◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽ノルディックスキー・ジャンプ 混合団体(10日、イタリア・プレダッツォ) 【バルディフィエメ…
◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽ノルディックスキー・ジャンプ 混合団体(10日、イタリア・プレダッツォ)
【バルディフィエメ(イタリア)10日=松末 守司】混合団体が行われ、高梨沙羅(29)=クラレ=、小林陵侑(29)=チームROY=、丸山希(27)=北野建設=、二階堂蓮(24)=日本ビール)で臨んだ日本は同種目初のメダルとなる銅メダルを獲得した。3番手を飛んだ高梨にとっては、22年北京五輪でスーツの規定違反による失格した悪夢を払拭する大きなメダルとなった。スロベニアが連覇を果たした。
4年分の涙を流し、そして、笑った。絶望に伏したあの日から1465日。高梨が悪夢を振り払った。銅メダルが決まり、前回五輪のメンバーで今大会は外れても会場にきていた伊藤有希(31)=土屋ホーム=から「お疲れ様、よく頑張ったね」と抱きしめられると、もう涙をこらえることができなかった。おえつを漏らして2人で泣いた。
「あの時、一緒に飛んだ(伊藤)有希さん、(佐藤)幸椰さんと取ることができなかったメダルを取らせていただいた。自分の取ったメダルじゃない。感謝の気持ちというか、それ以上の言葉があるんだったら表現したいぐらい。人生でとったメダルの中で一番うれしい。すごく幸せな日」と目を真っ赤に腫らし、メダルを見つめた。
4人が2回ずつ飛び、合計で競う同種目で3番手を任された。「すごく緊張した」と話した1回目に96・5メートルを飛び、5位から3位まで浮上させた。2回目もジャンプに不利な強い向かい風が吹き付けても決して負けなかった。力強く飛び出し、空中で踏ん張り続け97メートルと安定したジャンプを披露し、役割を全う。4位のドイツとわずか1・2点差、飛距離にして約60センチの僅差(きんさ)でメダルをつかみ取った。
アンカーの二階堂が飛び終え、残り2か国を残してトップ。メダルが確定すると、両手でガッツポーズ。18年平昌五輪銅メダル以来2つ目のメダルを手にした。 メンバー発表後、自分でいいのか? 苦手と話す団体戦を前に、コーチ陣に相談するほど弱気になっていた。それでも、練習を重ね精度を上げ自信を取り戻して「個人戦より、練習よりもいいジャンプができた」と誇らしげだった。
22年北京五輪。1回目に好飛躍を見せながら、スーツの規定違反が発覚し、まさかの失格。諦めず2回目も飛んだが、滑り終えると泣き崩れた。日本は4位。責任を一身に背負い込んで、その後に投稿したインスタグラムに真っ黒な画面と謝罪を掲載した。心に暗い影を落とし、引退さえ頭をよぎったが、周囲の支えを受け「逃げても何も解決しない。何かを与えられる選手に」と翻意し、再び歩き出した4年間だった。「葛藤はあったが、また1つ違う自分を見せられた瞬間だったかな」と話す。
悪夢を乗り越え、たどり着いた4度目の五輪。16日(日本時間)の個人ラーヒルがラストダンスとなる。「今日だけはこの余韻に浸らせてください。オリンピックっていいなぁ」。4年間の壮大なリベンジ物語は、何よりも尊い勲章をつかんで完結した。(松末 守司)