前編に引き続き、全日本の主役であり続ける水谷隼の輝かしい歴史を引き続き紹介しよう。今回は、21歳以降の全日本卓球選手権の結果を振り返る。平成22年度全日本卓球選手権・水谷隼21歳単複ともに5連覇をかけたこの大会では、水谷隼はシングルス優勝、…

前編に引き続き、全日本の主役であり続ける水谷隼の輝かしい歴史を引き続き紹介しよう。

今回は、21歳以降の全日本卓球選手権の結果を振り返る。

平成22年度全日本卓球選手権・水谷隼21歳

単複ともに5連覇をかけたこの大会では、水谷隼はシングルス優勝、ダブルス準優勝という結果だった。

ダブルスでは決勝まで進出したものの、松平健太/丹羽孝希のペアに敗れた。これで4年間負けなしだった水谷隼の全日本連勝記録は途絶えたが、日本トップの大会で50連勝という輝かしい実績を残した。

シングルスの決勝戦は前年の準決勝で苦戦した張一博との対戦であったが、しっかりと準備していた水谷隼が圧巻のストレート勝ちで5連覇の偉業を成し遂げた。

平成23年度全日本卓球選手権・水谷隼22歳

日本の卓球プレイヤーに衝撃を与えたのがこの大会だろう。

シングルス6連覇を狙う水谷隼は順調に決勝戦まで勝ち上がった。決勝の対戦相手は当時野田学園高校3年の吉村真晴。
勢いに乗る吉村真晴が3-2とリードしたが、水谷隼も執念で追いつき、最終ゲームも10-7と水谷隼がリード。試合を見ていた人のほとんどが、結局水谷が勝つのか。と思ったことだろう。

しかし、結果的にここから吉村真晴が5点連取で逆転優勝することになったのだ。

これで水谷隼のシングルス連覇の記録は5連覇で終了することになった。

一方で、ダブルスではこの年に王者に返り咲いた。

平成24年度全日本卓球選手権・水谷隼23歳

リベンジを誓って挑んだ23歳の大会で、またしても決勝戦で敗れてしまったのがこの大会。

決勝のカードは丹羽孝希だった。

3-1とリードした水谷隼だったが、そこからまさかの展開で3ゲームを連続で失い、またしても王者目前で勝ちを逃して準優勝という結果になった。

フルゲーム9点の大接戦を制した丹羽孝希はこの大会を2冠しており、ついに次世代の天才が頭角を現した大会となった。

平成25年度全日本卓球選手権・水谷隼24歳

前年の11月に結婚をした他、ロシアリーグなどにもチャレンジし、公私ともに順調な24歳の水谷隼は是が非でも優勝したかったはずだ。

そんな水谷隼は8年連続となる決勝進出。相手は明治大学の後輩、町飛鳥であったが、2年連続決勝戦で敗れた男は強かった。

特に、海外リーグで強化したというバックハンドが冴え渡り、成長を感じさせる完璧な試合内容で4-1勝ち。

これが3年ぶり6度目の優勝となった他、ダブルスも準優勝という好成績を収めた。

平成26年度全日本卓球選手権・水谷隼25歳

王者に返り咲いた水谷隼が25歳で迎えた全日本。前年に第一子が誕生した“パパ”は連覇しか狙っていなかった。

堂々と9年連続となる決勝進出を果たした。迎えた決勝の相手は、前年に引き続き明治大学の後輩・神巧也だった。超攻撃的なスタイルで攻めてくる神に対して、リードを奪われる場面も多かったが、水谷隼はロビングや、神以上の攻撃的なプレーで終始主導権を握り、ストレート勝ちを収めた。

これで2年連続7度目の優勝となった他、ダブルスも前年に引き続き準優勝となった。

平成27年度全日本卓球選手権・水谷隼26歳

世界ランク5位まで浮上していた26歳の水谷隼に敵はいなかった。

記念すべき10度目の決勝戦の相手は2010年と同カードの張一博だったが、1ゲーム目こそ奪われたものの、全く寄せ付けず4-1で勝利。ブロックが上手い張一博に対して、ラリーは続くものの、結局水谷隼が得点をするという展開が多く見られた。

これでレジェンドの齋藤清に並ぶ歴代最多タイ8度目の優勝となった他、ダブルスにおいても、長年組んでいた岸川聖也ではなく、𠮷田雅己とのペアに組み替え優勝を果たした。

平成28年度全日本卓球選手権・水谷隼27歳

そして記憶に新しい去年の全日本。リオ五輪で日本史上初となるシングルス銅メダルを獲得した絶対王者はやはり強かった。

11度目の決勝戦の相手は、吉村和宏。かつて連覇を破られた吉村真晴の弟である。

強烈なチキータを武器とする吉村和宏に対して1ゲーム目を失ったものの、しっかりと立て直し、結局4-1で勝利。

これで9回という、単独での最多優勝記録を作り上げることとなったのだ。

まとめ

振り返ってみると、尋常ではない戦歴だ。

初優勝の時から11年連続で決勝戦に進出している彼は2018年、どう戦うのか。自身の持つ史上最多優勝記録を10回に更新できるのか。非常に楽しみだ。

文・中川正博(ラリーズ編集部)