オーストラリアで騎手兼調教師として活躍する太田陽子さん(47)が今週、栗東・池添学厩舎で研修を行っている。11日から同…
オーストラリアで騎手兼調教師として活躍する太田陽子さん(47)が今週、栗東・池添学厩舎で研修を行っている。11日から同厩舎などの馬の追い切り、運動に騎乗。「日本って、世界からすごく注目されてる。どんな気持ちで、何を気をつけながらやってるかとか、そういうのを見たかった。いい刺激になっています」と目を輝かせる。
東京都で生まれ、10歳からは愛知県の中京競馬場の近くで育った。騎手を志すようになったが、JRAの競馬学校は不合格だったこともあり、高校卒業後に渡豪。クイーンズランド州の競馬学校に入学し、見習い騎手としてデビューした。何度か拠点を移しながら、現在も活動するクランボーンへ。その間、13年秋には地方で短期免許を取得し、岩手競馬で10勝を挙げた。
約3年前から厩舎を開業。現地では騎手と調教師の兼任は珍しいことではなく、太田さんも「周りがやってたから、やりたいなと思ってた」と自然ともう一つのキャリアを意識した。現在は2頭を管理。スタッフはおらず、「私だけ。厩務員さんはいないです」。レースに騎乗するための遠征中や、今回のように厩舎を空ける際は、知人の手を借りながら運営している。
2頭のうち、既にデビューしている1頭には自身がレースで手綱を執る。「調教もして、大抵(競馬でも)私が乗っています。やっぱり(馬について)分かっているので、いいですよね」。23年5月には、管理馬Dudanceに騎手として騎乗し勝利。“二刀流”の強みを生かした。
今回、来日したきっかけは「何となく、私の人生が詰まった気がして」。池添調教師の妻と10代から友人だった縁があり、同師に研修を頼むと、二つ返事で受けてくれた。
日本の調教で一番驚いたのは、ウォーミングアップにおける常歩(なみあし)の量。「もう全然違う。叩きつけられた、世界はこれかって。これだけ温まってたら、動きも良くなって、けがも少ないだろうなと思います」と感心する。JRAならではの調教施設やシステムについても、池添師にどんどん質問。「先生が質問攻めでかわいそうです(笑)。すっごく丁寧に答えてくれて、本当にありがたいです」と、飽くなき探究心を持っている。
目の前の目標は、厩舎の地盤を固めること。「いい馬を育てられる教育に、すごく力を入れたい。きちんと自分の馬でやっていける厩舎、何勝かして、いいレースで勝って、っていうことをしたい」と掲げる。もちろん、日本のビッグレースに出走させることも目標の一つ。「ジャパンC。嘘じゃないよ! あとは中京で(乗馬を)始めたので、高松宮記念。夢はでかく!」と、白い歯をのぞかせる。故郷のG1に調教師として挑むことも、夢物語ではないはずだ。(水納 愛美)