「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(5月23~28日/ハードコート/有明コロシアム、有明テニスの森公園コート)の大会3日目は、クアードクラスの日本代表が昨年優勝国のアメリカを2勝1敗で下し、決勝…

 「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(5月23~28日/ハードコート/有明コロシアム、有明テニスの森公園コート)の大会3日目は、クアードクラスの日本代表が昨年優勝国のアメリカを2勝1敗で下し、決勝トーナメント進出を決めた。

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 シングルス2で出場した川野の対戦相手は、アメリカの2番手を務めるニック・テイラー(世界ランク12位)と予想されたが、試合当日のオーダーには3番手のブライアン・バーテン(世界ランク13位)がエントリーされた。

 川野とテイラーの対戦成績は、最近では川野に分があり、アメリカは川野対策として現在彼に4連勝中のブライアン・バーテンをぶつけてきた。予想とは異なる相手だったが、「それにも動揺せずにプレーできれば、必ず勝てると信じていた」と川野。ファイナルセットまでもつれた試合は、川野が6-3、3-6、6-1でものにし、シングルスの1勝を挙げた。

 日本のエースとして登場した諸石は、アテネ・パラリンピックで銀、北京で銅、そしてロンドンでは銀メダルを獲得した実力者のデビッド・ワグナー(世界ランク2位)と対戦。川野のつくったチームのよい流れに乗りたかったが、2-6、2-6のストレート負け。決勝トーナメント進出の結末は、3試合目のダブルスへと持ち越された。

 粘り強く戦う日本は第1セットをゲームカウント7-5で先取するも、続く第2セットはアメリカに4-6と奪い返され、最終セットは10ポイント先取のスーパータイブレークへと突入する。

 アメリカから見て、ゲームポイント2-1の場面で日本が6ポイントを連取する。その後、7-4、8-6とアメリカに詰め寄られる場面もあったが、そこから2連続ポイントで勝利を手にした。

 「昨年の国別選手権の決勝でアメリカに負けたが、1年間作戦は練ってきたし、その作戦がうまくいった」と諸石は語り、パートナーの川野は「“アメリカを撃破する”というふたりの目標は一致していて、どこをどうすれば勝てるかを互いに話し合ってきた。今日の作戦は完璧」と喜びを見せた。

 26日(木)はイギリスとの準決勝が行われる。大会初日から連戦の続くクアードチームだが、優勝に向けて、明日も戦いに挑む。

デビッド・ワグナー(左)とニック・テイラー

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 男子は、ベルギーに勝利し、準決勝に駒を進めた。シングルス2の眞田は、格下相手に取りこぼすことなく6-0、6-0で勝利を決めた。日本チームの第1試合で勝利を積み重ねる眞田は、「自分の役割は、必ず勝ってシングルス2本で終わらせること。プレッシャーはあるが、自分の世界ランキングを考えれば、(これからも試合を)落とさずに勝ち進めると思う」と自信を覗かせた。

 国枝は昨年11月のツアー最終戦・世界マスターズで連敗を喫した世界ランキング2位のヨアキム・ジェラードとの対戦。国枝は、昨日の復帰戦よりも確実にチェアワークもよくなり、コートを駆け回る本来の姿を見せ始めた。昨年の天敵相手に6-3、6-2の完勝。

 ただ、「昨日よりもスムーズにプレーでき、試合をコントロールできている感覚はあったが、ベースラインの中からのウィナーを増やす必要がある。攻撃したときの精度がよくないので、攻撃力をもう少し上げたい」と課題を口にした。26日(木)の準決勝進出を決めた日本は昨年の優勝国・イギリスと対戦する。

国枝慎吾(左)とヨアキム・ジェラード

 日本女子も男子とクアード同様、順当に決勝トーナメントに進出を決めた。予選リーグ2戦目の相手はイギリスだったが、シングルス2の堂森佳南子(ケイアイスター不動産)が、ルーズ・エスペランザメリー(62位)に6-3、6-1で勝利。続く上地結衣もルイーズ・ハントに6-1、6-1の完勝。26日(木)の準決勝に駒を進めた。

 準決勝の相手は、過去に上地が「要注意国」として名前を挙げた中国。予選リーグ突破後の会見で上地は「明日の中国戦もかなりタフな試合になる」と警戒する。試合後、日本チームは中国チームのダブルスの試合を観戦した。「ミスのすごく少ない印象がある。

 今日、ダブルスをプレーしていた中国選手(ファン・フイミン/ジュ・ジェンジェン)がどういう動きをしているのか、どういう球が相手のチャンスボールになるのかを確認して、コーチと話し合いをした」と上地。パートナーの堂森も「中国戦はダブルスが鍵になる。上地選手とのダブルスでやるべき役割は決まっている。その仕事を果たして決勝進出したい」と語った。

日本女子代表メンバー  ジュニアはイギリスと対戦したが、シングルスで清水克起(愛媛県立しげのぶ特別支援学校)、細井誠二郎(東京都立桐ヶ丘高校/67)ともに敗れジュニアB組の4位となり、7〜8位決定戦へと回った。ダブルスは、船水梓緒里/高野頌吾が今大会初登場し、第2セットを7-5を奪うなどの活躍も見せた。ファイナルセット、スーパータイブレークで4-10で敗れたものの、国際大会デビューを果たした。

(テニスマガジン/ライター◎酒井朋子)