専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第135回 700万アマチュアゴルファーのみなさま、寒い冬がやってきました。 お金のある方はここぞとばかりに、沖縄やハワイなど暖かいところへゴルフをしにいくのでしょうね。片や、…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第135回

 700万アマチュアゴルファーのみなさま、寒い冬がやってきました。

 お金のある方はここぞとばかりに、沖縄やハワイなど暖かいところへゴルフをしにいくのでしょうね。片や、あまり予算のない方、限られたお小遣いの中でゴルフを楽しんでいる方は、地元でゴルフをしましょうか。

 冬場は料金が安いこともあって、よく考えてみればお得です。しかも、プロ野球選手をはじめ、トップアスリートのみなさんがゴルフを楽しんでいる期間でもあります。この時期、そんな方々と遭遇することが多く、それもひとつの楽しみになるかもしれません。

 さらに、冬のお楽しみと言えば、お風呂です。ラウンド後、完全に冷え切った体を温かい湯船で癒す楽しさよ。まさに極楽ですね。

 そう考えれば、冬のゴルフもまんざら捨てたものじゃありません。

 ちなみに、関東圏中心の冬のゴルフ事情については、年内、12月いっぱいぐらいまでは、ラウンドするのは楽勝です。問題は、1月から2月にかけての寒波襲来の時期でしょうか。程度にもよりますが、降雪となると、コースはクローズせざるを得ませんから。

 こればっかりは仕方がないことです。来年のいつ頃、どれだけ雪が降るかなんて、誰も予想できませんしね。

 ですから、すでに私は1月にゴルフの予定を2件入れています。茨城の内陸部と千葉の沿岸部で行なわれるコンペです。千葉はともかく、茨城の内陸部でのコンペは、過去10年以上やっています。

 同コンペを振り返ってみると、なんだかんだありつつも、クローズは一度もありませんでした。みぞれの中でやったのが1回、降雪後にプレーしたのが1回、ありましたけど。

 降雪後にプレーしたのは、3年前でしたか。コースの半分ぐらい、雪が解けずに残っていました。それでも、雪を避けてなんとかプレーしたのを覚えています。

 あと、すごく寒い日にプレーしたこともありました。そのときは、池全体が凍っていて、池ポチャしたと思ったら、氷上でボールが跳ねてグリーンにナイスオンしたことがあります。案外、寒波も役に立つことがあるんですね。



冬のゴルフも意外と捨てたもんじゃないんですよね

 結局、山間部を除けば、関東では降雪で2~3日クローズすることがあっても、それ以外の日は、冬の間も十分にプレーできる、ということです。

 というわけで、冬の時期、日本列島ではいったいどの辺りまででゴルフができるのか、考察したいと思います。

 まず、ゴルフができる、できないの判断ですが、冬場はずばり雪です。雪が降って、それが”根雪”という雪の上に雪が積もった状態となり、本格的な銀世界になると、ゴルフ場はクローズとなります。

 じゃあ、単に寒いだけ、という場合はゴルフをやるのか? それは、やるんですよ。

 5年前ぐらいに、故郷の宮城県で1月にラウンドしたことがあります。宮城県で冬場にゴルフができるのか? 沿岸部はあまり雪が降らないので可能なんです。

 降雪の頻度は関東と一緒ぐらいか、ちょっと多いくらいでしょうか。黒潮が流れているせいで、雪が降っても根雪にならず、解けることが多いです。

 けど、風はかなり冷たいです。宮城県の1月と言えば、気温は「マイナスに始まって、マイナスに終わる」という感じですか。もちろん、昼間は3~4度まで上昇することはありますが、風が強くて、とにかく冷たいです。

 風速1mで、体感温度は1度下がると言われています。ですから、気温がプラスでも、体感温度的にはマイナスとなります。

 そうした状況下でのゴルフですから、背中や腰にカイロを張るのはお約束。グローブも両手か、ボールを打つとき以外は、常にミトンみたいな温めるグローブをしておかないとプレーになりません。

 中学校の頃の必需品と言えば、手袋は当たり前。毛糸の帽子か、北海道や東北地方では「耳かけ」と呼ぶ耳あても必須でした。それがないと、耳がしもやけになって大変です。ゆえに、ラウンド中もそれらは欠かせません。

 一方、ゴルフ場の状態ですが、グリーンはカチカチに固まっていることが多く、ボールが乗ったらツツゥ~と転がっていきます。コース側が、夜にはシートを被せておくのですが、効果は限定的です。

 でもやっぱり、ゴルフはそこそこ楽しいですよ。うちの田舎じゃあ、娯楽といったら、釣りと映画、パチンコにカラオケと、やることは決まっています。だったら、ゴルフでもやるか、となるわけです。

 そもそも「雪が降らないなら、ゴルフはできる」理論は、スコットランドから伝来しています。

 あちらでは、あんまり寒いからウイスキーの小瓶を持って、ちびちびやりながらラウンドしていたそうです。その小瓶がなくなる頃合いが、ちょうど9ホールぐらいだったので、それを”ハーフ”にしたという都市伝説が残っています。

 スコットランドの冬も半端なく寒いですが、以前に行ったことのある人の話だと、グリーンはずっと凍っているから、本グリーンをクローズにして、フェアウェー上に冬用のサブグリーンを作ってプレーしているところもあるそうです。

 グリーンもフェアウェーも凍っているからさして違わないって、どんだけ寒いやら、ですね。

 さて、日本の冬場の、ゴルフの北限はどこなのか?

 宮城県の沿岸部は大丈夫です。じゃあ、岩手県はどうなんだ?

 岩手県のゴルフの盛んなエリア、一関~盛岡は内陸部にあってちょっと寒いですが、ゴルフ場の案内を見ると、根雪になるまで営業しているそうです。数年前の報道では、暖冬でまったく雪が降らず、スキーやスノボを計画していた人がそれらを断念。そんな人たちに代わって、ゴルファーが復活し、通年でゴルフをやっていた、という話もありました。

 これが、青森県に行くと、年明けの厳冬期はクローズというコースが多いです。ということは、今のところ、日本で冬場にゴルフができる北限は、岩手県なんでしょうか。

 地球温暖化により、現在の東京の年間平均気温は、20年前の宮崎県と同じくらいと言われています。それは、ちょっと大げさな気もしますが、年々暖かくなっているのは確かです。

 ただ、温暖化は激しくブレながら気温変動するわけで、今年なんか夏も大して暑くなかったし、11月に寒波が来たりして、ちょっと先が思いやられます。

 春先に、”三寒四温”という小刻みな温度差が現れる時期があります。年単位でも、それはあると思いますよ。つまり、7年のうち3年は寒い、ということです。

 今年はずばり、気温は平年並みか、やや寒いくらいでしょうか。寒さの当たり年ならば、今年のゴルフの北限は、宮城県ぐらいにとどめておきますか。

 今後、10年で1度ぐらいずつ気温が上昇していけば、映画『ブレードランナー2049』が描く時代には、北海道の函館あたりでも通年でゴルフができるようになるのでしょう。

 でもね、その頃はアンドロイドが愛人になっていますからね。はたしてアマチュアが本物のゴルフをやるのかなぁ~。本物以上に楽しい、高性能のシミュレーションマシンが完成しているような気がしますね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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