◆大相撲初場所千秋楽(25日、東京・両国国技館) 西前頭4枚目・熱海富士が静岡県出身力士として初めての賜杯を逃した。本割…
◆大相撲初場所千秋楽(25日、東京・両国国技館)
西前頭4枚目・熱海富士が静岡県出身力士として初めての賜杯を逃した。本割で西前頭16枚目・欧勝海を寄り切ったが、3敗同士の優勝決定戦で新大関・安青錦に首投げで屈した。自己最多の12勝を挙げ、3度目の敢闘賞を受賞。来場所は同県勢として戦後初の新三役が濃厚となった。
熱海富士はV逸の悔しさに「いや~。いや~。しょうもない」とうめき声を上げ、花道を引き揚げた。顔をくしゃくしゃにして支度部屋に戻ると「優勝! 優勝、優勝…」と3回つぶいた。優勝決定戦で安青錦を追い詰めたが、土俵際で逆転の首投げを食らい、仰向けになった。「今場所でちょっとつかめてきたものがあったけど、それがまだ不安定。相撲の神様が『まだ時期じゃない』って言ってるのかな」と唇をかんだ。
本割で欧勝海に完勝し、決定戦に備えて支度部屋で体を動かしながら安青錦の取組をテレビで見守った。「いけ! 頑張れ!」。相手を応援する心の声が大音量で漏れ、居合わせた関取衆や関係者から思わず爆笑が起こった。愛されキャラらしい一幕だったが、我が身を省みて「相手が負けてくれたらなという心があることは甘え」と猛省した。
21歳だった23年秋場所で優勝決定戦に進んだが、その後はやや停滞した。自身の後に入門した同じ部屋の尊富士、伯乃富士、義ノ富士らが次々と活躍する姿を見てきた。「兄弟子として負けたくない。先に三役に上がってやろうという気持ちで、厳しい稽古を積んできた」と自負があった。
静岡県勢の悲願の初賜杯は逃したが、来場所は同県から戦後初の新三役が濃厚だ。八角理事長(元横綱・北勝海)に「立ち合いが成長している。踏み込んで攻めも低い。それを忘れないこと。大関候補ですよ」と期待もかけられた。「僕には僕以上に一喜一憂し、応援してくれる人がいる。そういう人が一人でもいてくれるなら、僕は頑張れる。僕の好きな(音楽)バンドなら、そう言うと思います」。23歳の大器は、独特の表現で精進を誓った。(林 直史)