富士山ステージまでに、イラン勢をクラックさせる。それが日本チームに、あるいはワールドツアーやプロコンチネンタルチームにとってもツアー・オブ・ジャパンを勝つためのほとんど唯一の方策。そして今年新設された京都ステージは、急勾配とテクニカルな下り…

富士山ステージまでに、イラン勢をクラックさせる。それが日本チームに、あるいはワールドツアーやプロコンチネンタルチームにとってもツアー・オブ・ジャパンを勝つためのほとんど唯一の方策。そして今年新設された京都ステージは、急勾配とテクニカルな下り、狭い道幅など好条件が揃う。加えて朝からの雨。イラン勢は冷たい雨に弱いともっぱらのウワサ。

結果から言えば、波乱は起きなかった。ユナイテッドヘルスケアが中心となって消耗戦に持ち込もうとしたが、大会二日目からリスクを負いたがる選手はそう多くはなかった。残り2周で飛び出した6名の逃げがこの日唯一の総合成績への攻撃的なアクションだったが、ここにガデル・ミズバニ(タブリーズ)、アミール・コラドゥーズハグ(ピシュガマンジャイアント)の二人のイラン人に入られては、打つ手はなし。イラン勢に対しての、悪天候や厳しい展開にほころびを見せるとの評はいよいよ信憑性が無くなってきた。彼らこそ百戦錬磨の選手ではなかっただろうか。どれだけの攻撃に耐えて数々の栄光を手にしてきたのか、思い出そう。

この6名のうち、日本人選手は3名。堀孝明(宇都宮ブリッツェン)、西薗良太(ブリヂストンアンカー)、平塚吉光(愛三工業)はそれぞれチームエースの総合成績を踏まえての逃げ。特に序盤の逃げに大久保陣を送り込んだ宇都宮ブリッツェンはレースのいい形を作れている。昨日のプロローグも区間3位に入ったエースの増田成幸は集団スプリントで8位の現在総合4位と理想的な序盤2ステージを過ごした。

ベルギーのワンデイクラシックレースのような、とまことしやかに囁かれた京都ステージは結局集団スプリントとなった。格の違いを見せたダヴィデ・チモライは優勝後もひょうひょうとした表情。一方で、チームメイトのデネグリが2位となった背中をその真後ろで見た窪木一茂(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は悔しさからフィニッシュライン上で手を振った。

ゴールライン上で全日本チャンピオンジャージが両手を離すのを見るなら、次は勝利がいい。

集団スプリントで終わった京都ステージは果たしてイージーなレースだったのか? 答えはノー。総合成績にインパクトを与えずとも、1日集団をコントロールしたユナイテッドヘルスケアのアシスト勢は大きく遅れてゴールしている。テクニカルなスピードコースに小玉凌を落車で失い、間瀬勇毅も痛手を負った若き日本ナショナルチームにとっても厳しいステージになった。レースは決してイージーではなかった。

そして月曜日の京都ステージ。フィニッシュストレートの観衆、KOMへ至る上りでの観衆の多さが印象に残る。平日にロードレースを、ツアー・オブ・ジャパンを観にこれだけの人が集まるとは。だからこそ、日本人選手のきらめくような走りと勝利が、見たい。大会はまだ2日を終えたばかりだ。