◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽ノルディックスキー・ジャンプ 女子個人ラージヒル(15日、プレダッツォ・ジャンプ競技場) 女…

◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽ノルディックスキー・ジャンプ 女子個人ラージヒル(15日、プレダッツォ・ジャンプ競技場)

 女子の最終戦となる個人ラージヒル(ヒルサイズ=HS141メートル)で、10日の混合団体で2大会ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した高梨沙羅(29)=クラレ=は、合計234・5点の16位で大会を終えた。3つ目のメダルを目指した丸山希(北野建設)は8位。伊藤有希(土屋ホーム)は14位、勢藤優花(オカモトグループ)は15位。22年北京五輪からの雪辱を期して臨んだ高梨の今大会をスキー担当の松末守司記者が見た。

 高梨の目から止めどなく涙があふれ出した。ぬぐっても、ぬぐっても止まることはなかった。メダル圏外に外れて迎えた2本目。再び追い風を受けても鋭く空中に飛び出し、飛距離を伸ばすと127・5メートルと精いっぱいのジャンプを披露し、夢舞台を終えた。

 胸に去来したのは「感謝」だった。「北京後も変わらずにずっと一緒に練習してくれたチームの仲間たち、皆さまであったり、応援してくださる方々のおかげでまた戻ってこられた。自分の力以上のものが乗っかっているような感覚で飛ぶことができました」。

 22年北京五輪の混合団体でスーツの規定違反での失格という重い十字架を4年間、背負うことになった。引退も考えた中で、戻ってきたジャンプ台。仲間が受け入れてくれるのか―。不安でいっぱいだったが、いつも通り。そんな空間がうれしかった。だからこそ今回、チームで取った混合団体の銅メダルは生涯最高の宝物になった。

 今季、ジャンプを見直したのも、思いに応えるため。W杯63勝のジャンプを変えるのは勇気のいる作業だ。10代から高梨を指導する牧野講平パーソナルトレーナーは言う。「勝っていたころより今のジャンプの方が数段レベルは高い。不器用なほどまっすぐに競技と向き合う姿は浅田(真央)に似ている。絶対に妥協はしない」。以前サポートしていたフィギュアスケート五輪銀の浅田さんを例に出し、高梨の武器を示した。

 高梨は今後について「次のオリンピックへのイメージは全く湧いてこない」と白紙とし、一夜明けた16日の会見で「次のW杯へ向けてシーズン終わり(3月末)まで走り抜けたい」と言った。以前には「見ていてくれる人に与えられるものがあるなら飛び続けたい」とも話していた。雪辱を果たし次のステージへ。高梨はこれからも世界の空に飛び続ける。(松末 守司)

 ―今の気持ち。

 「1本目の得点が響いてしまって結果を出せなかったことはすごく悔やまれる」 

 ―涙の訳は。

 「本当に感謝の気持ちでいっぱいで。いいジャンプがしたかったなという率直な気持ちです」

 ―戻ってきて良かったか。

 「戻って来させてくれてありがとうございますという気持ちですね」

 ―混合団体銅でこの4年間が一つ報われた。

 「チームに支えられて、自分一人ではあのジャンプをすることはできなかった。日本チームで取ったメダル。だからこそ自分の今のこの能力のなさというか、情けなさが。もっと強くなって力になれたらなと思います」

 ―今後のビジョンは。

 「次のオリンピックへのイメージは全く湧いてこないですが、今回の反省を生かして、次の試合につなげたいという気持ちはすごく大きくあるので、そこをしっかり改善してつなげられるようにしたい」

 ◆高梨 沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日、北海道・上川町生まれ。29歳。小学2年で競技を始め、2012年W杯蔵王大会で日本女子初制覇。上川中、グレースマウンテンインターナショナル、日体大を卒業。五輪は14年ソチ大会4位。18年平昌大会は同種目で日本女子初の銅。22年北京大会は個人、混合団体ともに4位。W杯男女歴代最多通算63勝、116度の表彰台。趣味はカメラ。152センチ。