長谷部誠(フランクフルト)は3月17日のマインツ戦で10試合連続フル出場を果たしている。マインツ戦にフル出場、3-0の勝利に貢献した長谷部誠(フランクフルト) 中盤あるいはディフェンスで起用される長谷部にとって、本来であれば取り上げる…

 長谷部誠(フランクフルト)は3月17日のマインツ戦で10試合連続フル出場を果たしている。



マインツ戦にフル出場、3-0の勝利に貢献した長谷部誠(フランクフルト)

 中盤あるいはディフェンスで起用される長谷部にとって、本来であれば取り上げるべき数字ではないだろう。しかし、去年の年末までは膝の故障で常時出場は叶わなかった。本人も「毎日、膝に調子を聞かないとわからない」と、断続的な不調と付き合っていることを匂わせていたし、この夏でフランクフルトとの契約が切れることをドイツメディアに聞かれると、「膝のこともあるし、クラブが二の足を踏むのもわかる」というような回答をしていた。

 その様子から、今年に入ってからも、膝の具合を見ながら休み休みいくのだろうと思っていた。ところが、後半戦に入ると一転、長谷部はドイツ杯マインツ戦を除くすべての試合でフル出場を果たしている。キッカー誌などの採点でも安定した評価を得ており、チームも現在4位と好調だ。

 日本代表の欧州遠征に向けて、「2試合とも出場するつもりか?」と問われると、苦笑しながらこう答えた。

「やるつもりというか、それは監督が決めることだし。コンディション的にもずっと試合には出ていますし、連戦もこなしていますし、問題ないですね。足はもう問題ないです」

 長谷部はマインツ戦、立ち上がりはリベロで出場し、フランクフルトは前半のうちに3得点を挙げている。その後、マインツが得点を狙ってシステムを変えてくると、今度はボランチに入って対応した。長谷部がこのところ強調するのは、自身がチームのシステム変更を可能にする存在であるということだ。

「自分が使われている意味というのは、やはり試合のなかでディフェンスラインにも入れるし、中盤でも(できる)。相手が変えてきたら、自分たちも変えられるという部分で、自分のいる意味というのが大きいと思う。そこで(存在感を)示さないとね。本当に競争は厳しいので、このチームでは簡単に出られなくなると思うし、どちらで出てもしっかりとできるようにしています」

 試合中にポジションを変更するなど、フレキシブルな対応をするうえで大切なことがあるという。

「多少なりとも(リベロから見て)ボランチの選手にどう動いてほしいとか、そういうものはありますけどね。でもそれよりも、ふたつのポジションで切り替えなきゃいけないのは頭のスイッチ。まあ、自分の中ではそんなに難しいことだとは思っていないです」

 もっとも、残念ながら長谷部のその”能力”が、日本代表でのプレーに生かされたり、システムの選択肢を増やすことに直結することはない。ハリルホジッチは基本的に3バックにはトライしていない。そうなると、4バックのCBのうちの1枚に長谷部が入るということはあまり現実的ではなく、やはりボランチでのプレーということになりそうだ。

 その日本代表について、長谷部は言う。

「代表という場所は、本当に誰が毎回入るかわからないし、それぞれの選手選考に対して、選手が何かを言うのはあまりいいことではないと思う。逆に選ばれた選手には、しっかりとそれぞれの立場で役割というのがあると思う。それは僕個人もそうです」

 では、経験豊富な主将・長谷部にとっての立場、役割とはどういうことになるのだろうか。

「まずは代表へ行くと、監督がこの合宿に関してどういう意図を持ってやるか、みんなに話すと思うので、そこを聞いてから(何をすべきかが明らかになる)、というのがあります。自分の役割としては、これまでさまざまなことを経験してきているので、新しい選手もいますし、久々に来る選手もいますし、さまざまな選手とコミュニケーションを取ってやりたいです」

 そう語る長谷部の様子は冷静そのもの。だからこそ長らく主将を務めることができているのだろうし、やはり日本代表にとって欠かせない存在であるとあらためて思わされる。長谷部に関しては今回の遠征より、重要なのは現在の好調ぶりを本大会まで維持してくれるかどうか、だろう。