中国の背中が遠く見えた頂上決戦だった。4日間にわたる「チームワールドカップ2018」<2月22~25日/イギリス・ロンドン>最終日の男女決勝は、いずれも日本対中国の顔合わせとなり、世界王者・中国がダブルス1本、シングルス2本を制すストレー…

 中国の背中が遠く見えた頂上決戦だった。4日間にわたる「チームワールドカップ2018」<2月22~25日/イギリス・ロンドン>最終日の男女決勝は、いずれも日本対中国の顔合わせとなり、世界王者・中国がダブルス1本、シングルス2本を制すストレートで圧勝。若く勢いのある日本代表チームに対し、男女それぞれ1ゲームずつしか与えず世界王者の貫禄を見せつけた。これで中国はチームワールドカップにおいて男子が通算9勝、女子は通算10勝をマークしたことになる。

石川佳純 Photo:Itaru Chiba


男女ともに口をそろえる「あと1本」の差

 大事な場面であと1本が取れない。それは中国との決勝直後に日本の選手たちが相次いで口にした感想だった。おそらくテレビ中継で試合を見ていた方の中にも、同じようなことを思った人は少なくないだろう。



 特に女子は近年、中国人選手を相手に互角の戦いをし、時には追い詰めたり勝ったりする試合もある中で、競り合いやゲームポイントを握った時など、先に日本にミスが出てしてしまう傾向にある。中国が相手の場合、ここぞという時の決定力にどうしても欠けてしまうのが悩みの種だ。

 例えば今大会、エースダブルスとして1番手で試合に臨み、チームに勢いをつけた伊藤美誠(スターツSC)/早田ひな(日本生命)ペアは、五輪や世界卓球金メダルの丁寧/劉詩ブンペアに1-3で敗れたが、伊藤の速い台上プレーと早田のパワードライブを軸にした攻撃的なプレーは中国の熟練ペアに十分通用していた。しかし、大会前から二人が警戒していた左右への揺さぶりや伊藤が磨きをかけたバックハンドドライブを封じる回転量豊富なボールを多用されると、みまひなペアの持ち味が発揮できなくなってしまう。

早田ひな/伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba


 その顕著な例として、早田は第1ゲームの7-5で自分たちがリードしたシーンを挙げ、「相手が仕掛けてきた時、自分に2本ミスが出た。あそこでしっかり対応してついていかないと、結局離されてしまう」と振り返っているが、中国人ペアはカウンター攻撃で連続得点されたのを踏まえ、緩急をつけたボールで伊藤と早田のタイミングを外しミスを誘ってきた。これに早田が対応できず、両ハンドともオーバーミスになってしまった。こうした中国人選手の相手の得意技を封じる巧さについては、伊藤も自身のシングルスを振り返りこう語る。



「コースの揺さぶりは自分もできていたと思う。あとはもっとタイミングを変えていけるようになりたい。全てが速いボールになってしまうので、もうちょっと柔軟に考えてゆっくりなボールも混ぜて緩急をつけたい」

女子の馬場美香監督が「中国は非常に強く壁の厚さを感じるが、日本も一つ一つの技術の精度を高めていけば、もう少し差は縮まるはず」と話し、約2カ月後に控えた世界卓球ハルムスタッド2018に向けて、「自分たちの課題が明確になったし、中国はまた新しい技術や戦術を使ってきていたので、今の方向性が見えたことも収穫だった」と語った。

(文=高樹ミナ)