馬トク報知では今年から過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】がスタート。今回はミライヘノツバサが勝った2020…

 馬トク報知では今年から過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】がスタート。今回はミライヘノツバサが勝った2020年のダイヤモンドSを取り上げる。勝ったミライヘノツバサは16頭立ての最低人気、単勝は3万2550円という超大穴だった。

 ミラクルな大波乱だ。最低16番人気のミライヘノツバサが、外から迫るメイショウテンゲンと直線で激しく競り合う。ぴったりと馬体をあわせながらゴール板へ。首の上げ下げで変わりそうなほどの大接戦。そして写真判定の結果、約4センチの鼻差で念願の重賞初制覇をもぎ取った。脚元の不安などで低迷していた7歳馬にとっては、17年1月以来、約3年ぶりの勝利となった。

 単勝払戻金が3万2550円となる、JRA重賞史上3位の高配当に導いた木幡巧は大興奮だ。「本当に馬に感謝しかない。正直、ゴール板過ぎてから、負けたな、というのが第一印象だった。まさかここで勝てるとは」。

 17年の日経賞(2着)の後に右前脚の屈腱炎を発症して、1年6か月もの長期休養を余儀なくされた。復帰後は脚元の状態を考慮して坂路中心の調教だったが、休み明けの前走からコースでも追えるまでに体質が強化された。伊藤大調教師は「脚元を気にせずに思い切ってやってみて、前回はいい競馬ができた。正直、差されたと思っていたが…」と大喜びだ。

 伊藤大調教師にとっても開業12年目の重賞初制覇。「正直、長かったですよね。この馬の走りを見て、我慢したぶん、恩返ししてくれるんだと思った」と感無量だった。

 ミライヘノツバサは青森県七戸町の諏訪牧場で生まれた。青森県産馬の重賞制覇は、2008年のローズS(マイネレーツェル)以来と非常に珍しい。この勝利の3か月後に競走馬登録を抹消。通算成績は51戦8勝(うち地方3戦1勝)。現在は東京競馬場の誘導馬として活躍している。ダイヤモンドSを勝った頃とは印象の違う真っ白い毛になり、SNSなどには多数の写真がアップされ、「可愛い」の声多数の人気者だ。