ)

アンダーソンのサービスゲームの取得率は90.4%。彼は台頭し始めた頃より203cmの身長から打ちおろすサーブの良い選手で、ほとんどそれだけで勝ち進んでいた。しかし、それだけではランキングのトップ10以内には入れないことや、強いサーブを打つために肘や肩に故障が出るようになり、ストロークを磨いた。元々筋力は強く、それがストロークにも役に立って優れたグランドストローカーに変身。より安定して勝利を積み重ねるようになった。

■ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)

サービスゲームの取得率は90.2%。彼もまた220kmを超える強力なサーブを持つ。昨年は左手の故障もあり成績が伸び悩んだが、故障がなければもっと数値は高かっただろう。今年は3月から徐々に調子を取り戻しだし、「男子テニスATPワールドツアー マスターズ1000 マイアミ」ではベスト8に進出。故障から完全復帰すれば、そのサーブを武器にまだ獲得できていないグランドスラムやマスターズ1000のタイトルに手が届く可能性を充分に秘めている。

■終わりに

フェデラーを除くと大方の予想通り、高速サーブを武器にするいわゆるビッグサーバーたちが並んだ。全員がトップ10を経験しており、サーブがいかに重要かが分かる。しかし世界ランキングトップ5はフェデラーだけで、現在はレシーブ技術が進んだこともあり、ビッグサーブだけでは頂点を取ることはできない。次回はいかに相手のサーブを破るのに長けているかを表すリターンゲームの取得率の高い選手を紹介する。(テニスデイリー編集部)

※写真は左からアンダーソン(Photo by Tom Dulat/Getty Images)、イズナー(Photo by Dean Mouhtaropoulos/Getty Images)、カルロビッチ(Photo by Shaun Botterill/Getty Images)、フェデラー(Photo by Joe Scarnici/Getty Images)、ラオニッチ(Photo by Julian Finney/Getty Images)