予想されていた熱波の第1陣が木曜日の「全豪オープン」を襲った。チェンジコートで上半身裸になり、氷を包んだタオルを首に掛けてぐったり座る選手もいれば、コート上にわずかな日陰を見つけ、そこでまめに熱中症の治療を受ける選手もいた。気温は摂氏40度…

予想されていた熱波の第1陣が木曜日の「全豪オープン」を襲った。チェンジコートで上半身裸になり、氷を包んだタオルを首に掛けてぐったり座る選手もいれば、コート上にわずかな日陰を見つけ、そこでまめに熱中症の治療を受ける選手もいた。

気温は摂氏40度 (華氏104度) まで上昇した。不運にも日中に試合が組まれた選手達は苦しみ、観客の多くは試合会場に近づかなかった。

「こんな試合をすることになるとは思っていなかった」と、4時間近くに及んだ2回戦でカレン・ハチャノフ(ロシア)を下して疲労困憊のフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)は言う。「テレビで観てるほうがいいね。それか、ビーチでビールでも飲むほうが」。

うだるような暑さに見舞われるのは「全豪オープン」では普通のことだ。あまりにもよく起きるため、大会側は、気温が摂氏40度を超えた時は3つのメイン・ショーコートは屋根を閉じ、屋外コートでは試合を延期する判断を主審が下せるという、極端な熱波対策を講じているほどだ。

木曜日の日中はほとんどの時間、気温が摂氏40度をわずかに下回ったことから、試合は中断されなかったが、だからといって厳しい暑さが選手に問題をもたらさなかったわけではない。

ガエル・モンフィス(フランス)は、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)との2回戦で、ポイントの間に何度も体を二つに折ってあえぎ、一度はジョコビッチのサーブを返そうともせずに日陰にある椅子へ戻った。

試合後モンフィスは、特にポイント間を25秒に制限する新ルールが導入された今、このコンディションは選手にとって「危険だ」とコメントした。

「すごい眩暈がした。40分ほど、軽い熱中症にかかっていたと思う」と、男子選手の中でも飛び抜けて健康だと思われるモンフィスは語った。「あの時点で大会側は行動を起こすべきだ。少し待つとか、セットの間に5分休憩を入れるとか。ちょっと調整すべきなんじゃないか」。

ジョコビッチはモンフィスに賛意を示し、コンディションは「残酷」で、これまでに経験した中でも指折りの過酷さだったと指摘した。

「気温が下がるまで何時間か試合を遅らせる措置を取るべきかもしれないと、トーナメント・スーパーバイザーが判断する日があってもいいはずだ」とジョコビッチは言う。「チケットの問題があるのはわかっている。もしプレーしなかったら、観客は不満に思うだろう」。

それにしてもこの日のコンディションは「健康上の危険をもたらす」ところまで来ていた、とジョコビッチは語った。

とはいえ、大会4日目のこの日に暑さで途中棄権した選手はおらず、むしろこのコンディションをものともしなかった選手もいた。

シェイ・スーウェイ(台湾)は、「ウィンブルドン」覇者のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)を倒す番狂わせを演じた2回戦に暑さが役立ったと感じている。

「今日はちょっとタフな天気になるのはわかっていた」とシェイは言う。「だから『ああ、私はアジア人だから、ほかの選手より耐えられるかも』と思った」。

事実、ムグルッサは熱いコートでまめができるのを防ぐために、途中で足にテーピングを施した。

「コートのサーフェスは、どれくらい熱かったのかわからないけど、ひどかった」とムグルッサは言う。「ものすごく熱かった」。

体を回復させる手段としては、ほとんどの選手が氷浴を挙げたが、シェイの回復法は異なっていた。「鍼を打ってもらう」とシェイは言った。「好きじゃないけど...でもすごく効く。マッサージも。それに、おいしいものを食べる」。

金曜日には気温はさらに上昇して摂氏42度 (華氏108度) に達すると予想される中、モンフィスは試合が予定されている選手達にメッセージを贈った。

「心から幸運を祈る」とモンフィス。「無茶はするな。ギブアップしなきゃならなくなっても、恥じることはなにもない」(C)AP(テニスデイリー編集部)※写真は「全豪オープン」の灼熱地獄を耐え抜いたノバク・ジョコビッチ

(Photo by Michael Dodge/Getty Images)