WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 2017年12月31日付けの世界ランキングが、1週前倒しされて12月24日に発表された。 これが、2017年の最終ランキングとなるが、このランキングには大きな意味がある。この時点…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 2017年12月31日付けの世界ランキングが、1週前倒しされて12月24日に発表された。

 これが、2017年の最終ランキングとなるが、このランキングには大きな意味がある。この時点で50位以内の選手が、2018年のマスターズ(4月5日~8日/ジョージア州)の出場権を得られるからだ。

 その当落選上で明暗を分ける結果となったのが、日本ツアーを主戦場にして活躍している宮里優作(37歳)と小平智(28歳)だった。

 見事、50位に滑り込んだのは、2017年の日本ツアーで初の賞金王に輝いた宮里。このランキング結果により、2018年は悲願のマスターズ初出場を果たすことになる。

 宮里は、2017年の日本ツアー最終戦となる日本シリーズJTカップを制したものの、12月17日付けのランキングでは52位だった。しかし日本ツアー終了後、アジアツアーのインドネシア・マスターズ(12月14日~17日/ロイヤルジャカルタGC)に出場。4位という好成績を残して、最終世界ランキングでは50位まで順位を上げた。

 ちなみに、かつて日本ツアーでもプレーしたことのあるキラデク・アフィバーンラト(28歳/タイ)も、インドネシア・マスターズで5位となり、世界ランキング49位に浮上。2度目のマスターズ出場切符を手にした。

 その吉報を得て、キラデクはこう語った。

「15位に入った2016年以来、2度目のマスターズ出場となる。1回目よりもいい成績を残すため、ベストを尽くしたい」

 一方、51位以下に転落して涙を飲んだのは、奇しくも日本ツアー賞金王の座も土壇場で宮里にさらわれてしまった小平。インドネシア・マスターズ前の世界ランキングで49位だったため、同大会への出場を取りやめたのだが、結果的にはキラデクと宮里に押し出されてしまい、その選択が響いた格好だ。

 その他、ピーター・ユーライン(28歳/アメリカ)も、前週の50位から52位に転落してマスターズの出場切符を逃した。2010年の全米アマチュア選手権覇者で、2011年のマスターズにはアマチュアとして出場しているが、以降、オーガスタの地でプレーする姿は見せていない。

 とはいえ、マスターズ出場へのチャンスはまだ残されている。マスターズ開催の前週に発表される世界ランキングで50位以内に入るか、あるいは、今季(2017-2018シーズン)のPGAツアーで勝利を飾れば、マスターズ委員会(オーガスタ・ナショナルGC)から招待を受けることになる。

 とりわけ、ユーラインはPGAツアーを主戦場とするため、出場の可能性は十分にある。無論、小平もチャンスはゼロではない。PGAをはじめ、欧州やアジアなど、出場できる世界ツアーで結果を残していけば、再び世界ランキング50位以内に復帰できるだろう。まだまだ諦める必要はない。


マスターズから

「招待」を受けたことをツイートしたアーニー・エルス

 世界ランキングとは別に、クリスマスに吉報が届いた選手もいる。アーニー・エルス(48歳/南アフリカ)だ。マスターズ委員会から”招待”を受けたとして、喜びの声をツイートした。

「素晴らしいクリスマスプレゼントがマスターズから届いた。(マスターズの開幕が)待ちきれないよ」

 エルスは、2012年の全英オープン覇者として2017年まで出場資格があったが、2018年大会への出場資格はなかっただけに、誰しもエルスが”特別招待”を受けたものと思った。

 しかし残念ながら、この招待は少し違ったもので、”名誉招待”だった。

 これは、マスターズの長年にわたる伝統のひとつ。”名誉招待”は過去のメジャー優勝者が対象で、開幕前日のパー3コンテストに出場でき、記念品が授与されるなどさまざまな優遇があるものの、試合に出場できるわけではないという。

 エルスはその後、「出場資格を目指してがんばる」と改めてツイートを発信した。

 出場に際しては、4大メジャーの中でも最も狭き門となるマスターズ。その理由は、何より出場人数が絞られていることにある。他のメジャーはフルフィールドの156名が出場できるのに対して、マスターズは例年90名前後と極端に少なく、「もっと出場者を増やすべきでは?」という声にも、マスターズ委員会は「我々は100名以下で開催したい」とその門戸を開かない。

 球聖ボビー・ジョーンズが、「世界の”マスター(名手)”を招待してトーナメントを開催したい」として造られたのが、米ジョージア州・アトランタから2時間あまりに位置するオーガスタ・ナショナルGC。1934年、「お気に召せば、どうぞおいでください」という形で第1回大会が開催され、当初は『オーガスタ・ナショナル・インビテーション』と題して行なわれていた。

 それから『マスターズ』と名称は変わったものの、今も招待試合という形式は基本的に変わっていない。全米や全英オープンのように予選会もない。そういう意味でも、このマスターズの招待状を受け取ることは、特別なことなのだ。

 年が明けると、ゴルフ界はこの春の祭典、マスターズへと一気にムードが盛り上がっていく。

 2018年のマスターズに出場する日本勢は現状、松山英樹(25歳)、池田勇太(32歳)、そして前述の宮里と3人が確定。もしこれに小平が加わって日本勢4人が参戦となれば、2011年以来の多数出場となる。

 また、先日ツアー競技に復帰し、12月30日に42歳となるタイガー・ウッズ(アメリカ)の、マスターズ3年ぶりの出場があるのかも気になるところ。そんな、選手に限らず、世界中のファンが楽しみにしているゴルフの祭典まで、残すところ3カ月あまりだ。