入幕4場所目の西前頭筆頭・義ノ富士(24)=伊勢ケ浜=が、横綱・大の里(25)=二所ノ関=を豪快な左上手投げで破り、3…
入幕4場所目の西前頭筆頭・義ノ富士(24)=伊勢ケ浜=が、横綱・大の里(25)=二所ノ関=を豪快な左上手投げで破り、3日目の横綱・豊昇龍戦に続き、通算3個目の金星を獲得した。2日連続の金星は2020年初場所の遠藤、妙義龍以来。自己最高位で臨む今場所は、序盤戦で横綱、大関戦を2勝2敗の五分で突破。目標の新三役昇進へ、大きな2勝をつかんだ新進気鋭が一気に加速していく。
192センチ、188キロの大の里の巨体が宙を舞った。わき上がる大歓声。2日連続の金星獲得は6年ぶりの痛快記録だ。まだ大銀杏(おおいちょう)が結えない、ちょんまげ頭の義ノ富士が、2日続けて新春の土俵の主役になった。
結びの一番で連日、波乱を起こした。立ち合いで真っすぐ当たると「張り切りすぎて思い切りいった分、(上体が)高くなってしまった」。相手の得意の右を差され、ぐいぐいと出てくる横綱の圧力に押された。不利な体勢になりかけた瞬間、左上手を取って左に回り込み、土俵で円を描くように投げ飛ばした。「とっさに体が動いた。自分でも分からない。驚いている」と興奮気味に振り返った。
大の里には先場所の初顔合わせで初金星を挙げていた。「全く同じようにはならない」と気を引き締めて臨み、この日の朝稽古では師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)から助言も授けられた。左を固めて右を差し、体を密着させて左も差すプランを練っていたが「何一つできなかった」と苦笑い。それでも勝ち切れたのは、天性の相撲勘の表れだ。土俵下の九重審判長(元大関・千代大海)も「堂々としていて食いそうな雰囲気があった。筋力もあり、馬力もある。相撲が強い。私は高く評価している」と絶賛した。
初金星を含む9勝6敗で技能賞を受賞した昨年11月の九州場所後半、師匠にハッパをかけられた。「巡業に行ってもしっかりトレーニングをしておくんだぞ。もう次の場所は始まってるんだ」。その言葉に「番付発表後の場所前だけが、場所前じゃない」と意識を高めた。22日間の長丁場となった12月の冬巡業中も、宿舎の周辺でジムを探しては通った。朝稽古では毎日相撲を取ることを心掛けた。
新入幕から3場所連続で勝ち越し、今場所は自己最高位で迎えた。初日からの横綱、大関戦を2勝2敗で戦い抜いたが「まだ場所は終わってない。ここから何が起こるかわからない。気を抜かないように、しっかり自分の相撲を取って勝ち越したい」。24歳の“横綱キラー”が今年も出世街道を突き進む。(林 直史)
◆義ノ富士 直哉(よしのふじ・なおや)本名・草野直哉。2001年6月25日、熊本・宇土市生まれ。24歳。6歳で相撲を始め、文徳高から日大に進み、23年学生横綱。卒業後に伊勢ケ浜部屋に入門し、24年夏場所に幕下最下位格付け出しで初土俵。2場所連続十両Vで新入幕の25年名古屋場所で11勝し、敢闘賞と技能賞。九州場所で技能賞。しこ名は義理人情の「義」に伊勢ケ浜部屋伝統の「富士」。183センチ、159キロ。
〇…義ノ富士はこの日の一番で61本の懸賞を受け取った。1つの取組の上限は60本で、ファン投票で決まる「森永賞」を加えた現行規定の最大本数だ。左腕の脇でセカンドバッグを抱えるように花道を引き揚げ「最高ですね」と笑顔を見せた。3日目の豊昇龍戦の50本を合わせて111本。獲得金額は1本6万円で、666万円を2日間で稼ぎ出した。
◆懸賞 幕内取組に限り、民間企業や力士の後援団体などが懸賞金を提供し、日本相撲協会に申し込んで懸ける。現在は懸賞1本あたり7万円で、力士の獲得金額は手数料1万円を引いた6万円。