女子ゴルフの馬場咲希(20=サントリー)は米ツアー2年目に入る。昨年は厳しい状況やトラブルを乗り越え、ツアールーキーなが…
女子ゴルフの馬場咲希(20=サントリー)は米ツアー2年目に入る。昨年は厳しい状況やトラブルを乗り越え、ツアールーキーながら26年シードを獲得した。このほどインタビューに応じ、昨年の成長や課題、今年の目標を挙げるとともに、同じ米ツアーで活躍する日本人選手との交流も明かした。【取材・構成=近藤由美子】
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成人を迎えて華やかさが増したが、周囲を自然と和ませるキャラクターは以前と変わらない。「最初の厳しい状況からすると、25年はすごくいい1年でした」と笑顔で振り返った。
明るさから想像できないが、言葉通り厳しい船出だった。25位までが25年出場権獲得できる米ツアー最終予選会を24位とギリギリで通過。カテゴリーが低く、最初は会場で待機も試合に出られないことがあった。
トラブルにも巻き込まれた。昨年3月。全米女子プロゴルフ協会(=LPGA)のミスで、出場できたはずの試合に出られなかったことが発覚した。ポイントを稼ぎ、出られる試合を増やすしかなかった状況。大きな痛手だった。「ビックリとショックが大き過ぎて。でも、それに気を取られる方がもったいない。プレーヤーとして一生懸命頑張るしかない」。何とか気持ちを切り替えた。
プロの自覚が芽生えた。全米アマに輝いた約4年前。急に注目を浴びた。飲み物もあまり口にできず、点滴生活を送った時期もあった。「以前は試合に出ると2キロ減ってしまいましたが、それではプロでやっていけない」。25年はツアー中も体力維持で週2回、筋トレを集中的に取り組んだ。プレー中の補食にも気を配った。栄養ドリンクやゼリーを飲んだり、バナナを食べるように心がけた。
ツアールーキーながら年間ポイントランク65位。80位までに与えられる26年シードを獲得した。「結果を出して、結果的にシードを取れた。100点かな」。
技術にも磨きをかけた。「ずっと苦手だった」パターが改善。25年米ツアーでの平均パット数は10位の29・0。数字にしっかり成果が表れた。日本とは違うさまざまな芝質に対応すべく、アプローチのバリエーションも増やした。
一方、フェアウエーキープ率は142位の63・2%と低調だった。元来、ティーショットは飛ばし屋とも言える約270ヤードの飛距離が武器。得意だったはずのショットは「全体的にあまり良くなかった」。「ティーショットが良くなればバーディーが増えて、パーオン率も上がる。ティーショットを一番改善しないと」と課題を挙げた。
昨年、米ツアーに本格参戦した日本人は最多13人。刺激も多かった。ペアを組み試合にも出た吉田優利(25)や同じツアールーキーの竹田麗央(22)らと何度か食事に行った。「ツアー中、先輩にご飯を誘ってもらって一緒に食べるのはうれしかったし、一番のリフレッシュになりました」。アニメやゲーム、スキンケア…。ゴルフ以外の話にも花を咲かせた。「プレーでいろんなことを学びましたが、実際に先輩方とお話しして、こういう時にこういうことを考えていたんだとか、リフレッシュ方法だったり、これからの自分にとって参考になりました」。
渋野日向子(27)がルーキー馬場の面倒を見る「ビッグシスター」。米ツアーから任命された役割を担っていた。「練習ラウンドやご飯に誘っていただいたり。所属も同じサントリー。面倒を見ていていただいて、すごくありがたかったです」と渋野にも感謝した。
竹田や山下美夢有、岩井明愛、千怜姉妹はツアー1年目で優勝した。「同じルーキーとして見られなかった」と正直な気持ちを吐露した。「優勝争いに慣れている。緊張が顔に出ない。すごく強そうな感じに見えました」。
竹田らはいずれも日本ツアーで腕を磨いた後、米ツアーに本格参戦。馬場だけが日本ツアーを主戦場とせず、米下部ツアーで経験を積むいばらの道を選んだ。日本ツアーを経験後、米国進出を目指す選択肢もあったのではないか。「結果的に、どちらがよかったのかは分かりませんが」とした上で、迷いなく言葉を続けた。「(米下部で)1年学び、1人でゴルフを考える力もつきましたし、精神的にも成長した部分はいろいろあった。エプソン・ツアーで戦えたのはすごく良かったと思っています」。
間もなく馬場の26年シーズンが始まる。1月は恒例のタイ合宿を敢行。2月19日からタイで行われる「ホンダLPGAタイランド」にエントリーした。
リフレッシュは完了した。愛車はNA使用のスポーツカー「BRZ」(SUBARU)にターボを搭載したもの。マニュアル免許を所持。日本でしか運転しないが、こだわりが詰まった愛車で箱根までドライブ。大好きな八王子ラーメンや焼き肉も食べた。
「今年はシードももちろん取りたいし、優勝も目指したい。とにかく常に上位で戦って結果を出したいです」
おっとりとした性格だが、戦って結果をつかみ取る態勢は整いつつある。
【馬場の米下部&レギュラーツアーでの活動】
▼24年 米下部エプソン・ツアーで19試合中18試合に出場。年間ランキング18位。25年米ツアー出場権を獲得できる15位までに入れず、最終予選会に出場。24位で通過した。最高位は6月リゾートアイランド選手権の2位。トップ10入り5回。賞金獲得額は7万3500ドル(約1140万円)
▼25年 米ツアー23試合に出場し、トップ10入り4回。最高位は3月フォード選手権と6月に吉田優利とペアを組んだダウ選手権の6位。賞金獲得額は39万1937ドル(約6080万円)。平均飛距離は日本勢2位にあたる全体44位の265・36ヤード。
◆馬場咲希(ばば・さき)2005年(平17)4月25日、東京都出身。ゴルフは父親の勧めで5歳で始める。18年東京都ジュニアゴルフ選手権優勝。22年全米女子アマチュア選手権で日本勢37年ぶり2人目の優勝。23年国内プロテスト合格。同年米ツアー最終予選会62位で下部ツアーの24年出場権獲得。24年米ツアー最終予選会で25年出場権獲得。武器はドライバー。飛距離は約270ヤード。あこがれはネリー・コルダ、脇元華。愛称は「ばばさき」から「手羽先(てばさき)」。176センチ。血液型B。