ロシアW杯が約2カ月後に迫り、”ハリルジャパン”への注目度が増しているなか、女子の日本代表”なでしこジャパン”も大一番を迎えます。4月6日からヨルダンでFIFA女子ワールドカップ最終予選…
ロシアW杯が約2カ月後に迫り、”ハリルジャパン”への注目度が増しているなか、女子の日本代表”なでしこジャパン”も大一番を迎えます。4月6日からヨルダンでFIFA女子ワールドカップ最終予選、サッカーAFC女子アジアカップ2018が開幕します。テレビ朝日では、7日(土)夜10時30分から日本対ベトナムの一戦を独占生中継で放送します!
8カ国が参加する今大会は、2019年の女子W杯フランス大会のアジア最終予選を兼ねていて、上位5位以内に入れば出場権を獲得することができます。日本は11年のW杯ドイツ大会で優勝、15年のW杯カナダ大会で準優勝していますが、「今回も出場権は確実に取れる」と楽観視はできません。
2グループに分かれて戦う1次リーグで、日本はオーストラリア、韓国、ベトナムと強敵ばかりのグループBに入りました。そこで2位以上になって準決勝に進めばW杯出場が決まりますが、グループA3位と戦う5位・6位決定戦に回る可能性も十分にあります。
現時点でのFIFAランキングを見ても、11位の日本は同6位のオーストラリアにアジアトップの座を奪われています。7日の初戦で、同35位のベトナム相手に勝ちを逃すことがあれば、続く2戦目、同16位の韓国戦、3戦目のオーストラリア戦にかかるプレッシャーはかなり大きくなります。
なでしこジャパンの練習で笑顔を見せる清水梨紗(左)と長谷川唯(右)photo by Nakanishi Yusuke/AFLO
そんな厳しい戦いを前に、とくに注目している選手が日テレ・ベレーザに所属する清水梨紗選手と長谷川唯選手です。なでしこジャパンでさらなる飛躍が期待される2人は、ともに21歳。日々成長を続けている新世代が、代表にかける思いを語ってくれました。
Photo by Yamamoto Raita
大学4年生の清水選手は、普段はすごくふわっとした柔らかい雰囲気を身にまとっていますが、ひとたびピッチに立てば、頼もしいDFとして攻守にわたってチームを支えます。スピードとスタミナを生かしたカバーリングは評価が高く、世代別の日本代表にも呼ばれ続けていた選手。昨年はベレーザでSBだけでなくCBもこなし、チームのリーグ3連覇に大きく貢献しました。さらに、なでしこジャパンデビューとなった今年のアルガルベカップでも4試合に出場しました。
線の細さが指摘されることもある清水選手ですが、実は、1日5食の食事を日課にしているそうです。朝、昼、夜の食事に加えて、練習の前と後にもエネルギーを補給し、当たり負けしない体づくりに取り組んでいるのです。
そんな清水選手にとって、11年のW杯を優勝したなでしこジャパンの選手たちは、以前は”雲の上の存在”でした。それが今では、長らく代表選手として活躍してきた岩清水梓選手や阪口夢穂選手らと一緒にプレーすることで刺激を受け、「自分もW杯のピッチに立ちたい」という気持ちが芽生えたそうです。
昨年のなでしこリーグでは、W杯優勝メンバーのCBだった岩清水選手から多くのことを学んだと思いますし、成長した姿を今回のW杯最終予選で見せることができれば、自ずとその目標にまた一歩近づくことになるはずです。
一方の長谷川選手は、やはり各世代の代表で経験を積み、17年3月の代表デビュー後から、通算17試合で3得点を挙げています。身長157cmと小柄ですが、豊富な運動量とテクニックを兼ね備えたMFで、昨年はなでしこリーグのベストイレブンにも初選出されました。
なでしこジャパンの中心選手になりつつある長谷川選手も、現在大学4年生。清水選手と同じくサッカーと勉強を両立しながら活躍を続けていますが、やはり卒業後のことを考える機会が増えたそうです。
Photo by Yamamoto Raita
現在の女子サッカーにはプロ契約の選手がまだ少ないため、仕事をしながら夜に練習をする選手がほとんど。それは、代表選手が多いベレーザでも同じです。そんな先輩たちと同じ職場に就くことを希望している長谷川選手は、「女子サッカーの現状を知ってもらえるように頑張りたい。それが女子サッカーのプロ化につながる」と決意を語っていました。
以前に比べると、女子サッカー選手たちを取り巻く環境が徐々によくなってきていると言われることもありますが、長谷川選手は「盛り上がり」に物足りなさを感じているといいます。
一昨年、女子U-20W杯に出場したときも、大学の友達の多くは、長谷川選手のSNSを見て初めて大会があったことと、その大会に長谷川選手が出場していたことを知ったそうです。そんな経験が「W杯のような大きな大会で結果を残さなければいけない」という思いを抱くきっかけになりました。
16年のリオデジャネイロ五輪への出場を逃してしまい、「力が落ちた」という声も聞かれるようになった、なでしこジャパン。長谷川選手も危機感を抱いていましたが、今回のW杯最終予選を兼ねたアジアカップは、そうした評価を覆(くつがえ)す絶好の機会です。
戦術やチームの特長が日本と近い国が多いアジアの戦いは、欧州や南米、アフリカと戦うW杯とはまた違った難しさがあります。そのことをよく知る、ベテランの川澄奈穂美選手ら経験豊かな選手たちの背中を見ながら、清水選手や長谷川選手ら新たな世代の選手たちがさらに成長してくれるはずです。なでしこジャパンのW杯出場権獲得を信じて、応援しています!