スピードスケートの26年ミラノ・コルティナ五輪代表選考会となる全日本選手権が26日に開幕する。25日、会場の長野エムウェ…
スピードスケートの26年ミラノ・コルティナ五輪代表選考会となる全日本選手権が26日に開幕する。25日、会場の長野エムウェーブで前日練習が行われた。男子500メートルは混戦模様で、22年北京五輪銅メダルの森重航(25=オカモトグループ)らが3枠を争う。吉田雪乃(22=寿広)が内定し、残り2枠の女子500メートルに、高木美帆(31)が出場意向を示した。高木の所属先、TOKIOインカラミを展開するイフイング社の冬広応尚(まさなお)代表取締役社長(51)は、来年の五輪での活躍に期待を寄せた。
◇ ◇ ◇
「TOKIOインカラミ」が26年ミラノ・コルティナ五輪を席巻するかもしれない。冬広氏は「五輪候補が10人いる。出場したら、全員金メダルを狙っている選手ばかり」。所属選手が2人だった22年北京五輪を上回る勢いの活躍を喜ぶ。
03年創立のイフイング社がアスリート支援を始めたのは21年夏。テレビ朝日系報道番組「報道ステーション」でスノーボード男子ハーフパイプ平野歩夢(27)の特集を視聴し「直感で」と手を挙げ、所属契約を結んだ。当時、日体大所属の高木のスポンサーにもついた。それまで大会支援が中心だったが、個人として支えた2人が金メダル。「こんなことあるの? って衝撃でしたね」と驚いた。
4年が経過し規模も拡大。冬季競技は11人の所属選手を抱える。「日本人がトップだと見せつけている姿を応援したい」と世界を主戦場とする選手を支える。契約時に頼りにする「勘」が大当たりし、フィギュアスケート女子の中井亜美(17)の出場が決定。スノーボードビッグエアとスロープスタイルでは女子の村瀬心椛(21)、男子の荻原大翔(20)、女子ハーフパイプ清水さら(16)らが次々と代表入りを確実とした。
高木との関係性も深まった。23年に所属選手となり、26年五輪での金メダルを目標に掲げる姿を見て「新たな自分の決めた道で頑張ろうと、やる気しか感じなかった」と振り返る。同社の会議室で大会中に着用するスーツの色やデザインを決定。「決めるのは早かった。自分の中のイメージがあったみたい」と、雪の結晶が入った勝負服が完成した。
スーツの右ももなどに刻まれる「TOKIOインカラミ」は社名ではない。美容室向けヘアケア商品を展開する同社のあくまで1ブランド。W杯などで各国を転戦する中で「『TOKIO』と書いてあれば、東京=日本人なんだなと伝わる。日本を背負ってくれたら」と狙いを説明した。
高木は2種目で内定を獲得しており、500メートルにも参戦する。「応援してくれる皆さんのためにと言ってくれるけど、自分自身のために勝ってほしい。『頑張って』という言葉は必要ない。自分自身のために結果を出してと伝えたい」とほほ笑んだ。【飯岡大暉】