専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第142回 俗に言う「どんくさい」という言葉ですが、これは上方の言葉で「間が抜けている」「のろまである」「ダサい」という意味で使われます。 じゃあ、ゴルフ場にはどんくさいコース…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第142回
俗に言う「どんくさい」という言葉ですが、これは上方の言葉で「間が抜けている」「のろまである」「ダサい」という意味で使われます。
じゃあ、ゴルフ場にはどんくさいコースってあるのでしょうか。あるいは、自らがゴルフ場でどんくさいことをしていないか、検証してみたいと思います。
ゴルフにおけるどんくさいの”鉄板ネタ”と言えば、トイレ問題。ゴルフ場にはトイレが相当数あるにもかかわらず、朝は「大」のほうがいっぱいになっていることがよくあって、”どんくさい事件”がしばしば発生します。
例えば……。
外でパターの練習をしていたら突然、お腹に差し込みが襲ってきたりします。
「これはいかん。早くトイレに行かないと……」
そう思って、すかさず”欽ちゃん走り”で内股に力を入れて、トイレにかけ込みます。が、個室は全部使用中。ガ~ン!
「まずい、何とかしないと……」
額に脂汗を浮かべ、気持ちは焦るばかりですが、扉をひとつひとつ確認しながら”空き部屋”を探していきます。すると、奇跡的に一番奥の個室が空いているではないですか!
「やったぁ! 朝から幸先いいぞ!」
なんて思って中をのぞいて見ると、なんとそこは和式のトイレ!?
名門コースなどでは、和式トイレが好きな古参メンバーの強い要望で、ひとつだけ残している場合があるんですよね。
「参ったぁ~。和式トイレを使うなんて、何年ぶりだよぉ~。これって、自分の出したものの匂いが直撃だから、嫌なんだよねぇ~」
歳をとると足腰が弱っていますから、和式だとそれもまたつらい。さて、どうしたものか……。我慢して、洋式の部屋が空くのを待つか……。
「そんな余裕ある? いや、ぜんぜんない!」
すでに”肛門様”から”ご本尊”がはみ出そうだし……って、ホントどんくさいなぁ~。
結局、極限状態に達し、諦めて和式トイレで”糞死”しましたとさ。
続いて、某バブルコースでの体験談です。
そのコースは、建物も立派、コースも最高です。午前中から非常に楽しいラウンドを満喫できました。
ところが、午後になって森の奥のほうまで行ってラウンドするや、微妙な匂いが漂ってきました。実は、近くに養豚場があったんですね。風向きによっては、その匂いがコース内に充満し始めるわけです。
決して、養豚場さんが悪いと言っているのではないですよ。話を聞いたら、最初に養豚場があって、コースはあとからできたそうだし。
ゴルフ場を造ったバブルの頃、オーナーは「そのうち肉類は全部輸入することになって、養豚場もなくなるだろう」と読んだのかもしれません。でも現実は、ゴルフ人口が減る一方。なくなりそうなのはコースのほうだったりして……。
どんくさいの中には「間が悪い」という意味もありますが、そんなお話もひとつ。
最近では、レストランでのランチをバイキングにしているコースが結構ありますよね。あれって、好きなものを好きなだけ食べられてうれしいのですが、スタート時間が遅いときなど、午後1時前後に昼休憩となって、レストランに行ってみると、美味しそうなものはあらかた食べられてしまっているってことが、往々にしてあります。
残ったメニューと言えば、カレーとチャーハンと焼きそばって、全部炭水化物やん。
そこで、ウエーターやウエートレスに「ローストビーフはないの?」と聞くや、「ローストビーフは完売しまして」と言うから、「バイキングで完売ってあるの?」なんて、ケチをつけて押し問答……。どんくさいですなぁ~。
まあ、こちらも大人ですから、しつこく言ってもしゃあないと、適当におかずを作ってもらって食べましたよ。とにかくランチがバイキングのときは、早めのスタートに限りますね。
続けて、どんくさい話をどんどんいきますよ。
某国際空港の近くのコースでのこと。飛行機が目の前を飛んでいく~って喜んだのも束の間、3分に1回くらい、すごい爆音で飛んでいくから、うるさいのなんのって。もはやゴルフになりません。
キャディーさん曰く、「普段は静かなんですが、風向きが変わると、進路を変更してうるさいんです」って、ほんまかいな。実際のところ、毎日うるさいような気がします。
空港近くのゴルフ場では、飛行機の音が本当にうるさいんですよね...
あとね、とあるコースで、ボールを林に打ち込んで探していたら、焦げくさい匂いがして、ふと見上げたら、黒焦げになった樹木が中折れになっていました。聞けば、最近カミナリが落ちた跡なんだそうです。
くわばら、くわばら。悪いけど、このコースには雨の日は行きません。かんにんな。
どんくさいのは、コースやお客さんだけではありません。コーススタッフにもどんくさいことをする人がいます。
某コースの管理の人は、猛暑日にグリーンに水をまこうとして、とんだ失敗をやらかしたとか。スプリンクラーの蛇口を開けたら、そこから熱いお湯が出てきて、グリーンを枯らしてしまったのです。
ありえない暑さで、水道管の中の水も相当熱くなっていたんですな。これ、実話ですよ。コース管理の方を責める気はありませんが、やっぱどんくさい話ですよね。
再び、どんくさいコースのお話。
工事中で、ミドルホールが170ヤードのショートホールになっていた、というコースがありました。「なんだよ、やたらショートホールが多いと思ったら、ここは本来ミドルだったのね」と納得してプレーするも、ホール内ではショベルカーとかが騒音を響かせて、たまったものじゃありません。ほんと、どんくさいショートホールだなぁ~。
まあでも、そうやってぶつくさ文句を言いながらも、その日のスコアが「89」だったりすると、そんなことも忘れてにんまり。
「パー71のコースでよかった。パー72だったら、80台なんて出なかったもん」ってね。どんくさいショートホールに感謝ですな。
コース内のバンカーなんかも、どんくさい場合がありますよ。
大雨で砂が流失して、バンカーの底が見えたことがありました。バンカーの底は、シートみたいなもので底を作って、その上に砂を入れているのですが、その黒っぽいシートが見えたりして……どんくさいですなぁ。
もしそこにボールが転がっていったら、シートの上からバンカーショット? まあ、それは動かして砂の上からになりますがね。
お金がないのか、砂の補充をしていないバンカーっていうのもありました。でも実は、砂がふかふかのバンカーよりも、砂が少ないほうが打ちやすいんですよ。ビンボーコース、バンサイ!って、これまたどんくさいやっちゃなぁ~。
どんくさいことは、コースを離れてキャディーバッグの配送を受け付けるコンビニでも起こります。
まず、お店にキャディーバッグを持っていくと、いきなりメジャーで寸法を測るバイトくんがいたりします。いやぁ、どんくさいです。
「あのね、キャディーバッグの宅配料金は一律で決まっているから、測らないでいいの」って、説明してあげないといけませんから。
最近の若者はゴルフを知らないから、あり得ないことを平気でやります。
さらに「プレー日はいつですか?」と聞かれて、「金曜日です」と答えると、「じゃあ、金曜日着でいいですか?」だと。おまえ、本当にゴルフを知らないんだな、と呆然としてしまいます。
で、「金曜日に到着したら、金曜日にプレーできないでしょ」と説明するんですが、それも理解できない。これ、マジっすよ。
最終的には、「いいから、木曜日着にしておいて」と言うと、「わかりました。それで、到着時間は何時にしますか?」だって。
「ゴルフ場には契約している宅配業者が夕方までに集配に行くから、時間は関係ないんだよ」と、そこまで説明するのがもう大変。このように、最近のコンビニの店員はゴルフについて非常にどんくさいです。
ゴルフをやらない世代と付き合っていくのは、ほんと疲れますね……。
木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。
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