テニスの試合において、今では当たり前になった自動ライン判定システムの「ホークアイ」。3D映像で打球の軌跡と落下点を判別して、サービスやストロークのインかアウトかを人間ではなく機械で判定するシステムだ。プレーしている選手が審判の判断に納得がい…

テニスの試合において、今では当たり前になった自動ライン判定システムの「ホークアイ」。3D映像で打球の軌跡と落下点を判別して、サービスやストロークのインかアウトかを人間ではなく機械で判定するシステムだ。

プレーしている選手が審判の判断に納得がいかなかった際、1セットに3回まで判定に異議を申し立てることができる「チャレンジ」の仕組みに使われている。

■「Next Gen ATP ファイナルズ」でも採用された自動判定

選手による審判の判断へのチャレンジの際に使われてきた「ホークアイ」は、現在活用される場面を広げつつある。審判の判断の是非を問うだけではなく、インかアウトか判別しづらい場合に使用する時もある。

昨年の「Next Gen ATP ファイナルズ」では、審判の判定にチャレンジする際だけではなく、インかアウトか微妙な打球だった時点でホークアイシステムがインかアウトをコールする形で使用された。

まだATPツアー全体では導入されていないものの、より正確なライン判定のために有用なシステムだといえそうだ。

■ハイスピードカメラで打球の落下点を判別

テレビや試合会場のディスプレイで表示されるボールの軌跡と落下点の表示はどのように行われているのか、なかなか見聞きすることはない。実際には裏側で多くのテクノロジーが使われているという。

その一つがハイスピードカメラだ。通常では一つのコートに10個のカメラを設置して、選手とボールの動きを追跡。試合中に選手がチャレンジを宣言すると、ホークアイの判定を表示するボールを選び、その結果がカラー3Dの映像で表示されるという寸法だ。

ただし、ATPツアーの全ての試合で使用されるわけではない。たとえば2018年の「全豪オープン」では、ロッド・レーバー・アリーナ、マーガレット・コート・アリーナ、ハイセンスアリーナ、小コート2、3、8と設置されているコートも限られていた。さらにクレーコートでは、ボールの落下点が地面に残りインかアウトか判断できることから、グランドスラムのなかでも「全仏オープン」でホークアイは使用されていない。

さまざまな角度から撮影される映像を解析して下す判定は重要なポイントの獲得を左右したり、ともすれば試合の流れをがらりと変えてしまったりする可能性ももちろんある。

選手一人ひとりにとっても、ホークアイシステムを活用したチャレンジの使い方で勝敗が分かれることもあり、テニスの試合の重要な一部になっているといえるだろう。(テニスデイリー編集部)

※写真はホークアイのライン判定とその映像を背にするマレー

(Photo by Giuseppe Maffia/ActionPlus/Corbis via Getty Images)