3回途中から登板、ロングリリーフで無失点に封じた星稜・奥川

 第90回記念選抜高校野球は29日、大会7日目を迎え、第1試合は星稜(石川)が富島(宮崎)を11-2で破った。3回表に一時逆転を許したものの、1死一塁からマウンドに上がった2番手・奥川恭伸投手が6回2/3を5安打無失点の好投。打線も3回裏に7得点の猛攻を見せ、勝利した。この一戦のポイントを、沖縄・興南高校で春夏通算6度の甲子園出場を果たし、京都大学などでも監督を務めた比屋根吉信氏(66)に解説してもらった。 

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 星稜・林監督の采配が見事にはまった試合だった。初回に先制点を挙げ流れを持ってきたが、エース・竹谷が3回につかまり逆転を許し、なおも1死一塁。打席には富島の4番・井本だったが、スパッと2年生の奥川に交代した。その2年生右腕が後続を2者連続三振で切って取り見事、期待に応えた。失いかけた流れを再び取り戻すことに成功した。 

 結果的にその裏に一挙、7点を奪って逆転し序盤で試合をほぼ決めた。しかし、この奥川は伸びしろもまだまだ十分にあり、順調に成長すれば来年のドラフト候補になるだろう。それも上位クラスの逸材だ。この日は144キロをマークした直球だが、スピードはまだまだ伸びるはずだ。身長は180センチを超え、地肩も強く投手として必要なものを持っている。 

 もう少し投球フォームの歩幅、スタンスを広げ下半身を使えるようになれば今夏、来年までには150キロ近い直球を投げることになるだろう。3回のマウンドに上がった直後に奪った三振はすべて直球だったように、強気の投球も評価できる。エース・竹谷の後に本格派の2年生右腕・奥川が控える星稜は今後、手強い存在になる。 

 打線も11安打11得点と効率よく隙のない攻撃を見せていた。逆転した3回も相手からもらった2四球を確実に得点に結びつけた。相手のミスを逃さない、伝統チームの底力を見せてくれた。一方、富島は少し初出場の雰囲気にのまれてしまったのが残念だった。大量失点も四球とエラーが絡んだもの。夏までに向けての課題ははっきりしているだけに逆に期待も持てるチームだ。そしてハツラツとしたプレーは非常に好感が持て、星稜相手でも3回以降は互角の勝負を見せた粘りも素晴らしかった。(Full-Count編集部)