2017年8月から右手首の怪我でツアーを離脱していた錦織圭(日本/日清食品)が、今年1月末に復帰し、これから本格的にトップ10に返り咲くために戦っていく。前回に引き続き、これから錦織が立ち向かっていかなればならないランキングトップ10(20…

2017年8月から右手首の怪我でツアーを離脱していた錦織圭(日本/日清食品)が、今年1月末に復帰し、これから本格的にトップ10に返り咲くために戦っていく。前回に引き続き、これから錦織が立ち向かっていかなればならないランキングトップ10(2018年3月19日時点)の内、6~10位の5人との過去の戦績を振り返る。

■フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)

デル ポトロとの直接対決は2勝6敗。錦織にとってはかなりの難敵であり、BIG4以外で負け越している相手でもある。元々デル ポトロは、手首を痛めなければBIG4に入っていてもおかしくない逸材だった。サーブ、フォアハンド、バックハンド、ボレーとどれをとっても基礎のしっかりした素晴らしいショットを持っている。錦織は、復帰後の3月に「男子テニスATPワールドツアー マスターズ1000 マイアミ」で戦ったが、最初の数ゲーム以後は太刀打ちできなかった。現在唯一の欠点は、96kgとテニス選手としては体重が重いためにフットワークに難があることだろう。錦織がパワーに負けずにこの欠点を突くことができれば、勝てる可能性が出てくる。

■ドミニク・ティーム(オーストリア)

ティームとの直接対決は2勝0敗。24歳と若く、錦織との対戦はまだ少ない。錦織より高い185cmの体から繰り出すサーブは強く、トップスピンの効いたフォアハンドと優れたバックハンドショットを持った油断のできない相手だ。特にバックハンドは、スタン・ワウリンカ(スイス)と同様に非常に優れたショットである。またテニスのスタイルがクレーコートに合っているため、クレーで対決する際は注意が必要だろう。

■ケビン・アンダーソン(南アフリカ)

アンダーソンとの直接対決は、ATPツアーでは5勝2敗。アンダーソンは左右に振られるとミスが増える選手だったため、錦織はこの欠点を突いて有利に戦っていた。しかし2017年からこの欠点はかなり改善され、それと共に成績も上がってきた。ATPツアー復帰戦となった「ニューヨーク・オープン」でも敗れたように、ハードコートでサーブが良い時のアンダーソンに錦織が勝つのはなかなか大変になるだろう。

■ダビド・ゴファン(ベルギー)

ゴファンとの直接対決は3勝0敗。ゴファンはベースラインプレーヤーで、特にベースラインの10cm以内を狙って正確に打てる精度がある。これが完全に決まるとなかなか打ち返せないし、サーブも強い。2017年はロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)がグランドスラムの優勝を独占したが、昨年その2人を倒した唯一の選手がゴファンだった。昨シーズンの故障前は錦織のスピードがゴファンの技術を上回っていたが、今後どう変わっていくかは分からない。

■ルカ・プイユ(フランス)

プイユとの直接対決は1勝0敗、2016年に1度対決したのみだ。2017年には3つのタイトルを獲得し、今年も既に「南フランス・オープン」で優勝したほか、2度の準優勝を経験。クレー、芝、ハードと異なるサーフェスでタイトルを獲得しているとおり、コンスタントに結果を残すことができ、まだ24歳と若いことから今後No.1になる可能性も秘めている。しかしメンタル面の波が大きく、一度歯車が狂うと修正が効かないという課題もある。錦織が勝利するためには、プイユの武器である相手から逃げていくような弾道でキレの良いスライスサーブを完璧に攻略し、楽にサービスキープをさせないことが必要だろう。

■錦織は、トップ10に返り咲けるか?

トップ10の後半6~10位までの選手を見ると、圧倒的なデル ポトロに加え、上位選手が怪我で離脱している間に力をつけて結果を出した若手から中堅選手たちという感じだ。彼らよりもっと若い選手の突き上げもあり、トップ10への道のりは簡単ではないと思われる。それでもロジャー・フェデラー(スイス)やラファエル・ナダル(スペイン)のように逆境を乗り越え、グランドスラムで優勝する姿を期待したい。(テニスデイリー編集部)

※写真は左からティーム(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)、ゴファン(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)、、デル ポトロ(Photo by David Emm/Action Plus via Getty Images)、アンダーソン(Photo by Elsa/Getty Images)、プイユ(Photo by Alex Goodlett/Getty Images)