令和2度目の天覧相撲で西前頭3枚目・伯乃富士が横綱・大の里を押し出し、昭和以降3人目となる4場所連続の金星を獲得した。…
令和2度目の天覧相撲で西前頭3枚目・伯乃富士が横綱・大の里を押し出し、昭和以降3人目となる4場所連続の金星を獲得した。横綱・豊昇龍は東前頭4枚目・大栄翔にはたき込まれ、両横綱は2敗目を喫した。新大関・安青錦、大関・琴桜にも土がつき、2横綱2大関が全て敗れる大波乱が起きた。天覧相撲で横綱、大関陣が全員負けたのは蔵前国技館で初めて実施された1955年夏場所以降初めて。出場した4人以上の上位陣全員に土が付くのは2024年夏場所初日以来となった。
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天覧相撲は力士にとって特別だ。陛下の視線が土俵に注がれ自分に向いている―。それだけでも緊張するものだ。私の天覧相撲の成績はよくない。横綱や大関との対戦が多かったからだ。それでも私には陛下の忘れられないお言葉がある。
1979年(昭和54年)の夏場所の天覧相撲のことだった。当時、私は膝をケガして休場していた。番付も幕下まで下がってしまった。後日、当時の春日野理事長(元横綱・栃錦)から聞かされた「陛下がお前の事を心配されていたぞ。頑張れよ」という言葉には体が震え、涙が出そうになった。このお言葉があったから大関まで昇進することができたのかもしれない。
その天覧相撲で2横綱、2大関が全敗するとは誰が想像しただろうか。私もびっくり。NHKの解説席で呆然(ぼうぜん)としてしまったほどだ。特に大の里の一番は、いったい何が起こったのだろうか。伯乃富士の当たりで再び左肩を痛めてしまったのか。本来なら右を差して左おっつけで前に出るのが大の里の横綱相撲。当たり合ってすぐに力を抜いてしまったのが気になる。支度部屋に戻る花道では左肩を動かせなかった。古傷の再発ならじっくり治療するのも横綱の務めでもある。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)