1998年のエルムSなどJRA重賞4勝の土田稔調教師(70)=美浦=が、3月3日で引退を迎える。実家は北海道の生産牧場…
1998年のエルムSなどJRA重賞4勝の土田稔調教師(70)=美浦=が、3月3日で引退を迎える。実家は北海道の生産牧場で、常に馬と携わる生活を送ってきた。今の心境は「まだ実感がないです。毎日同じことをやっているので」と大きな変化はないという。
北里大学獣医学部を卒業後、78年から美浦・大久保洋吉厩舎に所属。調教助手として仕えた大久保洋吉元調教師について「師匠であり兄貴のような存在。人間としての器が大きい。師匠に恵まれた。親分の下でなければここまでやってこられなかった」と目を潤ませながら振り返った。93年3月に厩舎を開業。「『自分らしく偉ぶらず』を信念に続けてきた。助手時代に(自分の裁量で)任せてもらっていたので、調教師になってからも助手や厩務員に任せていた。人に恵まれ、助けてもらった。調教師冥利に尽きる」と、何度も『人に恵まれた』という言葉を口にした。常に人のおかげというこの姿勢が、土田師の人徳であろう。
98年には「一番貢献してくれた馬」と振り返るタイキシャーロックでエルムSを制し、JRA重賞初勝利。同馬をはじめ活躍馬はダート馬が多く、平地355勝のうち、ダートで251勝を挙げている。「名前が“土田”だからだと言われる」と笑い「馬格のあるタイプが好みだったからかな」と分析した。
今後を担う若手調教師には「お金を稼ぐ、成績を残すことも大切だけど、馬を育てる楽しみを持ち、自分はこうしたいという思いを持ってやってもらいたい」とエールを送った。自分の信念を貫いた調教師が、間もなく競馬界に別れを告げる。(三戸 達也)
◇土田 稔(つちだ・みのる)1955年6月23日生まれ。北海道出身。70歳。北里大学獣医学部を卒業後、78年から美浦・大久保洋吉厩舎で調教助手。92年に調教師免許を取得し、93年3月に開業。JRA通算6766戦385勝(うち障害30勝)。重賞は18年エルムSのハイランドピークなど4勝(障害重賞1勝)。地方ではタイキシャーロックで97年南部杯を勝利。