<全国高校サッカー選手権:神村学園3-0鹿島学園>◇12日◇決勝◇MUFG国立神村学園(鹿児島)が鹿島学園(茨城)を3-…

<全国高校サッカー選手権:神村学園3-0鹿島学園>◇12日◇決勝◇MUFG国立

神村学園(鹿児島)が鹿島学園(茨城)を3-0で下し、初優勝を飾った。史上6校目となる夏の全国高校総体(インターハイ)に続く2冠を達成した。なぜ、強いのか。取材すると、土台から支える人に行き着いた。

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神村学園の170センチに満たない選手が、180センチほどの大柄な選手をはねのけボールを奪っていく。今大会、どれだけそんな場面を見ただろうか。圧倒的な走力とパワーを持ち合わせるチーム。その立役者こそ、フィジカルコーチの東輝明さん(49)だ。18年にJ2昇格を遂げた鹿児島をチーフトレーナーとして支えたほか、現在も同市内にジムを開設し、多様なチームや個人をサポートしている。

うまいけど勝てない-。そんなチームを変えるべく19年から神村学園にスタッフとして加わった。鹿児島実まで小中高と同じだった1歳下の有村監督に誘われた。「僕が来る前はうまい選手ばっかりだったので、そこを変えようと担当した。そこで今まで通りの技術と、フィジカル面を両立させてのハイブリッドな選手が生まれてきた」と言う。

誰もが口にする「地獄の走り」。こう言えば、昭和的な「あの山まで走ってこい」という過酷なシゴキをイメージしてしまうが、現代の「走り」は違う。10メートル未満のスプリントに減速、加速、ターンといった多様な動きを加えたメニューを約1時間徹底する。「スプリント」とは時速24キロの高速走を1秒以上継続すること。絶妙なさじ加減で試合さながらに小休止(レスト)を挟み、負荷と回復をつくるのがポイントだ。

「ただ走らせる、ただ筋トレさせるだとサッカーにつながらない」。マラソンのような有酸素運動はしない。すべてサッカーにつながる無酸素運動に特化する。爆発的なスピードであり、繰り返しスプリントできるかにフォーカス。結果として走行距離もグーンと伸びるという考え方だ。「サッカーに必要とされる6秒から10秒くらい、スプリントに近いスピードを何本も繰り返せるようにというトレーニングをやっています」。1試合の走行距離(平均10~13キロ)の約10%をスプリント量が目安という。そのため筋トレもセットで実施。「爆発的な力を出せるお尻周りのメニューがほとんど。股関節をうまく使いながら力を出せるようにしています」と説明する。

選手を成長させるためには納得感が必要となる。そこで数値を持って可視化する。FW倉中悠駕は「フィジカルトレのおかげでみんなゴツいし、自信を持って戦えている」と胸を張る。ただ高校年代で勝つことを主眼にしていない。卒業後に輝けるよう先を見据えてのトレーニングだ。東さんは「そこはプロに近い形のデータを取って、それを彼らもできるようにメニューを組んでいます。これをやることで自然と試合にも勝てるようになる」と言う。

福田師王ら近年数多くのプロ選手を輩出している。この6年を振り返り「単純に走力、見た目の体つきが変わった。それは全然違う」。東さん独自の“ヒガトレ”が、史上6校目の夏冬2冠を陰で支えた。【佐藤隆志】