専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第139回 今回は、ゴルフのトーナメントとモータースポーツのF1グランプリと、どっちのほうがセレブ感漂い、派手か、という検証です。思い出話もあって、実に味わい深いですぞ。 まず…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第139回

 今回は、ゴルフのトーナメントとモータースポーツのF1グランプリと、どっちのほうがセレブ感漂い、派手か、という検証です。思い出話もあって、実に味わい深いですぞ。

 まずは、ゴルフのお話から。去年の秋、沖縄に遊びに行ったついでにプロのトーナメントを見に行ったので、そのお話をしたいと思います。

 観戦に訪れたのは、PGMゴルフリゾート沖縄で行なわれた『HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2017』。知り合いの選手が多数出場するということもあって、ぜひ行きたいと思っていた大会です。

 一応、ゴルフ雑誌の取材ということで、プレス申請をして訪ねました。

 ゴルフの試合は何度も取材に行っており、勝手は知っています。ただ、今回違ったのは、車で訪問したこと。

 意気揚々と「我こそはゴルフジャーナリストなり」などとは言わず、「記事作りをお手伝いさせていただきます」といった態(てい)で入場ゲートに向かいました。

 そうしたら、ゲート前にいる関係者の方にいきなり、「メディアの車は、この坂道を下って右折したところに駐車場があるので、そこに(車を)置いてください」と言われる始末。

 その坂道が実に長くて、駐車場にたどり着くまで1kmくらいはあったでしょうか。会場に行くには、この道を再び歩いて戻ってこなければなりません。

 メディアパスを取ったA出版のO君は、涙目になって茫然自失。声すら出ずに、ハンドルをギュッと握り締めていました。

 そのとき、助け舟を出したのが、同乗していたテレビプロデューサーのHさん。

 Hさんは、その試合の中継を担当するキー局出身で顔が広い。念のためにと、プロ選手から「ゲストパス」を入手しておりました。そこで、ゲートで改めてその旨を告げると、その門番である関係者の表情がガラリと一変しました。

「これは、失礼いたしました。どうぞ、こちらへ」と言われ、ゲートのガードマンおよび関係者の方々が『モーゼの海割り』のように左右に分かれて、我々の車をうながしてくれました。

 しかも、駐車場はクラブハウスの目の前。いやぁ~、気分のいいこと。美人女子大生が、クラブのVIPルームにタダで通されているときの心のありようがわかったような気がしましたね。



ビッグイベントなどでは階級の高いパスの威力を思い知らされますね...

 大きな試合やイベントは、付けている「タグ」の種類で入れる場所が制限されることがよくあります。

 その”タグ・ヒエラルキー”で一番すごいのが、やはりF1レースですよね。

 昔、1991年の鈴鹿で開催された日本グランプリを見に行きました。かなりいい席が取れて周りを見渡していると、開始30分前ぐらいに、グリッドのF1マシンのところに近寄り、ドライバーと馴れ馴れしく喋っているセレブ風のお姉ちゃんを見つけてびっくり仰天。あんなところ、メディアパスや普通のゲストパスを持っていてもなかなか入っていけないですよ。

 あと、そこにはメガネをかけたF1オタクみたいなのもいて、「きっとあれは、スーパーコネクションを使ったスポンサー枠なんだな」と、羨むことしきりでした。

 ちなみに、1991年の日本グランプリは、途中リタイヤが続出し、ゲルハルト・ベルガー(マクラーレン・ホンダ)が優勝。ちょっと地味な展開で終わりました。

 せっかくいい席を確保しながらも、セレブ風のお姉ちゃんや強力なコネを持ったF1オタクのように、ピットエリアに入ってF1レーサーと記念写真を撮れなかったことも心残りとなって、トボトボと鈴鹿サーキットを後にしました。

 やれやれと近鉄線に乗って、名古屋駅までたどり着いたら、新幹線に乗り換えます。そのときでした、これまたびっくり仰天なことに直面したのです。

 なんとF1の優勝23回、ワールドチャンピオンにも3回輝いているネルソン・ピケが、席にも座らずに列車の端にうずくまっているではないですか!?

 マネジャーさんに事情を聞くと、出発の遅い列車しか座席チケットが残っておらず、急いでいたので仕方がなく、目の前に来た新幹線に飛び乗ったというのです。

 これはもう、日本人として”おもてなしの心”を見せないといけません。すかさず自分の席を譲って、ピケに座らせました。

 その代わり、記念写真を撮らせてくれ、とせがみました。それがこれです。



新幹線の中で遭遇したピケとの2ショット写真

 いやぁ~、F1日本グランプリのコースじゃ、ただのパンピーでしたが、場外じゃあセレブに遭遇。世の中、捨てたもんじゃないですね。

 というわけで話を戻しますが、ゴルフトーナメントもF1グランプリも、会場は派手に盛り上がっていて、セレブ感が漂っています。

 とりわけ、ゴルフのビッグトーナメントでは、各業界の「我こそは~!」と名乗る方々が大集合して、ほとんどお祭り状態になっていますね。

 第一にテレビ局。ローカル局が全国中継という表舞台に立つ機会ですから、応援スタッフやら、幹部やらと次々に駆けつけ、非常に盛り上がります。

 さらに、開催コースも大手のゴルフチェーンですから、本部から続々とVIPが集結。加えて、大会スポンサー、広告代理店、用具メーカー、そしてプロOBの解説者やメディア、もちろん大会に出場するトッププロと、そうそうたる人々が集まって、レストランなどは超ハイテンションになっています。

 そうそう、通常はメディアパスでもレストランに入れるのですが、この大会は規模が大きくて、パスの数も多くなって、メディアパスでは入れませんでした。

 我々は、プロデューサーのHさんが手配してくれた「ゲストパス」のおかげで、レストランに入って食事をすることができました。ただ、そのパスにも数の限りがあって、A出版のO君の分はありませんでしたが、Hさんの計らいによってお情けで入れてもらって、食券までHさんからいただいてしまいました。

 そこでは、ステーキ肉を使った美味しいハンバーグ料理をいただきました。これはちょっと、今までに食べたことのないクオリティーでしたね。

 PGMグループでは約120あるコースの中で、クオリティーの高い8つのコースを「グランPGM」と呼び、ワンランク上のサービスを展開しています。関東なら、総武カントリークラブ総武コース(千葉県)や美浦ゴルフ倶楽部(茨城県)などですね。

 PGMゴルフリゾート沖縄も、その「グランPGM」のひとつ。ゆえに、すべてにおいてレベルが高いのです。

 このように有名なトーナメントに行ってVIP扱いを受けるのは楽しい、という考えがある一方で、ゴルフなのだから、芝の上で観戦してなんぼだろ、という意見もあります。

 それは、もっともな意見です。クラブハウスの中じゃ、プレーしていませんからね。

 もちろん、我々もコースに出て観戦。親しいプロの応援も兼ねて、ハーフラウンドほど追い続けました。

 沖縄は、本当に風の強さが半端ないんですよね。プロでもみんな、ボールを風に持っていかれて、OBが続出していました。

 また、距離のあるショートホールでは、アイアンで打つ日もあれば、ドライバーで打つ日もあったとか。どんだけ風の違いがあったことやら、ですよね。

 とにかく、見ていてハラハラ、ドキドキの連続でした。もし「ラウンドしろ」と言われたら、迷うことなく、チャンピオンティーは遠慮してレギュラーティーを選びますね。

 今年も沖縄に行く機会があるので、ぜひここでラウンドしたいと思います。

 そういえば、沖縄に行くと、季節によってさまざまなトップアスリートと出会うことができます。夜でも有名選手に会えるんじゃないかなぁ~。きっと、那覇・松山の某有名キャバクラに集合しているんじゃないですか。

 今の時期なら、キャンプが近いですから、プロ野球の関係者やOBが大挙して集まっているはずですよ。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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