◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽ノルディックスキー・ジャンプ 女子個人ノーマルヒル(7日、プレダッツォ・ジャンプ競技場) 【…
◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽ノルディックスキー・ジャンプ 女子個人ノーマルヒル(7日、プレダッツォ・ジャンプ競技場)
【バルディフィエメ(イタリア)7日=松末守司】女子の個人ノーマルヒルが行われ、初出場の丸山希(27)=北野建設=が、合計261・8点で今大会日本勢のメダル第1号となる銅メダルを獲得した。同種目で日本女子のメダル獲得は、18年平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(クラレ)以来2大会ぶり2度目の快挙。母の他界、大けがなど試練を乗り越え、勲章を手にした。高梨は13位、勢藤優花(オカモトグループ)は14位、伊藤有希(土屋ホーム)は17位だった。
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丸山が偉大な2人の先輩の胸に飛び込んだ。2回目のジャンプは100メートルのビッグジャンプ。ランディングバーンを滑り降りると、下で日本女子の道を切り開いてきた高梨、伊藤が待ち受けていた。歓喜の抱擁を交わすとその目には涙がにじんだ。遅咲きのニューヒロインが歴史に名を刻んだ瞬間だった。「苦労した4年間だったので、まさか初日で取れるとは…。すごくうれしい」。表彰台でメダルをかけられ「重いですね」と誇らしげだった。
1回目に97メートルを飛び、首位とわずか1・2点差の3位につけた2回目。息を何度も吐き気持ちを落ち着かせ、スタートゲートを飛び出すとグンと飛距離を伸ばして着地し、右手でガッツポーズ。その時点でトップに立った。後続に抜かれたとはいえ、初の夢舞台でいきなりメダルを引き寄せた。「普段は緊張しないけどすごい緊張した。その中で自分のジャンプができたのは自信になった」と五輪の魔物にも打ち勝ち、快挙を引き寄せた。
試練を乗り越えた。有力選手として迎えるはずだった22年北京大会が控えた21年の全日本選手権。着地で転倒し、左膝前十字靱帯(じんたい)損傷などの大けがを負った。失意の中、見つめた五輪で頂点に立ったのは、その2年前に同じよなケガを負い復活したウルシャ・ボガタイ(スロベニア)。自分の姿に重ね、勇気がわき、関係者に「絶対復活する」と誓って歩き出した4年間だった。
今夏、踏み切りでしっかり力を伝えるため、足裏の重心の位置を意識し続けた。陸上トレーニングはもちろん、ブランコの上でアプローチ姿勢を組んだり、姿勢を4センチ低くしたりと徹底して改善。昨季まで未勝利だったW杯で6勝を積み上げるまでに成長した。
天国に届けるメダルだ。高3時、最愛の母信子さんを亡くした。「何かで一番になりなさい」と言い続け支えてくれた母。「だから頑張れた」と力にしてきた。「ゴールドメダルじゃないから怒ってるかな。見ていてくれてたらうれしい」。
昨年4月、所属先の人事考課面談シートに記した目標は「合計240・0点」。大きく上回る満点回答を出した。今後は混合団体、ラージヒルと続く。「4年前はこんな姿は想像できなかった。すごく長かったけど頑張ってきて良かった。ただ、まだ目標の金メダルには届いていない。もう一回自分のパフォーマンスをだせるように取り組みたい」。27歳のシンデレラ・ストーリーにはまだまだ続きがある。
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―今の心境
「スキージャンプを続けてきてすごく良かったなって思います」
―試合前の心境
「ここに入って正直納得のいくジャンプができていなかったのですが、ちょっとすねの角度が甘かったので、浅く(スタートゲートに)座ってすねを入れられるように、変えました」
―日本勢メダル第一号に。
「さっきインタビューされる中でそれを知った。日本チームが勢いづけば良いかなって思います」
―泣いているように見えたがどんな涙?
「うれしかったです。安心感とうれしさだと思います」
―4年間を振り返ると。
「(所属先の)作山コーチと、横川コーチにたくさん迷惑をかけた4年間だったと思うんですけど、一つ一つ積み重ねて、トレーニングしてきた結果、こうしてメダルを手にすることができて、この4年間頑張ってきて良かったなって思う」