◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 一つの競技で世界の頂点に上り詰めながら、ゼロから挑戦する姿に胸を打たれた。21年東…

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 一つの競技で世界の頂点に上り詰めながら、ゼロから挑戦する姿に胸を打たれた。21年東京五輪柔道男子100キロ級王者・ウルフアロンの新日本プロレスデビュー戦「1・4」東京ドーム大会。入場時に柔道着を脱ぎ捨て、若手レスラーと同じ黒のショートタイツ姿を披露すると、会場の熱が一気に高まった。転向にあたり何度も口にしていた「初心」が、見る者の共感を呼んだ瞬間だと感じた。

 日本の五輪金メダリストがプロレスに転向するのは史上初。昨年から大相撲担当となったが、柔道担当時代に8年間取材した縁で「1・4」への道のりを追いかけた。昨年6月の転向会見で「なぜプロレスを?と聞かれたら、好きだからです」と答えたように、いつ聞いてもプロレスへの敬意と愛情が伝わってきた。柔道時代と違った一面を知ることができた貴重な半年間だった。

 ウルフによく聞かれることがある。「岡田、どうですか」。大相撲の三段目力士・岡田のことだ。東海大柔道部の後輩で仲が良く、ウルフの仲介で高田川部屋に入門。24年九州場所で初土俵を踏んだ。柔道担当時代から知っていた親近感もあり、毎場所、一番相撲や勝ち越しなど節目で記事にしているが、マメに読んでくれているという。

 岡田もまた、ゼロからの大相撲挑戦だった。1・4を現地で観戦後「ウルフさんにパワーをもらった。一気に差を広げられたので負けていられない」と話していたが、刺激を受けて臨んだ1月の初場所で5勝を挙げ、来場所は幕下昇進が濃厚。番付を着実に上げている。戦うステージが変わっても、高め合う2人に注目していきたい。(大相撲担当・林 直史)

 

 ◆林 直史(はやし・なおふみ)2007年入社。五輪は夏冬4大会を取材。25年から現職。