「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(5月23~28日/ハードコート/有明コロシアム、有明テニスの森公園コート)の大会5日目は、女子とクアード、ジュニアの決勝が行われた。 女子の部は、大会17連覇を目指すオラ…
「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(5月23~28日/ハードコート/有明コロシアム、有明テニスの森公園コート)の大会5日目は、女子とクアード、ジュニアの決勝が行われた。
女子の部は、大会17連覇を目指すオランダが中国を2勝0敗で下して王座防衛に成功。クアードの部は、オーストラリアがイギリスを破って初の優勝を飾った。また、ジュニアの部は、アメリカが大会2連覇を達成している。
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クアードの決勝は、日本に勝利したイギリスがオーストラリアから第1試合を先制。イギリスは、シングルス2にジェイミー・バーデキン(世界ランク8位)を起用し、オーストラリアのヒース・デービッドソン(37位)を6-4 6-3で一蹴、イギリスに貴重な1勝目をもたらした。
ジェイミー・バーデキン
だが、オーストラリアはまったく慌てない。続く第2試合に世界ランク1位のディラン・アルコットが出場すると、イギリスのアンディ・ラプソーン(4位)に対して、果敢にネットにつめて圧力をかけ続ける。相手のミスを誘発するゲームプランで、アルコットが6-2 6-4で完勝した。そして、勝敗はダブルスへ持ち越された。
ダブルスは、オーストラリアのアルコット/デービッドソンが、試合序盤からイギリスのバーデキン/ラプソーンに攻勢をかける。「パートナー(デービッドソン)は大舞台の経験が少なく、ナーバスになっていたが、非常に頑張ってくれた。ダブルスは、お互いにいいプレーができた」とアルコット。
オーストラリア・ペアの息の合ったプレーが存分に発揮され、守備力に定評のあるイギリス・ペアを粉砕。優勝を決めた最後のポイントは、アルコットが得意とするネット際でのスマッシュだった。
クアードで初めて世界の頂点に立ったオーストラリア。初戴冠の立役者で、今大会で全勝したアルコットは「(優勝できたことが)信じられない」と、最後は高校時代に少しだけ勉強したという日本語「イチバン!」を披露して、喜びを爆発させた。
ディラン・アルコット
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女子の決勝は、連続V17を目指すオランダと、アジア・オセアニア予選制して今大会に出場した中国が対戦した。結果は、代表全員が世界トップ10入りし、層の厚さが際立つオランダが、中国を2勝0敗で下して優勝を果たした。
第1試合はオランダがマヨリーン・バイス(6位)、対する中国は準決勝で日本の堂森佳南子(ケイアイスター不動産)をストレートで退けたファン・フイミンが対戦。バイスは第1セットを6-1で先制するも、試合の中盤からファンが多用したロブと強打の緩急に大苦戦。第2セットはファンが6-2で奪う展開となった。
ファン・フイミン
最終セットは、両者ともに相手のサービスゲームを2度ブレークする攻防戦となるが、第10ゲームでバイスがファンのサービスを破り、6-4で試合を決めた。
「バイスの勝利で私のプレッシャーが軽くなった」と語るのは、オランダのエース、イスケ・グリフィオン(世界ランク1位)。シングルス1の対戦は、バックハンドの高速スライスが武器のグリフィオンが、中国のジュ・ジェンジェンに付け入る隙をまったく与えず、完璧な試合運びで6-1 6-1と圧倒した。これで2勝目を挙げたオランダが、17回連続28回目の優勝を飾った。
イスケ・グリフィオン
【試合方法】
車いすテニス世界国別選手権は、各カテゴリーで予選リーグを戦い、その後、順位決定トーナメントを実施して順位を確定。シングルス2本、ダブルス1本を戦い、2勝以上したチームに1ポイントが与えられ、獲得ポイント数で順位を決定する。 試合方式は、シングルス2→シングルス1→ダブルスの順に行う。また、男子(1、2部)と女子のリーグ戦は、それぞれ3ヵ国ずつの4リーグ。クアード、ジュニアは4ヵ国ずつの2リーグに分かれて試合を行う。
(Tennis Magazine/テニスマガジン)