◆ミラノ・コルティナ五輪 【リビーニョ(イタリア)12日=宮下京香】フリースタイルスキー男子モーグルで、堀島行真(28)…
◆ミラノ・コルティナ五輪
【リビーニョ(イタリア)12日=宮下京香】フリースタイルスキー男子モーグルで、堀島行真(28)=トヨタ自動車=が前回北京五輪に続いて銅メダルを獲得した。モーグルの日本勢の連続表彰台は、女子で1998年長野五輪を制し、2002年ソルトレークシティー五輪銅の里谷多英以来2人目、男子では初となった。北京五輪後に拠点をノルウェーに移し、世界屈指のターン技術に加え、空中技も進化した。15日のデュアルモーグルでは悲願の金メダルを狙う。
悔しさと手応えが入り交じった銅メダルだった。5位から逆転を狙った堀島の決勝2回目。第2エアで切り札の大技コーク1440(斜め軸に4回転)を繰り出して、首位に立った。会心の滑りに力強いガッツポーズも飛び出した。金メダルへの期待が膨らんだが、その後、キングズベリー、ウッズに上回られ、2大会連続の銅メダルに。「メダル獲得はうれしいが、やっぱり悔しい思いもある。(表彰式では)笑うように、とは思っていた」と率直な思いを語った。24年に結婚を発表した妻・輝紗良さん(25)=旧姓・住吉=の前でのメダルには「ギリギリの結果で応えられた」と最愛の人にささげた。
最善は尽くした。今季ここまでW杯で5戦中4度が2位以上。それだけに1回目の5位に、会場はどよめき堀島も「想定外」。2回目は悩んだが「1440は決まれば金。決まらなくても銅」と考え、公式練習で1本完璧に決めた代名詞に懸けた。完璧なターンでリズムを刻んだが、第2エアで「少し右に流れた」。滑走ラインから右に外れ、減点対象に。エアで上位2人に上回られたが「実力があるのは示せたと思う」と納得した。
頂点に立つため磨いてきたのが、世界最高難度の空中技「コーク1440」だ。原点は女子の上村愛子さんが武器としたコーク720で、小学5年から習得に励んだ。モーグルに夢中になると同時に、当時つけていた日記は「昆虫」から「ウォータージャンプ」にテーマが変わった。自身の空中技の分解写真を並べ、フォームを研究。「あたまと足の位置は同じ」「スキー板がじょじょに体の下にもどる」などと課題点を書き込み、父・行訓(ゆきのり)さんは「好きなことだから熱心にやった」と振り返る。
北京五輪後、24年夏に大国ノルウェー・オスロに夏場の練習拠点を移した。五輪会場のリビーニョと時差はなく、今大会もオスロから入り、体調は万全だった。また、天候に左右されない屋内スキー場を使い、コーク1440は2年計画で1年目は100本、2年目は50本飛んだ。集中力が保てる一日6本に絞り、五輪開幕前に成功率は「90%近く」になった。
モーグルでは頂点に届かなかったが、15日には新種目のデュアルモーグルに挑む。試合後はすぐに補食のリンゴを口にし、次の決戦へ備えた。雪辱の思いも胸に、エースが悲願をかなえる。
◆堀島に聞く。
―同じ銅メダルだが、前回北京五輪との違い。
「2大会連続は大きい。(4年間)いろんなチャレンジができた。同じ銅メダルでも全然違う。自信のあるものになっている」
―4年間の取り組み。
「どうすればメダルが獲得できるか、分かってきた。おそらくキングズベリーもそういう次元にいる。一歩先に抜かれることは2大会連続で起こった」
―五輪の金メダルとは。
「この1日、手が届かなかった要素がある。五輪で確実に勝てる力は学んでいく必要がある」
―家族への思い。
「五輪としては一つの区切りだが、金でも、銅でも家族の時間は終わらない。風邪をもらわないように努力してくれたり、そういう思いは感じていた」
―デュアルモーグルへ。
「スピードの次元が一段階上がるので、足や目、体がついて来るかが大事」