昨年11月にボクシングの全日本選手権男子ウエルター級(65キロ以下)を制した藤木勇我(18)=大阪・興国=が今春、プロ…

 昨年11月にボクシングの全日本選手権男子ウエルター級(65キロ以下)を制した藤木勇我(18)=大阪・興国=が今春、プロテスト受験を予定している。高校3年間の戦績は49戦全勝(33RSC=レフェリーストップコンテスト)で、アマチュア9冠。大橋ジムへの出稽古では、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(32)と拳を交えた。プロデビューを前にした“浪速のモンスター”が現在の心境や井上尚への思い、目標などを語った。

 昨年11月30日、藤木は全日本選手権男子ウエルター級で高校生王者となった。近年では11年の井上尚(相模原青陵)、17年の堤駿斗(習志野)=志成=に続く快挙だった。それでも、満足する様子はみじんもなく、試合後の休みは1日のみ。今春に予定するプロテストに向け、「楽しみです」と熱のこもった練習を続けている。

 ややファイター寄りのオールラウンダー。「ジャブが一番の武器。近づいての強打、ボディー(ブロー)にも自信があります。アマは3ラウンドしかないので、無理に攻めなきゃいけないときもあるけど、リーチが長い人もいる。使い分けています」と、アウトボクシングも苦にしない。さらに「プロは時間も長くなる(4~12ラウンド)し、事前に映像で研究もできる。(自分は)プロ向きだと思う」と分析する。

 圧倒的な実績とは対照的に「試合前はゴングが鳴るまで、負けることばかり考えてしまう」と明かす。だが、マイナス思考は対戦相手の分析を深めたり、試合中に悪い流れを引きずらない役割を果たしているようで「僕にはプラスになっている」と捉えている。

 高校2年の4月からは、月1~2回のペースで井上尚らが所属する横浜市の大橋ジムへの出稽古を続けてきた。「高1の年間表彰(23年度アマの部新鋭賞)で、たまたま隣の席が大橋(秀行)会長だった。声をかけてくださって」。世界ランカーとのスパーリングなど、レベルの高い環境で腕を磨いてきた。

 24年12月には、防衛戦を控えていた尚弥とのマスボクシング(軽めのスパーリング)が実現。「動かされているというか…。初めての感覚でした。『ジャブいいね』と言っていただいた。アドバイスをもらえること自体が奇跡」と目を輝かせる。早い段階でプロ転向を決断したのも、モンスターの影響が大きかったという。

 全日本選手権は、キャリアで最も重い階級での出場だった。プロではフェザー級(57・1キロ以下)かスーパーフェザー級(58・9キロ以下)でのデビューを見込んでいる。「尚弥さんを超えるとは言えないけど、10年先まで考えたら同じ位置までいきたい。あの強さまでいけたら、階級が1つ2つ上がっても勝てる。まずは早いうちに1本ベルトを取ること」。プロのリングでも、連戦連勝でてっぺんまで駆け上がる。(吉村 達)

 興国ボクシング部・米田了総監督「入学当初は逃げながらジャブを打ったり“ビビり”な面も見せたが、アジアジュニア選手権から帰ってきて見違えた。自信をつけた。藤木は本当にボクシングが好き。どんどん強くなっているし、まだまだ強くなる」

◆藤木 勇我(ふじき・ゆうが)

▽生まれとサイズ 2007年12月25日、大阪市生まれ。18歳。身長170センチ、体重は「減量なしで65キロ前後」。リーチ170センチ。右ボクサーファイター

▽家族 元プロボクサー(C級=4回戦)の父・直樹さん(51)、母・亜矢さん(46)。兄・勇利(東農大2年)はアマボクサーとして活躍。元WBCフライ級王者・勇利アルバチャコフにちなんで名付けられた

▽ボクシング歴 父の影響で兄と西生野小1年から始める。生野中(ともに現生野未来学園)までは32戦31勝(17RSC)。興国では計6度出場した高校の全国大会(選抜、高校総体、国体)を全制覇。23年のアジアジュニア選手権(カザフスタン)、24年の世界U19選手権(米国)で優勝

▽世界が注目 全日本選手権Vを受け、世界で最も権威があるとされる米専門誌「ザ・リング」が4ページを使って紹介。尚弥も自身のSNSで「やっぱり強い! 要チェックだ」などと発信

▽好きな食べ物 焼き肉

▽趣味 サウナ、食べること

▽座右の銘 「楽な道より楽しい未知を」