突然だが、今日11月16日は何の日かご存知だろうか? 「国際寛容デー」とか「自然薯の日」とか、そんなメジャーな記念日を聞いているわけではもちろんない。 そう、本日11月16日は、WRC公式ゲーム「WRC7」の発売日だ! ナンバリングタイ…

突然だが、今日11月16日は何の日かご存知だろうか?
「国際寛容デー」とか「自然薯の日」とか、そんなメジャーな記念日を聞いているわけではもちろんない。

そう、本日11月16日は、WRC公式ゲーム「WRC7」の発売日だ!

ナンバリングタイトルとして1年ごとにリリースされているレーシングゲームと聞くと、「そんなに進化していないんじゃないの?」「その年のクルマとか入ってるだけでしょ?」という心ない声もあるが、今回のWRC7に限ってはそんな心配は無用。前作「WRC6」と比べて圧倒的にクオリティがアップしており、ガラリと生まれ変わっていることを、ラリープラス編集部として断言しよう。

というわけで、今年も発売直前のWRC7をプレイさせていただいた。ラリーファンの皆さんなら、すでにプレイしているかもしれないが、6から7へ、わずか1年足らずの間にどれほどの進化が遂げられたのかをじっくり紹介しよう。

2017年シーズン中に2017年シーズンを収録したWRCゲームを遊べる!


WRC7が発売される11月16日時点では、まだ2017年シーズンが終わっていない。WRC第13戦オーストラリア開幕直前の木曜日となっている。これまでWRC公式ゲームの日本語版は、海外で発売される英語版よりも遅れて、翌年の3〜5月頃に発売されることが一般的だった。日本語ローカライズにかかる時間や権利の問題など様々な障壁があったと推察されるが、それらを乗り越えて年内発売というのはラリー関係者としても非常にうれしい。

その最大の恩恵は、今年からスタートした「eSports WRC」に日本からフル参戦できること。WRCのeSportsは、WRCの開催期間中にゲームで戦うというシステム。2018年のeSportsの開幕戦は1月末のラリーモンテカルロからなので、日本人プレイヤーも当初から参戦できるし、事前の練習時間もあるというわけだ。




eSportsはこれから様々なカテゴリーで世界をつなぎ、ゲームのプレイヤーをリアルのラリー参戦にもつないでくれる可能性を秘めている。もはやたかがゲームのオンラインランキングではない。年代を問わずプレイヤーがWRCに興味を持てるきっかけになるかもしれないのだ。そんな機会を作ってくれたことも歓迎したい。

ちなみに、本作が一般公開された東京ゲームショウ2017の後の11月1日、日本語版の開発元である株式会社インターグローは、株式会社オーイズミ・アミュージオへと社名を変更した。もちろん、WRCゲームの開発や販売はこれまでと同様に行っていくとのことなので、新生「オーイズミ・アミュージオ」の発展と活躍にいちラリーファンとして今後も期待したい。






WRC 7(ダブリューアールシーセブン)
ジャンル:ラリーレーシング
発売日:2017年11月16日(木)
対応機種:PS4
価格:7980円+税(パッケージ版・ダウンロード版)
URL:http://game.intergrow.jp/wrc7/



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全13戦のコースをほぼ全面的に刷新!


WRC7では、2017年に開催されたWRC全13戦すべてを収録している。WRC6では最終的に開催されなかった「チャイナ」も含まれていたが、2017年は全ラリーが開催された実在のラリーとなっている。WRC6にも収録されていたおなじみのコースも多く、WRC6でeSportsを楽しんでいたプレイヤーからすれば、なじみのあるコースで遊べるのは攻略するうえではうれしいだろう。

SSは各ラウンド4SS、全部で52ものSSを収録しているが、実はWRC7ではその90%以上が刷新された。前作と比較してみると一目瞭然だが、草木や岩などの自然の造形物ひとつひとつがよりリアルになっている。岩肌ひとつとっても同じオブジェクトを並べたという印象ではなく細かく描かれている印象だ。特に路面のうねりについては前作にはほとんどなかった要素で、路肩のディッチ(溝)やイン側/アウト側のバンクがより強くなり、走行にも影響を与える。ラリーフィンランドの「Ouninpohja」などはそのいい例だ。また、ラリーメキシコの「Media Luna」などは名前のとおり月面のような凹凸と踏み固められた石があちこちに残っている。ラリーアルゼンチンの名物ステージ「El Condor」などは、WRC6とは比べ物にならないほど難易度が上がっていて攻略も難しい。また、ラリーモンテカルロのドライとアイスの路面の変化や、ラリースペインの砂まじりのターマックと砂が掃けたターマックなど、過酷なWRCのステージがより忠実に再現されている。




もうひとつの特徴が、ロングSSの「エピックステージ」だ。文字どおりの「長編ステージ」で、路面によって8〜23kmと距離は異なるものの、レースゲームとしては非常に長い耐久要素が問われるコースとなっている。実際のWRCでは20km越えのロングステージはざらにあり、なかには40kmもの超ロングステージも存在する。距離が長いほど、ひとつのSSでの差がつきやすくなるが、いずれのコースも15分近く集中力を維持して走らなければならず、普通のプレイヤーにはなかなかきついだろう。




天候の変化やマシンへの太陽光の反射のシミュレーションも、グラフィックの進化を語るうえでは欠かせないポイントだ。岩やガードレールにぶつかった際のマシンのキズのひとつひとつも、痛々しいほどに再現。衝撃が強ければエアロやウィングが取れたり、電装系が破損してコ・ドライバーの声が聞こえなくなるといったラリー中のトラブルが起こることもある。それに加えて、ラリー中のライバルの演出も付け加えられた。SSを走行している時、ランダムで故障車がストップしていることがあるのだ。走行中に遭遇すると結構ギョッとしてしまうが、道を半分ふさぐようにスタックしていたり、クラッシュして外装パーツがコース上に散らばっているなど、その状況も様々。ちなみに、そのマシンにぶつかると当然プレイヤーのマシンもダメージを受ける。あまり出くわしたくない光景だが、“これもラリーならでは”という演出といえる。




WRC7 収録コース一覧
※実際にはウムラウトなどの記号が付きますが、ここでは簡易的にすべてローマ字で表記しています。


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2017年全車種に加え、2016年のワールドラリーカーも収録


WRC7には、2017年シーズンに参戦していたチーム、クルー、マシンなどをすべて網羅している。トヨタ、シトロエン、ヒュンダイ、Mスポーツのワークス4チームのほか、プライベーターのMINI JCW WRCや旧型のフォード・フィエスタRS WRCなども網羅している。さらに、ボーナスカーとして、2016年までのワークスのワールドラリーカーもすべて収録。WRCでもシトロエンなどは若手に旧型のワールドラリーカーを与えたりしているので、ある意味ではまだまだ現役とも言える。




WRC7の目玉とも言えるのは、この新型ワールドラリーカーが初めて収録されているところだ。2017年から導入された新型ワールドラリーカーは、エンジンパワーがそれまでの約300馬力から約380馬力まで大幅にアップ。吸気リストリクター径の拡大によりパワーアップしており、エンジン自体は1.6リッター直噴4気筒で変わりない。最大の特徴はひと目で分かるそのスタイリングで、全長と全幅が拡大され、レーシングカーのような複雑な形状のエアロパーツが盛り込まれ、ワイドフェンダーによりこれまで以上に迫力のあるスタイリングとなっている。2016年までのマシンと比べると、特別なラリーカーという雰囲気が際立っているのが分かるだろう。




WRC2のマシンはMスポーツ、シトロエン、シュコダ、プジョーのR5ラリーカーだ。R5とは1.6リッター直噴4WDターボエンジンを搭載している点はワールドラリーカーと同様だが、改造範囲がやや狭く、パワーも抑えられているクラス。WRC7では、これらのマシンの違いがより際立って感じられるようになったように思う。たとえばプジョー208 T16(R5)はダッシュ力がやや弱いが、リヤ出やすく曲がりやすい傾向。シュコダ・ファビアR5はスタートからの加速が良く、リヤが粘り気味なイメージ。シトロエンDS3 R5はその中間で素直な走り、フォード・フィエスタR5はDS3よりさらにサスペンションが柔らかいなど、明確な味付けの違いが感じられる。すべてのメーカーのマシンを走らせてみて、自分の好みに合うマシンを選びたい。




一方、ジュニアWRCで使われるR2はフォード・フィエスタR2のみ。これは実際のWRCでもワンメイクで行われていることに由来しており、1.6リッター直噴4気筒の自然吸気エンジンにFFを組み合わせつつ、シーケンシャルシフトを装備するラリー専用マシンだ。1車種のみとはいえ、参戦クルーは多数収録されており、クルーごとにマシンカラーなども異なるので、好みのカラーを選ぶことができる。




いずれのクラスも2017年シーズンの序盤にエントリーしていた選手が勢ぞろいしている。ワークスはもちろんのこと、日本人としてTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムでヨーロッパを中心に参戦している勝田貴元と新井大輝の顔も見られる。ヒュンダイのワークスに決まったアンドレアス・ミケルセンが、シーズン当初のシュコダ所属のままだったりと、時系列の差はあるが、主要メンバーはほぼ揃っているかたちだ。




「ソロ」モードでのマシンセレクト時は、チーム→選手というかたちで選択する。同じトヨタでもヤリ-マティ・ラトバラとエサペッカ・ラッピではドアミラーのカラーリングが異なるなど、微細な変化も再現。Mスポーツは選手によってカラーリングがまったく異なり、様々なバリエーションが収録されている。

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充実のキャリアモードにも「エピックステージ」が追加に


「キャリア」モードは、ジュニアWRC、WRC2、WRCと、世界選手権の頂点を目指して上り詰めていくモード。ひとり用ゲームとしてのクリアを目指したい人には、このモードがメインになる。ジュニアWRCはFFノンターボのR2マシン。本作ではR2に関してはフィエスタ一択で、セッティングも変更できない。つまり、誰もがまったく同じ条件で戦うしかない。しかしこのR2が曲者で、加速がにぶいのでいったんスピードが落ちてしまうとなかなか好タイムが出ない。できるだけスピードを落とさず、アベレージ速度を維持しながら走るのが攻略の基本だ。




所属するチームは、チームの戦略に合わせて選ぶのがいい。最初のチーム選びでは、バランス重視、スピード重視、ダメージ重視という方向性の異なる3チームが登場。スピード重視のチームはマシンが多少壊れたとしてもタイムが求められる。ダメージ重視のチームはマシンを壊さずに確実にフィニッシュさせるタイプのドライバーを求めている。バランス重視はどちらの要素も備えるプレイヤー向きだ。これはプレイヤーの性格や走り方で決めるべきもので、チーム戦略に合った走りをすると、チームの士気が高まり、サービス作業やのちの移籍先にも影響が出てくる。自分はどんなタイプのプレイヤーなのかをよく考えて選ぼう。




このキャリアモードにも、WRC7で新たに追加された「エピックステージ」が盛り込まれた。ただし、登場するのはWRC2から。ジュニアWRCは短いステージの組み合わせになる。攻略するには避けてとおれないので、覚悟して練習に励もう。

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ラリーシミュレーターとしての精密なセッティングも可能


これまでのシリーズと同様に、WRC7でも「ドライビングスタイル」でアシストの有無やマシンの損傷の影響、ミッションなどを選ぶことができる。これらはWRC7を最初に遊ぶ際の「イントロ」や「ドライビングテスト」を走ることで自動的に設定されるが、「オプション」からも変更可能だ。腕に自信がないならフルアシスト&ダメージの影響を受けない「アマチュア」に、ラリーシミュレーターとしてWRC7を遊びたいという猛者は、すべてのアシストをオフにした「シミュレーション」を選ぶといい。

「スタート支援」をオンにすると、スタート時にアクセルを踏みっぱなしでスタートするローンチコントロールが有効になる。「ブレーキ補助」はオーバースピードの際に自動的にブレーキをかけてくれる機能だ。「ダメージ効果」は見た目だけにするか、ぶつかるたびに壊れるリアルさを追求するかの違い。「ギアボックス」のマニュアルももちろん選択可能だ。


もうひとつの「難易度設定」は、主にキャリアモードやソロモードでのライバルの速さを設定する項目。「イージー」ならば全体的にタイムが遅く、「ハードコア」になるとかなりの腕がなければ勝つことは難しい。「オプション」からあとで変更することもできるので、気軽にプレイしたいか、骨太なバトルを楽しみたいかで選べばいいだろう。

マシンのセッティング項目も多岐にわたり、サスペンションは伸び側/縮み側を、フロント/リヤそれぞれ変更可能。デファレンシャルのイニシャルトルクやギヤ比、ブレーキの前後バランス、サイドブレーキの効き具合なども設定可能だ。メーカーごとの基本特性の違いを把握したうえで、フロントが巻き込むタイプが好きならフロントデフを強め、リヤで押し出すタイプが好きならリヤデフを強めるなど、自分なりの味付けを変えてみるといいだろう。




WRC7はステアリングコントローラーと組み合わせるのがオススメだが、PS4付属のコントローラーでも十分に楽しめる。ただし、アクセルやブレーキはオン/オフしかできないため、感覚的に馴染めない人もいるだろう。そんな人のために、WRC7ではコントローラーでのアクセル/ブレーキ/ステアリングの感度調節も可能になっている。マシンセッティングをどれだけ調整してもしっくりこないという人は、先にここを変更して最適なプレイ環境を構築したい。




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初回封入特典はポルシェ911の最新ラリーカー!



毎回話題のマシンなどがダウンロードコンテンツ(DLC)として登場するWRCシリーズだが、WRC7の初回封入特典は「ポルシェ911 GT3 RS R-GT」だ。




WRC設立以前からポルシェはラリーで活躍しており、68〜70年には3年連続でモンテカルロを制覇。スウェーデンやツール・ド・コルスでも優勝を重ねている。80年代のグループB時代に登場したのが、印象的なロスマンズカラーのポルシェ911だ。ヨーロッパラリー選手権や中東ラリー選手権でも活躍した。

今回の特典となっているのは、そんなポルシェが現代に蘇らせたラリー専用マシン、R-GT規定の車両。Rは「ラリー」を表しており、R2やR5と同様のFIA規定だ。GTカーをラリーカーに仕立てたマシンで、ポルシェの他にはアバルト124スパイダーやロータス・エキシージなどがターマックを中心として活躍している。収録されているのはロマン・デュマがドライブしている911 R-GTで、今年はフランス国内で開催されているRGTカップに参戦中の現役マシンだ。




プロダクトコードは発売日から有効となるため、本稿執筆時点では実際にプレイはできなかったが、すでに購入した方はプレイできているはず。独特なRRレイアウトの絶大なトラクションは、ターマックラリーで真価を発揮するだろう。



これまでのシリーズ以上にグラフィカルで、マシンの挙動も改善され、2018年のeSports WRCにも対応する「WRC7」。eSports熱の高まりで新たなラリーファン、ラリーゲームファンが一気に増える可能性もある。トヨタのWRC復帰初年度である2017年シーズンを、ぜひみなさんの手で、WRC7のなかで「トヨタ、WRC初年度チャンピオン!」というかたちで締めくくってほしい。




さあ、今日からが、WRC7での“2017年シーズンの開幕”だ!

存分にWRCの世界を楽しんでほしい!





WRC 7 FIA WORLD RALLY CHAMPIONSHIP © 2017 published by Bigben Interactive S.A. and developed by Kylotonn Racing Games. All rights reserved. An official product of the FIA World Rally Championship, under licence of the WRC Promoter GmbH and the Federation Internationale de l’Automobile. Manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. “WRC” and the WRC logo are registered trademarks of the Federation Internationale de l’Automobile. All rights reserved. Licensed and published in Japan by Oizumi Amuzio Inc.