フランス・パリで開催されている全仏オープン(5月22日〜6月5日)の7日目。 降雨によるスケジュールへの影響はあったが、予定通り男女シングルスのベスト16が出揃った。男女それぞれのトップシード、ノバク・ジョコビッチ(セルビ…
フランス・パリで開催されている全仏オープン(5月22日〜6月5日)の7日目。
降雨によるスケジュールへの影響はあったが、予定通り男女シングルスのベスト16が出揃った。男女それぞれのトップシード、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)とセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が4回戦に駒を進める中、ファンをがっかりさせたのは第6シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)の棄権だ。エルネスツ・グルビス(ラトビア)に5-2とリードしながら内転筋の肉離れにより試合続行をあきらめた。
なお、土居美咲(ミキハウス)と大坂なおみ(日本)のダブルスは2回戦でカテリナ・スレボトニク/アンドレヤ・クレパーチのスロベニア・ペアに1-6 2-6で完敗。これで日本勢は錦織圭(日清食品)以外、男女単複を通じて全員姿を消した。
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人気者が次々と消えて行く------。前日にラファエル・ナダル(スペイン)が大会からの棄権を発表し、この日は地元フランスのナンバーワン、ツォンガがエルネスツ・グルビス(ラトビア)との3回戦で途中棄権した。
今大会はもともとロジャー・フェデラー(スイス)や地元フランスの人気者ガエル・モンフィスの欠場が、ファンをがっかりさせていただけに、セカンドウィークを迎える前の相次ぐトップ選手の棄権に、大会関係者は頭を抱えていることだろう。女子もマリア・シャラポワ(ロシア)が例のドーピングの問題で暫定的な出場停止状態にある。
ツォンガの途中棄権によって4回戦に駒を進めたグルビスに、記者が尋ねた。 「フェデラーとモンフィスが出ないことが大会前にわかって、ナダル、そしてツォンガもいなくなった。大会の開幕から2日間は雨で台無しだったし、来週も雨の予報だ。大会関係者やファンにとってこの状況はどうだろうね」
歯に衣着せぬ物言いが痛快なグルビスは、神妙な表情から最後はニヤリと本心も覗かせた。 「でも当然だけど大会は続いていく。人気の選手たちがいなくなったことはとても残念で、確かにこれ以上悪い状況はあまり考えられない。でも僕たちにチャンスは広がった」
欠場者や棄権者の多さと雨を結びつけるのは無理があるが、少なくとも今回の現象には何か原因があるのではないか。答えは意外と単純かもしれない。人気者が皆、年をとってきている証拠なのではないだろうか。
30歳を過ぎればケガも多くなると言われる。フェデラーは34歳、ツォンガは31歳、ナダルとモンフィスは今年30歳だ。なかなか世代交代が進まない中、ツアーはもう長年、ほとんど同じ顔ぶれの主役たちによって引っ張られているのだ。
その状況を健全に保つことが難しくなりつつある現実に突き当たった今大会、なおさら若手の生き残りに期待がかかる。しかし、ベスト16の中で若手と呼べるのは22歳のドミニク・ティーム(オーストリア)くらい。一方、30代プレーヤーは依然6人いる。確かなことは、年代にかかわらず残っている誰もがグルビス同様に「チャンスの広がり」を感じているということだ。波乱はまだあるかもしれない。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)