「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(5月23~28日/ハードコート/有明コロシアム、有明テニスの森公園コート)の大会5日目は、女子とクアード、ジュニア決勝が行われた。 日本チームは、女子とクアードが3、4…
「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(5月23~28日/ハードコート/有明コロシアム、有明テニスの森公園コート)の大会5日目は、女子とクアード、ジュニア決勝が行われた。
日本チームは、女子とクアードが3、4位決定戦に登場。ともに2勝1敗で対戦国を倒して3位入賞を果たした。
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準決勝・中国戦に敗れた日本女子チームは、ロシアと3、4位決定戦を行った。シングルス2に田中愛美(ブリヂストンスポーツ/世界ランク41位)を投入。前日の敗戦から流れを変える目的で女子コーチの大高優コーチがふるった采配だったが、ビクトリア・ルボワ(世界ランク25位)に0-6、2-6で敗れた。
田中愛美
続くシングルス1の上地結衣(エイベックス/世界ランク3位)は、ルドミラ・ブブノワ(世界ランク16位)に6-1、6-2と勝利し、勝負の行方はダブルスへ。日本は、ここまで上地/堂森佳南子(ケイアイスター不動産/世界ランク17位)で多くの試合を戦ったが、この日は上地と二條実穂(シグマクシス/世界ランク22位)がペアを組んで試合に挑んだ。
勝てば3位、負ければなにもないというプレッシャーの中でも、上地と二條はコンビネーションよく動く。チャンスがあれば攻撃的に仕掛ける二條のプレーにロシアのルボワ/ブブノワ組も攻めあぐねていた。スコアを6-4、6-1で決め、日本チームの3位を確定させた。
日本での開催、そして大声援の中での勝利に選手たちは一様に「応援が力になった」と語った。女子チームのコーチを務める大高コーチは、「これほどの観客の声援の中で戦ったことがなかった。いい経験ができた」と話す。日本選手たちがチームでつかんだ3位という成績は、今年のリオデジャネイロ・パラリンピックに必ずつながることだろう。
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日本クアードの3、4決定戦、対イスラエル戦は、シングルス2に古賀貴裕(ヤフー/世界ランキ22位)が起用された。しかし、相手はロンドン・パラリンピックのシングルス金メダリスト、ノーム・ガーショニー。古賀は0-6、1-6の完敗で、まずはイスラエルが先勝する。
続くシングルス1にイスラエルは世界ランキング5位のイタイ・エレンリブが出場。対する日本は世界ランク6位の諸石光照(フリー)。諸石は、第1セットこそ1-6であっさりと奪われたが、ここから諸石の強さが発揮される。第2セットはシーソーゲームとなるも、諸石がエレンリブから7-5でセットを奪うと、ファイナルセットは一気に6ゲームを連取して勝利。日本女子と同様に、クアードもダブルス勝負となった。
諸石光照
諸石/川野将太(シーズアスリート/世界ランク9位)組とエレンリブ/シャラガ・ワインバーグ(世界ランク12位)組のダブルスは、白熱したものとなった。第1セットをイスラエルが6-2で奪うも、2セット目に日本がゲームを終始リードして6-4で逃げ切ってセットカウントは1-1。
この時点で、時刻はすでに20時を過ぎてコートには照明も点き、観客も増え、日本への声援がますます熱くなる。
ファイナルセットは10ポイント先取のスーパータイブレーク。4ポイントを連取した日本だったが、その後イスラエルに5ポイントを連続で奪い返される。さらに、イスラエルに6-7、7-8とリードされる場面もあったが、日本がそこから連続で3ポイントを取って勝利を収めた。最後のポイントは、川野のバックハンドスライスのウィナーだった。
川野将太
諸石と川野のペアは、4年前のロンドン・パラリンピックの3位決定戦でイスラエルの選手に敗れて、銅メダルを逃している。「(ロンドンのときと相手チームは)メンバーが違うが、同じイスラエルだったので、ロンドンのときの仕返しというか“絶対に勝ってやろう”っていう気持ちがあった。(その気持ちを今日は持ち続けてプレーしたのか、という問いに)。いや、昨日からそう思っていた」と、諸石は勝利への執念を内に秘めていた。
今大会の日本クアードチームの戦いぶりは、3位という栄誉とともに、車いすテニスの「クアードクラス」を多くの人に認識してもらう、大きなきっかけになっただろう。
(テニスマガジン/ライター◎酒井朋子)