【記者コラム】全国高校サッカー選手権決勝が12日、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)で行われ、神村学園(鹿児島)が…

 【記者コラム】全国高校サッカー選手権決勝が12日、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)で行われ、神村学園(鹿児島)が鹿島学園(茨城)を3―0で下し、初優勝を果たした。チケット完売となったこの試合には、大会史上最多となる6万142人の観客が詰めかけた。これは高校生が競う大会の観客動員数としては、異例の数字と言える。

 前回大会では前橋育英(群馬)対流通経大柏(千葉)の決勝戦で、歴代最多の5万8347人を記録。2大会連続で最多動員記録を更新した理由を、同大会を共催する全国高等学校体育連盟・サッカー専門部の玉生謙介部長に聞くと「お正月と言えば高校サッカーを見たい、という文化になっている、ということは感じます。やはり、その土台を作ってきたことが一番大きいのではないでしょうか」と104回の歴史を築き上げてきた先人達への感謝を語った。

 全国高校サッカー選手権(通称・選手権)は前身大会が1908年に関西圏のみの開催でスタートし、首都圏開催への移行などを経て、現在の形に。準決勝と決勝、及び開幕戦のみが国立で行われるフォーマットにより、全国で高校サッカーに取り組む選手たちの合言葉は「国立に行こう」に。国立競技場の改修時期を経て、21年度より新たな国立を舞台とすることにより、会場のキャパシティーも増加し、今回の決勝で6万人の大台を突破した。一方で同じく神村学園が優勝した今年8月の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)決勝は、観客1700人(会場・Jヴィレッジスタジアム)。大会の優劣はないが、動員数には大きな差がある。

 玉生部長は、選手権がファンを引きつける理由について「高体連の先生方の地道な努力に加え、(日本テレビ系列での)テレビ放送などの影響も大きいと思います。日テレさん、(主催の)JFAさん(日本サッカー協会)、お互いがリスペクトしながら作り上げてきた大会、そこが強さなのかなと思います。積み重ねてきた価値に加え、やはり国立という環境でできていることは大きい」と話した。昨年度の5万8347人を更新した理由については、緩衝帯としていた両校応援団の間の座席を、エスコートキッズなど小学生の招待席に当て、座席数を増やしたことなどもあった。

 野球では25年の第107回全国高校野球選手権の決勝、沖縄尚学対日大三戦の入場者数が、4万5600人と発表されており、全席指定となった2022年以降では歴代最多の数字だった。日本人が高校野球が「春夏の風物詩」なら、高校サッカーは「冬の風物詩」。JFAの宮本恒靖会長が「このテーマ曲(ふり向くな君は美しい)が流れれば、国立の情景が思い浮かぶ、というのもある。イメージを描ける」と語ったように、歴史が作り上げてきたブランド力は、特にサッカーファンの心には深く浸透している。冬の国立で、ひたむきに走り、戦い、ゴールを目指す選手たちの姿を“美しい”と感じる観衆が多いからこそ、6万人が詰めかける一大イベントとなった。(サッカー担当・金川誉)