テニスコートと聞くと、どんな絵を思い浮かべるだろうか?「ウィンブルドン」の青々と茂った芝生(グラス)のコートだろうか、それとも「全仏オープン」の赤い土(クレー)のコートだろうか。いずれにせよ、一年を通じて行われるプロテニスツアーでは、テニス…

テニスコートと聞くと、どんな絵を思い浮かべるだろうか?「ウィンブルドン」の青々と茂った芝生(グラス)のコートだろうか、それとも「全仏オープン」の赤い土(クレー)のコートだろうか。

いずれにせよ、一年を通じて行われるプロテニスツアーでは、テニスコートにもいくつかの種類があり、それぞれにドラマも生まれる。

今回はそのテニスコートにはどんな種類のものがあるのか、まずは簡単に解説したい。

■「ウィンブルドン」に代表される芝生(グラス)コート

まず最初は芝生(グラス)のコートだ。特に、夏にイギリスで開催される「ウィンブルドン」が行われるコートとして知られており、テニスファンにとってはすでにおなじみかもしれない。

芝生(グラス)のコートは天然芝であることから、ボールがバウンドした際の球の動きが速く、ほかのコートに比べるとバウンドが低くなるといわれている。またイレギュラーすることが多くなり、サーブ&ボレーを得意とする選手に有利になるサーフェス(コート面)で、ロジャー・フェデラー(スイス)が得意としており、いい成績を残している。

芝生(グラス)のコートでテニスの大会が行われる時期をグラスシーズンと呼び、7月上旬の「ウィンブルドン」にピークをあわせるように6月から7月を中心に大会スケジュールが組まれている。

2018年のグラスコートでの大会は、「全仏オープン」直後の6月11日から「ウィンブルドン」を経て7月22日までの日程で組まれている。年間でも1カ月強という、ごくごく短い期間に集中して行われることになる。

グラスコートでの大会としては、6月11日から17日に開催される「メルセデス・カップ」(ATP250)と「リコー・オープン」(ATP250)、18日から24日に開催される「ゲリー・ウェバー・オープン」(ATP500)と「クイーンズクラブ選手権大会」(ATP500)、また24日から30日の間には、「アンタルヤ・オープン」(ATP250)と「AEGON国際」(ATP250)が開催される。

そしてグランドスラムの「ウィンブルドン」が、7月2日から15日に開催される運びとなる予定だ。

■全仏オープン会場「ローラン・ギャロス」に代表される土(クレー)のコート

「全仏オープン」を行うローラン・ギャロスのコートの地面は、土(クレー)でできている。一度でもフランスでのグランドスラムを観戦したことがあれば、目にしたこともあるだろう。

土(クレー)のコートは芝生(グラス)のコートと違い、ボールの球足は遅くなりバウンドがやや高くなることから、ラリー戦になる傾向がある。また、土のコートということもあり、コート上で選手が滑る動作をすることでも知られている。

そのため、必然的に強力なストロークと素早くスタミナのあるフットワークを持つ選手が得意とするサーフェスとなる。代表格はなんといっても、「クレーキング」の異名を持つラファエル・ナダル(スペイン)だろう。

土(クレー)のコートでは、芝生(グラス)コートでは開催されない「ATPワールドツアー・マスターズ1000」規模の大会も多く行われる。数多くの強豪選手同士の対戦や名勝負を見る機会にも恵まれそうだ。

多くの土(クレー)コートでの大会は4月から6月上旬までに行われ、その最後を飾るのがグランドスラムの「全仏オープン」となる。いわゆるクレーシーズンがこの時期にあたる。

クレーで行われる主な大会には、「モンテカルロ・ロレックス・マスターズ」(ATP1000)、「バルセロナ・オープン・バンコ・サバデル」(ATP500)、「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000)、「BNL イタリア国際」(ATP1000)などがある。

■本日開幕の全豪でおなじみのハードコートと、室内(インドア)ハード

芝生(グラス)や土(クレー)とあわせて、ハードコートで行われる大会も数多くある。セメントやアスファルトを基礎に作られており、グランドスラムでは本日開幕の「全豪オープン」や「全米オープン」がハードコートの大会となっている。

ハードコートはボールのバウンド時に球速が増し、打球もよくはねるといわれている。地面は滑りにくく、キュキュッと足音が鳴るのも特徴だ。ハードコートでは、フェデラーやナダルら実力者が好成績を残しているほか、2017年にはダビド・ゴファン(ベルギー)が最も多くの勝利を上げた。

ハードコートでの大会は「全豪オープン」や「全米オープン」の前後にである1月から3月、そして8月から10月に開催されることが多い。

屋内に設置されたハードコートもあり、こちらは室内(インドア)ハードコートとして、区別される。日本で開催される「楽天ジャパンオープン」はインドアハードの大会だ。

ハードコートで行われる主な大会には、3月8日から18日にアメリカのインディアンウェルズで行われる「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)、3月21日から4月1日にアメリカのマイアミで行われる「マイアミ・オープン」(ATP1000)、カナダのトロントで8月6日から12日に開催される「ロジャーズ・カップ」(ATP1000)、アメリカのシンシナティで8月12日から19日に開催される「ウェスタン&サザン・オープン」(ATP1000)などがある。

「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000)や「ATPファイナルズ」など、冬に行われる大きな大会はインドアハードで行われることが多い。(テニスデイリー編集部)

※写真は美しい芝生のコートで知られる「ウィンブルドン」の会場

(Photo by Glyn Kirk/AELTC/Pool/Getty Images)