波乱を演出した。西前頭筆頭の義ノ富士(24=伊勢ケ浜)が、横綱豊昇龍を破り、2場所連続で金星を獲得した。幕内後半だけで3…

波乱を演出した。西前頭筆頭の義ノ富士(24=伊勢ケ浜)が、横綱豊昇龍を破り、2場所連続で金星を獲得した。幕内後半だけで3番で物言いがつき、うち2番は取り直し。通常、午後6時までに全取組が終了する中、午後6時5分に始まった異例の結びの一番で、無敗の横綱を寄り切った。昨年11月の九州場所、横綱大の里戦に続く2つ目の金星。3日連続で横綱、大関陣安泰が目前の流れを断ち切る今場所初白星だった。

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波乱が起きそうな空気は充満していた。物言いに次ぐ物言い、取り直しに次ぐ取り直しで、義ノ富士のしこ名が呼び上げられた時点で午後6時。そこから懸賞旗がグルグルと回り、仕切りを重ねて立った時点で同6時5分だった。ただ、そこからは4秒6。立ち合いで頭からぶちかました義ノ富士は、二の矢でスパッと2本差した。さらに寄り立てると、たまらず繰り出された豊昇龍の首投げに、体を泳がせた。だが踏ん張った。そのまま体を預けるようにして、寄り切った。

次の瞬間、夢見た光景が広がった。わずかだったが座布団が舞っていた。「本当に昔から見ていた景色。『本当にやったんだ!』と思った」。初金星を挙げた九州場所は、座布団が投げられないような設定。「しかも結び前だったので、全然舞っていなかった」。日本相撲協会が観戦マナー徹底を呼び掛ける動画を公開した影響もあり、数は少なかったが、幼少期から憧れたシーンを、自分が演出できたことが感慨深かった。

全てがつながった。この日の朝稽古で師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)からアドバイスを受けた。「投げに気を付けろ」。事実、豊昇龍の強力な投げに宙を舞いそうになった。だが助言が脳裏にこびりついていた分、相手が投げの体勢に入る直前、腰を落として身構えた。その一瞬の判断の早さが金星に直結。さらに物言い、取り直しの熱戦が続き「ここで自分が、あっけなく負けるのは嫌」と、一段と気合が入った。

日大で学生横綱に輝き、幕下最下位格付け出しの初土俵から、先場所まで10場所連続で勝ち越してきた。更新し続けた自己最高位は新三役目前。今場所前には「初場所で勝ち越して三役になりたい」と、意気込んでいた。そんな中で連敗発進にこの日「横綱、大関に全部負けたら4敗。勝ち越しが遠ざかる」と、金星は想定の範囲とばかりに語った。“波乱演出の申し子”は4日目、2日連続金星&2場所連続撃破を懸け、大の里に挑む。【高田文太】