ロシアW杯でグループHに入り、コロンビア(6月19日・サランスク)、セネガル(24日・エカテリンブルク)、ポーランド(28日・ボルゴグラード)と対戦する日本代表。第3戦で顔を合わせるポーランドは、過去2回対戦(1996年2月と2002…
ロシアW杯でグループHに入り、コロンビア(6月19日・サランスク)、セネガル(24日・エカテリンブルク)、ポーランド(28日・ボルゴグラード)と対戦する日本代表。第3戦で顔を合わせるポーランドは、過去2回対戦(1996年2月と2002年3月)し、いずれも勝利している相性のいい相手だ。ポット1からはブラジルやドイツ、アルゼンチン、フランスなどが同居する可能性があっただけに、ポーランドと同組になったことはラッキーと見ることもできる。
ブンデスでは相変わらずゴールを量産しているロベルト・レバンドフスキ
それでも、FIFAランキング7位という数字が示す通り、現在のポーランドはロベルト・レバンドフスキ(バイエルン)という絶対的なエースがいるのに加え、各ポジションに欧州のトップリーグに在籍する実力者を揃えている。
そんなポーランドのメディアはグループHや日本との対戦をどう見ているのか。ポーランドのスポーツWEBサイト「SPORT.PL」のセバスチャン・スタスゼウスキ記者に聞いた。
――まずグループHの印象を聞かせてください。
「とても予想するのが難しいグループだ。どこも実力はだいたい同じくらいで、特別弱いチームもない。正直、ほかのヨーロッパ勢と当たるとか、もう少しありきたりな組み合わせを予想していたが、4チームともまったく異なる大陸から集まったし、どういう展開になるか……。
日本と最後に対戦したのはずいぶん前のことだし、コロンビアとも同じような感じ。セネガルにいたっては、いつ対戦したのか、私自身も覚えてないくらいだ。つまり、どのチームとも過去の対戦を参考にするのは難しい。グループリーグが終わったとき、私たちが今と同じポジション(ポット1=1位)にいられると信じてはいるけどね」
――日本代表の印象を聞かせてください。
「正直、まったくわからないんだ。昨年ポーランドリーグでプレーしていた松井大輔(横浜FC/2013年にレヒア・グダニスク、2017年に2部オードラ・オポーレに所属)のことは知っている。彼だけが私と日本サッカーをつなぐ唯一の要素だ。
もちろん、本田圭佑ら何人かの選手についての記憶はあるが、実際に私自身がこの目で日本代表を見たのは2002年のワールドカップのときだから、もう15年以上も前になる。そのときは、小さいけどスピードのある選手がいて、最後まで闘い続けていたチームだという印象がある。スター選手が揃っているのではなくて、常に全員が走り続ける。欧州のチームとはスタイルが異なり、警戒が必要なチームだと思ったよ」
――日本戦に何を期待しますか?
「もちろん勝利だ。他の選択肢はない。日本戦は絶対に勝たなければいけないし、ポーランドサポーター全員がそれを期待している。ポーランドにはレバンドフスキはいるが、スター軍団ではない。1人のスター選手でチームができているわけじゃないというところは、日本とも同じではないか。
チームとしての日本については、3月、5月の代表戦をチェックするつもりだ。大事なのは過去じゃなく未来だしね。そうは言っても日本はポット4、ポーランドはポット1。この事実には何らかの意味があるはずで、日本に負けることは想像できない」
――グループHからはどこが通過すると思いますか?
「ポーランドとコロンビア。ポーランドにとっては何より初戦が大事になる。セネガルに勝っていいスタートさえ切れれば、グループリーグ突破に近づく。正直、セネガルに勝てないようなら相当ガッカリする。もしかしたらポーランドにとって最も楽なゲームになるかもしれないからだ」
――セネガルやコロンビアの印象はどうですか?
「セネガルについては日本同様、あまりよく知らないんだ。例えばコロンビアならファルカオのことは誰でも知っている。でも、セネガルについては、私たちからすればまったく目に入っていなかったチームだ。
幸運なことに、ポーランドには1974年のW杯に選手として出場したヘンリク・カスペルチャクという指導者がいて、かつてセネガル代表監督を務めていたことがあった。セネガルについては彼から情報を得ることができるだろう」
――ポーランド代表の現状はどうですか。ロシア大会でも上位進出が期待されていると思いますが。
「ポット1に入っているが、ポーランドサッカー界のレジェンドでサッカー協会会長のズビグニェフ・ボニエクは、『ポーランドの本当のランキングは15位から30位の間』とコメントしている。ポット1に入ったことで、クループリーグでブラジルやドイツといった強豪国との対戦がなくなったのはラッキーだったけど、現在のポーランドが実力以上に評価されているという事実は否定しない。
それでも、ポーランド国民は大きな期待を胸にロシアW杯を迎えることになる。だからエースのレバンドフスキにはいい状態でW杯開幕を迎えてほしい。彼がブンデスリーガや欧州予選のようにゴールを量産することができれば、ポーランドにとってかなりの追い風になる。
もちろん、ポーランドには他にもいい選手がいる。グジェゴシュ・クリホビアク(ウェストブロム)、ウカシュ・ピスチェク(ドルトムント)、ヤクブ・ブワシュチコフスキ(ヴォルフスブルク)、カミル・グロシツキ(ハル・シティ)……みんな重要な選手で、彼らこそがポーランドの屋台骨を支えている。
ただ、主力選手にケガ人が出るようだと、穴を埋める選手はややレベルが下がるだけに、苦しい戦いを強いられることになるかもしれない。残念ながらポーランドの選手層はそれほど厚くない。
ロシアでは、まずグループリーグ突破が目標になる。そして、もしかしたらユーロ2016と同じくらいの成績、つまりベスト8には進めるかもしれないし、それができればポーランドとしては大成功といえる。ポーランドが最近出場した2002年日韓大会、そして2006年ドイツ大会では、1勝しかできずにグループ突破を逃しているからね。ただ、今回はベスト8進出も実現可能だと思っている」
――ポーランド代表のいい点、悪い点についてはどう分析していますか。
「ひと言では語りつくせないが、とてもいいサッカーをしている。攻撃に関しては32チームのなかでも屈指だと思う。予選10試合で28ゴール数を記録し、その多くがレバンドフスキの得点だったとはいえ、彼だけではなくて(予選はケガで欠場が多かった)アルカディウシュ・ミリク(ナポリ)も得点源として期待できる。
一方、守りには多少問題を抱えていて、昨年11月のメキシコ戦(0-1の敗戦)でもそれが出てしまっていた。ただ、アダム・ナバウカ監督もそこは気にしているだろうし、本大会までには修正してくるはずだ。守備がもう少し安定すれば、ポーランドはかなり強くなるし、ポット1にふさわしいチームになる。レバンドフスキの状態さえよければ、大成功を収められるはずだ。
日本にチャンスがあるとすれば、ポーランドはときどき油断からか、立ち上がりに集中力を欠くようなプレーを見せるところがある。そこで点が獲れるかどうかではないか」
――ポーランドにとってはやりやすいグループに入ったのでは?
「そんなことはないよ。グループHはどこも力が拮抗した厳しいグループだ。むしろ、そういう発想をすることがチームを危険にさらすことになる。サッカーは1つのゴールですべてが変わることだってあるからね。このグループには『ここには絶対勝てる』というチームがいない。ミスを犯せば、取り返しのつかないものになってしまうこともある。ポーランドがグループリーグを突破することは信じて疑わないが、その道は決して楽ではないとも思っている」
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