馬トク報知では今年から過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】がスタート。今回はドウデュースが勝った2023年の…

 馬トク報知では今年から過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】がスタート。今回はドウデュースが勝った2023年の京都記念を取り上げる。前年秋に凱旋門賞で惨敗。復活がかかっていた大事な一戦を完勝し、鮮やかに復活への道をたどった。

 強い。その一言に尽きる。ドウデュースが直線に向いた瞬間、勝負は決まった。武豊が手綱を動かすと、「ビュン」と音が聞こえたと錯覚した。一瞬でギアが変わって、残り1ハロンで先頭へ。G2とは思えない大歓声の中、爆発的なスピードで駆け抜けた。「今日はらしさを出せて良かった」と武豊。ゴール後スタンドに残ったざわめきが、衝撃の大きさを物語っていた。前年比27・9%増の大幅売り上げ増となった注目の一戦で3馬身半差の圧勝。鮮やかな復活を遂げた。

 凱旋門賞は正直、あまりにも見せ場がなかった。スタート直後から全く前進気勢がなく、武器の末脚も発揮されないまま。ブービー19着という結果はもちろん、全く活気がない様子に絶句した。

 武豊も、不可解な敗戦に首をかしげていた。レース後の第一声が「残念。ドウデュースの走りが全くできなかった」。発走直前の大雨で特殊な馬場だったとはいえ、本調子からは遠すぎた。この日のレース後にも「(凱旋門賞は)ゲートを出て10メートルで『ああダメだ。違う』と思った」と改めて振り返っていたほどだ。

 凱旋門賞からの帰国初戦を勝った日本馬はこれまで5頭。ダービー馬が京都記念を勝ったのも75年ぶり。不吉なデータを吹き飛ばす完勝に、友道調教師は「ほっとした。競馬は走ってみないと分からないから」と安どした。

 この勝利の後、ドバイ・ターフの出走取消や、主戦の武豊が右足の負傷で不在だった天皇賞・秋(7着)やジャパンC(4着)で敗戦するなど長いトンネルに入った。ただ、武豊が復帰直後の有馬記念では、人馬ともに復帰即となる劇的V。

 振り返れば、2歳時から武豊騎手が長年勝てないと言われてきた朝日杯FSでG1初勝利を挙げると、翌年の日本ダービーをレースレコードで制覇。レジェンドを史上最年長のダービージョッキーへと導いた。武豊騎手と“二人三脚”で記憶に残る走りを続けた名馬だった。

 その後も天皇賞・秋、ジャパンCを勝ったが、ラストランだった2024年の有馬記念は右前肢ハ行のため、2日前に出走取り消し。現在は北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬として第2の馬生を送る。先月には子供が誕生した知らせも馬産地から届き、高い資質を受け継いだ子供たちがターフに戻ってくる瞬間を待っている。