グランドスラムやWTAツアーが個人の競技であるのに対して、「フェドカップ」は女子テニス選手の国別対抗戦だ。男子の「デビスカップ」の女子版といって良い。ただ、その仕組みは「デビスカップ」より複雑なので少し詳しく見てみよう。■ワールドグループI…

グランドスラムやWTAツアーが個人の競技であるのに対して、「フェドカップ」は女子テニス選手の国別対抗戦だ。男子の「デビスカップ」の女子版といって良い。ただ、その仕組みは「デビスカップ」より複雑なので少し詳しく見てみよう。

■ワールドグループIは8カ国で構成される 

「フェドカップ」は、一番上のグループがワールドグループIと言われ、8カ国で構成される。毎年、ワールドグループIのトーナメントで勝ち抜いた国が優勝国となる。その一つ下のグループが、ワールドグループIIと言われ、やはり8カ国で構成される。さらにその下のグループは3つのゾーンに分かれていて、それぞれアメリカゾーン、ユーロ/アフリカゾーン、アジア/オセアニアゾーンと呼ばれている。各ゾーンはそれぞれレベルに応じてアメリカゾーンとアジア/オセアニアゾーンが2段階、ユーロ/アフリカゾーンが3段階に分かれている。

■来年のワールドグループI、IIの決め方

今年のワールドグループIのトーナメントの1回戦で勝った4カ国が、自動的に来年のワールドグループIとなる。残りの4カ国については、ワールドグループIのトーナメントの1回戦で敗れた4カ国とワールドグループII内で勝ち残った4カ国がワールドグループIのプレーオフを行って決定する。そのプレーオフで敗れた4カ国は、来年のワールドグループIIとなる仕組みだ。

さらに、残りの4カ国の枠については、ワールドグループII内で敗れた4カ国+アメリカゾーンとアジア/オセアニアゾーンの各代表1カ国+ユーロ/アフリカゾーン代表2カ国=合計8カ国で、ワールドグループIIのプレーオフを行って決定する。 

■今年の例

2018年のワールドグループIの8カ国は、ベラルーシ、アメリカ、チェコ、フランス、ドイツ、スイス、ベルギー、オランダだ。2月10日と11日に1回戦があり、ドイツ、チェコ、フランス、アメリカが勝ち進んでいる。4月21日と22日にドイツとチェコ、フランスとアメリカの間で準決勝が行われ、決勝は11月10日と11日に行われる。

ワールドグループIの1回戦で勝ったドイツ、チェコ、フランス、アメリカは、自動的に2019年のワールドグループIになる。一方敗れたベラルーシ、スイス、ベルギー、オランダと2018年のワールドグループIIの8カ国の中で勝ち残ったスロバキア、オーストラリア、ルーマニア、イタリアがワールドグループIのプレーオフを4月21日、22日に戦い、勝った4カ国が2019年のワールドグループIとなる。この時敗れた4カ国は、自動的に2019年のワールドグループIIとなる。2月10日と11日に行われたワールドグループIIの8カ国の中の戦いで敗れたロシア、ウクライナ、カナダ、スペインと、アメリカゾーンとアジア/オセアニアゾーンのそれぞれのプレーオフ進出国(1国)とユーロ/アフリカゾーンからのプレーオフ進出国(2カ国)の合計8カ国が4月21日と22日に戦い、勝ち残った4カ国が2019年のワールドグループIIとなる。

各対戦は、3セットマッチ制で、初日がシングルス2試合、2日目がシングルス2試合とダブルス1試合の合計5試合がある。3勝した方が勝ちで、残りの試合をしない場合も多い。 

■日本の場合

今年、日本はアジア/オセアニアゾーンのプレーオフ進出国となっており、4月21日と22日にワールドグループII進出をかけてイギリスと戦う。試合は日本のブルボンビーンズドーム(兵庫県三木市/室内ハードコート)で行われる。代表は、フェドカップのルールで試合の10日前にしか発表されないが、地域予選を戦ったのは次の通り。

奈良くるみ(日本/安藤証券):シングルス95位/ダブルス446位

日比野菜緒(日本/LuLuLun):シングルス120位/ダブルス46位

加藤未唯(日本/佐川印刷):シングルス144位/ダブルス53位

二宮真琴(日本/橋本総業ホールディングス):シングルス610位/ダブルス37位

ジョハナ・コンタ(イギリス):シングルス14位/ダブルス279位

ヘザー・ワトソン(イギリス):シングルス72位/ダブルス83位

ケイティ・ボールター(イギリス):シングルス208位/ダブルス741位

アンナ・スミス(イギリス):シングルス--位/ダブルス48位

(日本、イギリスともランキングは2018年3月19日時点)

両国ともメンバーは上記と大きく変わらないはずだが、日本は「BNPパリバ・オープン」で優勝した大坂なおみ(日本/日清食品)が新たにメンバーに加わる可能性がある。イギリスのコンタとワトソンは安定感があり極めて強いが、大坂が出場し実力を発揮して2勝できればイギリスに勝てる可能性も出てくる。イギリスを破って来年はワールドグループIIへ、そしてゆくゆくはワールドグループIへ参加する日本の姿を期待したい。(テニスデイリー編集部)※写真は2014年「フェドカップ・プレーオフ(ワールドグループ2)」の時の奈良くるみ

(Photo by Dean Mouhtaropoulos/Getty Images)