◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スノーボード・ハーフパイプ(13日・リビーニョ・スノーパーク) 【リビーニョ(イタリア)13…
◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽スノーボード・ハーフパイプ(13日・リビーニョ・スノーパーク)
【リビーニョ(イタリア)13日=宮下京香】男子で戸塚優斗(24)=ヨネックス=が、悲願の金メダルを獲得した。2位で臨んだ決勝2回目、初めて繰り出した「トリプルコーク1440」(斜め軸に縦3回転、横4回転)の2連続を成功させてトップを奪った。3大会連続出場の24歳は苦い思い出のあった五輪の舞台で、“三度目の正直”を果たして男泣き。男子ハーフパイプ(HP)の金メダルは、2022年の平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=に続き、日本勢2人目の偉業となった。
夢に見た金メダルをやっと手に入れた。両手で顔を覆った戸塚の頬を、喜びの涙が伝った。自身3度目の五輪。転倒する選手が相次ぐ中、強気に攻めて大技を決めきった。「うれし涙は初めて。信じられない気持ちだし、夢がひとつかなった」。右手薬指と左手中指の「金ネイル」がより一層、輝く。「報われた」。表彰台のてっぺんに立ち、君が代が流れると、また泣いた。
“賭け”に出た。決勝は、これまでとは違い逆側からパイプに入るルーティンを選んだ。加えて、当初終盤に想定していた「トリプルコーク(TC)1440」の連続を冒頭に変更して、成功させた。前回北京五輪で平野歩夢が決め、世界最高難度とされた超大技をつなぐ圧巻の演技を2回目に完遂。完成度、高さも文句なし、会心の滑りに「ヨッシャー!」と叫び、何度も両拳を握った。「選択して良かった。組み替えられるのは最大の強み。最大を生かして金メダルを取れた」。一度は1月に決めていた構成の変更が功を奏して、頂点に立った。
過去2回の五輪は、16歳で初出場した平昌大会は転倒し、担架で運ばれて11位。北京大会も構成を完遂できず10位に終わった。苦い思い出を力に変え、「三度目の正直」と自ら奮い立たせたミラノ大会。24歳ながら豊富な経験を積んできた戸塚は「確かな自信」を胸に挑んだ。2大会ぶりに五輪を現地で見届けた母・真由美さんとハグし、金メダルをかけてあげた。「このメダルにはいろんな人の気持ちが詰まっている。めちゃくちゃ重たい」と喜びを、かみ締めた。
北京五輪後はTC1440がトップ選手の主流になる中、大会で失敗が続き「何がダメかもわかんない」と迷路に迷い込んだ。焦りから成績も伴わず「何度もやめようと思った」と練習に行くのも嫌になった。それでも、母に相談したり、「プッシュされた」と前回王者・平野歩夢、同学年の平野流佳らライバルの存在に刺激を受けながら、歯を食いしばってきた。「彼らのおかげ。感謝したい」と、しみじみ語った。
ずっと平野歩夢の背中を追いかけてきた。利き足は逆だが、技の映像を反転させて研究するなど「変わらずリスペクト」と手本にしてきた。年々技術レベルが高まる中、その平野歩夢に続く日本勢2人目の五輪王者になった。「同じ舞台で金メダル取れてうれしい。今後も誰にも負けないように頑張っていく」。苦手なきゅうりを食べられずに泣いていた少年は、世界一の座につき決意も新た。その胸にある金メダルは一段と輝きを増していた。(宮下 京香)
◆戸塚 優斗(とつか・ゆうと)2001年9月27日、横浜市生まれ。24歳。両親の影響で3歳からスノーボードを始め、9歳からハーフパイプを始めると、11歳で日本スノーボード協会の公認プロ資格を取得。15歳だった17年9月のW杯で初優勝。通算9勝。世界選手権は21年金、19年銀、25年銅。五輪は18年平昌大会11位、22年北京大会10位。人気バンド「Mrs. GREEN APPLE」の大ファン。169センチ。