昨年来、怪我に苦しんできたラファエル・ナダル(スペイン)、アンディ・マレー(イギリス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、スタン・ワウリンカ(スイス)は、2018年の「全豪オープン」終了までにカムバックを果たせたのか。今回はその状況を解説す…

昨年来、怪我に苦しんできたラファエル・ナダル(スペイン)、アンディ・マレー(イギリス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、スタン・ワウリンカ(スイス)は、2018年の「全豪オープン」終了までにカムバックを果たせたのか。今回はその状況を解説する。

■ナダル

ナダルの怪我は、2016年の「全仏オープン」の途中棄権となった左手首の怪我、2017年の「Nitto ATPファイナルズ」の途中棄権となった膝の怪我がある。膝の怪我は、2017年に復活してほとんど休むことなしに1年間を戦った最後での怪我なので仕方がない部分はあるだろう。同時に復活したロジャー・フェデラー(スイス)は、クレーコートの試合を全て欠場し2017年は57試合、対してナダルは78試合と21試合も多い。その意味ではナダルは無事復活を遂げていると言っていいだろう。そして2018年の「全豪オープン」準々決勝ではマリン・チリッチ(クロアチア)との戦いで太ももを痛めたが、それほどひどくないらしい。「全仏オープン」に向けて順調に回復するとみられる。

■ジョコビッチ

ジョコビッチも2017年の「ウィンブルドン」の途中棄権以来、2018年の「全豪オープン」が公式戦での復帰大会となった。初戦は良かったものの肘の痛みが再発し、4回戦でチョン・ヒョン(韓国)に6(4)-7、5-7、6(3)-7のストレートで敗れた。この試合ではヒョンが良かったこともあり、一概に復活は失敗だと判定するのは気の毒のような気がする。しかし肘痛をかかえており、完全に治っていない印象は拭えなかった。ジョコビッチの場合はフォアハンドとバックハンドに依存する比率の高い選手なので肘にくる負担は大きく、その負担を減らすためにはネット技術の向上が課題だろう。ネット技術が重要なダブルスでグランドスラムを2回制しているラデク・ステパネク(チェコ)がコーチの一人に加わり、この課題も解決されていくと思われる。

■マレー

マレーの場合は最近右側臀部の手術を受けたということで、2018年の「全豪オープン」は欠場となった。「ウィンブルドン」までには復帰したいと述べているがどうだろうか。

マレーも30歳となり体力の衰えに直面している。マレーというと信じられないようなボールにも追いつく驚異のフットワークが思い浮かぶが、実はこれが彼の体力の消耗を速めている。フォアハンドもバックハンドもサーブもボレーもたいへん優れた技術を持っており、完全なオールラウンダーへの道を進むべきといえるだろう。特にボレーが優れているので、フェデラーのように多用して体力の消耗を防ぐ必要がある。本人いわく、世界ランキング1位のことをあまり考えず試合数を考慮してグランドスラムでの優勝を目指すとのこと。良い決断と思われる。

■ワウリンカ

ワウリンカは、2017年の「ウィンブルドン」の1回戦敗退後に左膝を痛め手術を行い、その後の試合の全てを欠場。そして先月の「全豪オープン」での復活となった。本人がまだ完全ではないと言っているように、確かに動きは良いとはいえず、2回戦でテニス・サングレン(アメリカ)に敗れた。しかしその後サングレンはドミニク・ティーム(オーストリア)を破っているので調子を判断するのは難しいが、完全復調には時間が掛かるだろう。

考えてみればBIG4と言われるフェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーとその次に位置するワウリンカは全員30歳を超えており、それぞれが年齢の衰えと向かい合わなければならない。ここでも最も成功しているのはフェデラーだ。他の4選手もそれぞれの方法で克服し、末永く輝かしい選手生活を送ることが期待される。(テニスデイリー編集部)※写真は左からナダル(Photo by XIN LI/Getty Images)、ジョコビッチ(Photo by Julian Finney/Getty Images)、マレー(Photo by Jordan Mansfield/Getty Images for LTA)、ワウリンカ(Photo by Alex Goodlett/Getty Images)