大阪桐蔭の史上3校目となる春連覇で幕を閉じた第90回センバツ高校野球大会。今年も多くの逸材がスカウトたちの目に留まった。大阪桐蔭の藤原恭大(きょうた)や根尾昂(あきら)といった大会前から注目を集めていた選手はもちろん、この春の戦いを目の当たりにして「この選手、思っていたよりいいな」という掘り出し物もいたはずだ。

 そこで今回、スカウトたちにこのセンバツで見つけた”隠れ逸材”について話を聞いた。



3回戦の花巻東戦では9回までノーヒットに抑える好投をみせた彦根東の増居翔太

「大型の本格派と聞いていたので、扇谷莉(おうぎや・らい/東邦)には期待していたんですけど……」と前置きした上で、あるパ・リーグ球団のスカウトが挙げたのが東邦の背番号10、西有喜(投手/183センチ78キロ/右投右打)だ。

「シュートがあるでしょ。しかもプレートの一塁側を踏んで、食い込んでくるような軌道で投げ込んでくる。右打者には死球のリスクもあるのに、怯(ひる)まずインコースを突いてくる。それにフォークなのか、ツーシームなのか、沈む系のボールがあり、それがカウント球にも勝負球にもなっている。

 また、クイックやけん制、打球への反応もいい。高い技術を持った投手だと思います。体も大きいし、あとはストレートの威力がどこまで上がってくるか。ピッチングセンスはかなりのものを持っていますよ」

 そして、もうひとり挙げたのが、日大山形の佐藤洸太(投手/182センチ77キロ/右投右打)だ。

「今後に期待の投手です。智弁学園(奈良)戦は後半にへばって失点を許しましたが、変に力まないで、淡々と投げるんです。それでも真っすぐの威力がある。最初のひと回りはほとんど外野に飛ばなかった。5回に、全部アウトローの真っすぐで三振を3つ奪ったときなんて、思わず手を叩いてしまいました(笑)」

 あるセ・リーグ球団のスカウトに「このセンバツでパッと名前が浮かぶ選手は?」と聞くと、東海大相模の梶山耀平(外野手/165センチ70キロ/右投左打)の名前を挙げた。

「聖光学院との試合では、ヒットはライト前に1本だったかな……でも、その前のセンターライナーといい、東海大相模のなかでは一番いいタイミングでボールをとらえていました。ヒットで出て、相手のパスボールで進塁して、すぐに三盗でしょ。野球を知っている選手です。上背はないけど、グラウンドでは大きく見える。プレーがエネルギッシュ」

 広島・近藤芳久スカウトのイチ押しは、彦根東の左腕・増居翔太(171センチ64キロ/左投左打)だ。

「ピッチングができています。つまり、打者を見ながら、タイミングを外して投げている。この時期の高校生だとキャッチャーのミット目がけて投げるのが精一杯だけど、増居くんはしっかりバッターに向かって投げている。ピンチになってもリリースポイントがブレないのは、気持ちがしっかりしているから。『こう投げたらこうなる』というのがわかっていて投げている証拠です」

 もうひとり、増居を大絶賛したスカウトがいる。MLBのカンザスシティ・ロイヤルズの大屋博行スカウトだ。

「左の腕がいったん伸びて、そこからまた投げてくるような独特な体の使い方ですよね。体の切り返しもしっかりでているし、クロスファイアーの球筋も鋭い。ストレートは最速でも130キロ台後半ですが、ベース上でも球速が落ちないから打者は140キロ以上に感じるのではないでしょうか。今大会、私のなかではナンバーワンピッチャーです」

 また今大会は、遊撃手にも多くの逸材が揃っていた。ある球団のスカウト部長が惚れ込んだのが、50メートル5秒台の快足遊撃手・静岡高の村松開人(170センチ70キロ/右投右打)。

「本物の俊足です。それに帰塁の反応が抜群だから、スタートも自信を持っている。とにかく反応が素晴らしい。ベースランニングもそうだし、フィールディングもそう。バッティングだって、体は大きくないけど強いスイングができる。おそらく進学希望なんでしょうけど、実力だけならプロの”リスト”に載ってくるレベル。ちょっと見ないと、『村松どうしてるかな……』って気になるような、そんな選手ですね」

 今年の高校生の遊撃手といえば、センバツ出場は果たせなかったが報徳学園の小園海斗の名前が挙がる。そこで報徳学園出身で近畿地区担当の広島・鞘師(さやし)智也スカウトに「このセンバツで小園に続くショートはいたか?」という質問をぶつけてみた。すると、2人の名前を挙げた。明秀日立の増田陸(178センチ80キロ/右投右打)と延岡学園の小幡竜平(180センチ73キロ/右投左打)だ。

「大胆な動きでイケイケな感じの増田くんと、端正なフィールディングで動きに強弱をつけられる小幡くん。好みが分かれると思いますが、僕なら小幡くんかな。あくまでも好みの問題ですが……。小幡くんの身のこなしのスマートさっていうんですか、ショートを守っている姿にセンスを感じるんですよね。強く投げてないのにスーッと伸びるスローイング。バッティングも、あの細い体で素晴らしく強い打球を打つ。もうひと回り筋肉がついてきたときの伸びしろを想像すると、楽しみの大きな選手だと思うんですよね」

 センバツは「選手の長所が見られればいい」とスカウトたちは口を揃える。その”長所”が夏にかけてどこまで伸びるのか。センバツで見つけた”隠れ逸材”のさらなる成長を楽しみにしていることだろう。