ミケル・エチャリのウクライナ戦レポートを読む>>「ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとって、ロシアワールドカップに向けた新しい選手のテストだったはずだ」 ミケル・エチャリは3月の日本代表ベルギー遠征マリ戦、ウクライナ戦を、そう括(くく)っ…

ミケル・エチャリのウクライナ戦レポートを読む>>

「ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとって、ロシアワールドカップに向けた新しい選手のテストだったはずだ」

 ミケル・エチャリは3月の日本代表ベルギー遠征マリ戦、ウクライナ戦を、そう括(くく)っている。スペインの目利きは、そんな選手たちをどのようにスカウティングし、評価したのか? 

 ホセバ・エチェベリア、シャビ・アロンソら、世界的な選手たちが敬愛する慧眼(けいがん)、エチャリの意見は傾聴に値するはずだ。出場時間が少なかった選手を除いて、日本代表の22選手についてコメントを記した。

【GK】



中村航輔(マリ戦にフル出場)

中村航輔
マリ戦の前半、相手アタッカーが抜け出した決定機をファインセーブしている。反射神経と読みのよさがある。ただ、前に出たのにボールに触れないなど、クロスに対する不安が見えた。



川島永嗣(ウクライナ戦にフル出場)

川島永嗣
ウクライナ戦後半に決定的なシュートを確実に防ぐなど、ポテンシャルの高さは見せた。しかし中村と同じように、クロスに対して出ていけず、出たときにはボールに触れない場面があった。

【右SB】



宇賀神友弥(マリ戦に先発、前半で交代)

宇賀神友弥
マリ戦は代表デビュー戦だったようだが、攻撃に関しては何度かいい連係を見せていた。しかし守勢に回ったとき、混乱が出てしまった。PKを与えたプレーは不用意だったと言わざるをえない。



酒井高徳(マリ戦は後半から、ウクライナ戦はフル出場)

酒井高徳
先発したウクライナ戦では一発で勝負に出てしまうことが多く、ポジション取りも悪かった。イェウヘン・コノプリャンカにことごとく裏をとられ、失点の契機にもなっている。逆に「もうひとりの酒井」の存在感を感じさせる結果となった。

【左SB】



長友佑都(マリ戦、ウクライナ戦ともにフル出場)

長友佑都
昨年は心配になるほど動きが悪かった時期があったが、プレーの判断や選択のよさは傑出している。技術的、体力的には落ちているものの、戦術的な選手としては欠かせない。ウクライナ戦でも穴を作らず、攻撃では、相手GKのセービングで防がれたが、決定的なクロスを送っていた。

【CB】



槙野智章(マリ戦、ウクライナ戦ともにフル出場)

槙野智章
マリ戦は大迫にいいパスをつけるなど、よさを出していた。昨年のブラジル戦に続き、ウクライナ戦もヘディングで得点を決めた。攻撃の際のヘディングは強い。ただ、全体にラインを下げてしまったのはマイナスポイント。



昌子源(マリ戦にフル出場)

昌子源
マリ戦で先発。長いボールの質は高かった。技術的なミスはいくつもあったが、判断そのものは悪くはない。個人としては安定したディフェンスを見せた。



植田直通(ウクライナ戦にフル出場)

植田直通
ウクライナ戦で先発。失点シーンは後ろにボールを飛ばしてしまった。経験が乏しいのだろうが、後ろで守るというクセがついているようだ。ただ、ロングシュートは悪くなかったし、コーナーの守備ではいいクリアをしている。

【MF】



長谷部誠(マリ戦は後半15分まで、ウクライナ戦は後半36分まで出場)

長谷部誠
ミスはあったが、戦術的判断は優れている。マリ戦では宇佐美に決定的なパスを配球し、自らも持ち上がるなど、”次のプレー”が見えていた。布陣がどうであれ、本大会でも彼が日本の戦術軸になるだろう。



山口蛍(マリ戦は前半34分から、ウクライナ戦はフル出場)

山口蛍
去年のベルギー戦では、アンカーとして自らのポジションを守って全体を機能させ、日本のベストプレーヤーのひとりだった。ところが今回、先発したウクライナ戦は不用意にインターセプトを狙う悪いクセが出ていた。軽率なスライディングを見せ、粘り強い守備ができず、チームを危機に陥らせていた。



三竿健斗(マリ戦は後半15分から、ウクライナ戦は後半36分から出場)

三竿健斗
マリ戦、ウクライナ戦とも終盤に交代で出場した。試合がスクランブルになった状況では力を示したが、90分の中でどこまでやれるかがわからない。



大島僚太(マリ戦に先発、前半34分まで出場)

大島僚太
マリ戦で先発するが前半途中で負傷交代。この選手については川崎フロンターレでのプレーも見ているが、センスは抜群だ。精度の高いミドルシュートを打ち、ゴールを脅かしている。

【トップ下】



森岡亮太(マリ戦に先発、後半20分まで出場)

森岡亮太
マリ戦は相手の強いプレッシャーを受け、試合に入っていけなかった。持ち味のパスセンスのよさをほとんど出せなかった。



柴崎岳(ウクライナ戦に先発、後半34分まで出場)

柴崎岳
ウクライナ戦ではプレースキックで得点をアシストするなど、テクニックレベルは高い。しかし、プレッシャーのかかる厳しい場面では相手を外せず、チームを牽引する存在にはなれなかった。

【サイドFW】



宇佐美貴史(マリ戦は後半15分まで、ウクライナ戦は後半42分から出場)

宇佐美貴史
フィニッシュに入る前の動きや技術はすばらしい。だが、シュートはどれも可能性は乏しかった。戦術理解力のせいなのか、もしくは連係の問題か、次第に流れから消えていった。



久保裕也(マリ戦は後半25分まで、ウクライナ戦は後半19分から出場)

久保裕也
マリ戦では大迫とたびたびいいコンビネーションを見せていた。ゴール前に入っていくタイミングも悪くなかった。ただ、本田と比べると守備面で物足りないものがあった。



本田圭佑(マリ戦は後半25分から、ウクライナ戦は後半19分まで出場)

本田圭佑
大迫、長友との連係度が高く、チームとしてプレーが低速になりそうなところで、ギアを入れられた。守備では相手に裏を取られながらもうまく対応し、老獪さを見せている。戦術理解能力は秀逸だ。



原口元気(ウクライナ戦に先発、後半42分まで出場)

原口元気
一時よりも調子は落としているが、ハリルジャパンでは攻守両面の軸。プレッシングではスイッチになるし、ボールを持ったらマークを外して持ち運べる。ウクライナ戦は左サイドで長友と連係し、優位を保った。PKを狙ったシミュレーションはマイナス材料だが。



中島翔哉(マリ戦は後半15分から、ウクライナ戦は後半34分から出場)

中島翔哉
2試合とも終盤戦で日本の猛攻を担っていた。キックの技術があり、プレースキックやシュートは高い水準にある。ウクライナ戦で久保に合わせたように、逆サイドを見るセンスは目を見張った。

【CF】



大迫勇也(マリ戦にフル出場)

大迫勇也
マリ戦ではポストワークでいつものように”らしさ”を見せた。連係度の高いFWだ。しかし、ゴールに入るところでは一歩遅れる場面が目立った。



杉本健勇(ウクライナ戦に先発、後半11分まで出場)

杉本健勇
ウクライナ戦ではラインが間延びし、有効なボールが入るシーンが少なかった。前線でいい動きもしていたが、インパクトは残せなかった。



小林悠(マリ戦は後半20分から、ウクライナ戦は後半11分から出場)

小林悠
ウクライナ戦では、カウンターから左タッチラインのボールを巡る勝負で勝ち、決定機と思われたが……。ポストワークで強さや巧さを見せ、酒井高、中島にチャンスボールを落とすなど、少ない残り時間でチャンスをお膳立てしている。

【フォトギャラリー】
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