<新春インタビュー>アイスホッケー日本代表の若きエース・FW輪島夢叶(23=道路建設ペリグリン)が、2月のミラノ・コルテ…

<新春インタビュー>

アイスホッケー日本代表の若きエース・FW輪島夢叶(23=道路建設ペリグリン)が、2月のミラノ・コルティナ五輪で自身初の大舞台に挑む。

最終予選でチーム最多5得点を挙げた新星は、例年とは違う特別な初春を迎えた。4大会連続5度目の五輪出場となるスマイルジャパンは、準々決勝で敗れた前回北京大会を超えるメダル獲得を目指す。その原動力として期待される輪島に聞いた「5つの初めて」から、初五輪への意気込み、現在の心境が見えてくる。【取材・構成=本間翼】

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【初五輪】

小学校1年でアイスホッケーを始めた輪島が、初めて五輪を見たのは2014年のソチ大会。5年生だった。ただそれよりも記憶に刻まれているのは、中2の冬。地元・苫小牧で実際に観戦した、平昌大会の最終予選(17年2月)だ。

「最後五輪を決めたドイツ戦は、どのゴールもはっきり覚えているくらい印象に残っています。スタンド観戦できなかった試合もパブリックビューイングがあって、リンクの外で見ていました」

4年前の北京大会は、直前に右手首を負傷してメンバーから外れた。復帰後も調子は上がらず「ずっと泣いていた」が、昨年2月、あのときと同じ、苫小牧で行われた最終予選で代表初ゴールを含む3試合5得点。あこがれていたリンクで、自ら五輪への道を開いた。

「本大会はまだまったく想像がつかないです。でも最近は(チームで)ご飯を食べているときに『あと何日だね』みたいな話題にはなりますね。(主将の)DF小池詩織さんからは『今までに味わったことのない会場の雰囲気とか感じると思うよ』ってプレッシャーかけられてます(笑い)。でも緊張より楽しみな気持ちが強いです。毎試合、得点に絡むようなオリンピックにしたいっていうのはひとつの目標です。自分が得点を取れなくても、しっかりチャンスメークができるようにしていきたいです。

【初得点】

鮮烈な代表初ゴールだった。昨年2月6日、五輪最終予選初戦のフランス戦、第1ピリオド7分30秒、DF小池詩織(道路建設ペリグリン)からパックを受けてゴール前まで攻め上がると、輪島はそのままスティックを振り抜いた。

「私のベストゴールです。過去イチ“乗ってた”シュートだったんです。パックもブレていなくて、しっかりスティックにも乗って真っすぐ飛んでいった。スローで見たらきれいに回転がかかっていて、自分でもびっくり。『ここでこれが出せるか!』っていう。それ以降もゴールは決めてきましたけど、あれほどのゴールはまだないですね」

実はこの前日、輪島は夢を見た。

「得点を決める夢を見たんです。正夢になりました! 2点は決めてなかったんですけど…それはすごく印象的な出来事。そんなことは初めてでした」

まさに夢を叶えた瞬間。しかもこの試合、夢を上回る2ゴールを挙げた。最終予選は3戦で5得点と量産。そして今年、五輪初得点が待っている。

「(昨年12月の)フランス遠征で、ゴールが入らなくなってきたときにパスを探し始めた自分がいた。シフトが終わってベンチに戻ったときに、うわー打てばよかった…って思うシーンがけっこうありました。そういうことはオリンピックではないようにしようって反省しています」

【初海外】

今季は昨年8月にフランスでの4カ国対抗戦、11月にアジア選手権、翌12月にもヨーロッパ遠征をこなした。五輪の舞台は初めてでも、中学生のときから代表チームに入ってきた輪島には、数え切れないほどの海外経験がある。アジア、ヨーロッパ、北米…。旅行は1度もない。

「全部アイスホッケーですね。初めて海外に行ったのはチェコです。中2のときのU18世界選手権です。ご飯にびっくりしました。全部イモなんです。『え? なにこれ?』ってなりました」

チーム最年少で参加した国際大会で受けた衝撃。だが渡航歴が増えることに比例して、そんな戸惑いも消えていった。今回の五輪の舞台・イタリアにいたっては、好印象しかない。

「これまで3、4回は行ってると思います。イタリアはご飯がおいしくて、環境も好きです。海外遠征で一番楽しい国」

元来、どんな枕でも、飛行機内でも「よく眠れる」という輪島に、海外遠征の必需品は特にない。

「苫小牧で合宿するときと持ち物はほとんど変わらないです。でも海外のときは日本食だけは欠かせないですかね。お米もそうですし、スープ類とか、ドレッシングは持っていきます。あれ? さっきから話しが全部食べ物ですね(笑い)」

【初恋♡】

氷上ではキリッと引き締まり、それ以外はニコニコと周りを明るくする輪島が、そのどちらでもない顔を見せた。「初恋…めっちゃ覚えてます」。日本アイスホッケー界を代表するアスリートも、恋バナの前ではひとりの女の子になった。

「あれは初恋でいいのかな。アイツかな(笑い)。同じホッケーチームにいた子です。小学校1年生のときの同好会。一番最初に一緒にホッケーをした男の子でした。うまい方のチームを表す緑色のビブスを着てました。うまくてかっこいいなって思ってました」

当時の記憶がよみがえったのか、それとも照れ隠しか。答えたあとはゲラゲラと笑った。

「でも5年生のときにチーム再編成があって別々になっちゃいました」

五輪イヤーということもあり、今季はシーズンの半分を代表メンバーと一緒に過ごしている。では…。スマイルジャパン内だったら、輪島は誰を恋人に選ぶんだろう。「えーどうしよう」「誰かなー」。たっぷり考えて出した結論は…。

「莉子で。GK川口莉子(ダイシン)。面白いんで。オフの日はよく一緒にいるんですけど、マジでおもしろすぎるんです。居心地がいいし、癒やし。一緒に居て楽しいってところが決め手ですね」

【初挑戦】

「なんかあるかな…挑戦…」。いつも朗らかに受け答えする輪島も、言葉に詰まり、しばらく視線を泳がせた。だが「なんでもいいですか?」と、少し恥ずかしそうに切り出したのは、意外な返答だった。

「…編み物。手芸です。いま代表チームで流行ってて。FW三浦芽依さん(トヨタシグナス)が部屋でずっとやっていて、みんなにシュシュやバッグを順番に作ってくれるんです。それがめちゃくちゃかわいくて。本当に売り物みたいなんです」

ただ世界トップレベルのスピードで、大柄な選手の隙間を縫って置き去りにするスケーティングとは違い、手先の不器用さは自分でも理解している。

「私、細かい作業が得意じゃないんです。小さい頃から。折り紙とかそういうのもできなくて…。(三浦に)教えてあげるよって言われたんですけど、絶対できないだろうなって思いながら…でもやってみたいなって思ってます」

小物入れは初心者でも挑戦しやすいという。初めての作品には、ミラノから持ち帰るメダルをしまいたい。

◆輪島夢叶(わじま・ゆめか)2002年(平14)10月19日生まれ、北海道苫小牧市出身。小1でアイスホッケーを始める。駒大苫小牧では同校女子アイスホッケー部の1期生。道路建設ペリグリン所属。ミラノ・コルティナ五輪最終予選ではチーム最多5得点を挙げる。趣味は音楽を聴きながらのドライブ。好きな食べ物は天丼。156センチ。家族は両親と兄。

◆アイスホッケー女子・スマイルジャパンのミラノ五輪日程(現地時間)

2月6日 フランス戦

2月7日 ドイツ戦

2月9日 イタリア戦

2月10日 スウェーデン戦

2月13、14日 準々決勝

2月16日 準決勝

2月19日 決勝

※撮影協力「和装着付けレンタルもも屋」